Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Sunday, December 27, 2009

*Internet Business

●ネット通販

+++++++++++++++++

先日、小学3年生の子どもたちに、
こう話した。
「ネットで新しいパソコン、買ったよ」と。
そのときのこと。
すかさず子どもたちがこう聞いた。

「価格ドットコム?」「ヤフー・ショッピング?」と。

これには驚いた。
最近の子どもたちですら、その名前を
知っている。
価格ドットコム!
ヤフー・ショッピング!

一方、ネットを通しての販売高は、
デパートやショッピングセンターでの
販売高を超えた。
それも数年前の話。

+++++++++++++++++

●価格比較

 今朝、新聞に折り込み広告が入っていた。
近くの「K」電気店と、駅前の「B」電気店のものである。
ともに全国的なチェーン店を展開している。

朝食後、少し時間があったので、価格を比較してみた。
(こういうヒマなことをするのが、趣味。)
以下、「B」電気店の目玉商品。
(カッコ)内は、価格ドットコムでの、12月25日現在の価格。

emachine-eMD525-W25(ノートパソコン)・・・5万4800円→(4万8000円)
Sony-VGN-NW51FBH(ノートパソコン)・・・11万9800円→(9万0000円)
NEC-PCLL700VG(ノートパソコン・赤)・・・13万4800円→(10万2835円)

 もちろん価格だけで比較するのは、正しくない。
「B」店のばあい、チラシには、「最大で20%のポイント還元」とある。
また店が近いと、故障したときなど、店員に直接相談にのってもらえる。
不良品であれば、すぐ取り替えてもらえる。
しかし全体としてみると、小売店に、勝ち目はない。

たとえば私が今、ねらっているのが、ToshibaのMX/33KWH。
11・6インチのネットブック(白)。
これなどは、近くの「K」店では、現在、7万5000円前後で売っている。
が、価格ドットコムのほうでは、5万0442円。
ちがいは2万5000円。
この差は、大きい。
しかも「K」店には、ポイント制はない。

となると、買うとしたら、価格ドットコムのほうで、となる。

●弱肉強食 

 今、世の中は、大きく変わりつつある。
急速というより、恐ろしく大きく変わりつつある。
販売流通網にしてもズタズタに分断され、弱小の小売店は、街中から、どんどんと姿を消しつつある。
(……すでに消してしまったところも、多い。)

 それがよいことなのか、悪いことなのか、考えたところで意味はない。
なるようにしか、ならない。
弱肉強食の世界。
食うか、食われるか……。
つまり弱小の小売店は中規模の販売店に、中規模の販売店は大規模の販売店に、さらに大規模の販売店はその上をいく、全国規模の販売店に、つぎつぎと駆逐(くちく)されていく。

 追い払う方は楽しいかもしれない。
しかし追い払われるほうは、そうでない。
日々に、悶々と、重苦しい空気に包まれる。
けっして晴れることのない曇天。
だらだらと、それが何年も、何年もつづく。

●自転車店業界

 私の親の稼業は自転車店だった。
その自転車店で、その苦しみを、私は直接経験している。
今では、自転車店にしても、全国規模の販売店がいくつもある。
価格面においても、サービス面においても、小売店には勝ち目はない。
大規模店は、夜9時~10時まで営業している。
加えて年中無休。

 これに対して、卸しや(自転車店業界では、問屋のことを、「卸しや」と呼ぶ)単位で、連合して対抗しようという動きもあるには、あった。
専門職化したり、特製の自転車を並べたりした。
外国の自転車の特約店を、チェーン店化したりもした。
「高級自転車は、自転車店で」という、ブランド化の動きもあった。
が、ここへきての不況。
プラス店主の高齢化。
「弱り目にたたり目」とは、こういう状態をいう。
今では、自転車店業界は、「斜陽」というより、「衰退」産業に位置づけられている。

 が、大型店が安泰かというと、そうでもない。
それがネット通販。
何と、自転車業界にまで、触手を伸ばしつつある。
価格ドットコムでも、楽天ショップでも、自転車を取りあつかい始めている。
今はまだ値段のはっきりしているメーカー品にかぎられているが、(というのも、自転車ほど、値段のわからない商品はないので)、それも時間の問題。
やがて原産地表示、品質表示、材質表示などが、詳しく表示されるようになるだろう。
むしろ小売店のほうが、値段をごまかして売っているケースのほうが多い。
「ごまかす」という言い方がまずいことは、よく知っている。
しかし自転車ほど、卸値(おろしね)のわからない商品はない。

 で、あとは修理の問題ということになる。
アフターサービス。
が、現実には、自転車も消耗品の世界に入りつつある。
大手のAショップ(全国展開の自転車大型店)では、「2年半」と読んでいる。
つまり自転車の寿命は、2年半。
パンク程度の修理は残るかもしれないが、平均的な人は、2年半で、自転車を乗り換えているという。
昔のように何度も修理しながら、乗りつづけるという時代は、終わった(?)。

●政治の問題 
 つまりここまでくると、個人の問題というよりは、政治の問題。
街の文化は、街の商店主たちが支えてきた。
その文化が、今、こうしてつぎつぎと灯を消そうとしている。
しかも一度消えたら最後、再生は、ほとんど不可能。
その一例として、自転車店業界をあげた。

 そこで街の文化。
「どうやったら、街の商店を守れるか」という発想ではなく、「どうやったら、街の文化を残すことができるか」という発想で、この問題を考える。
個人の問題ではない。
地域の問題。
みんなの問題。
となると、もう政治しかない。    

 ……とは言いつつ、私も今年(09)から、ネット通販を通してものを買うことが多くなった。
価格が4~5万円を超えるようなものは、まず近くの店で、現物と価格を調べる。
つぎに家に帰って、ネットで価格を調べる。
差額がそれほど大きくなければ、店で買う。
その差額がじゅうぶん魅力的なものであれば、ネット通販で買う。
心理的には、10~15%前後か。
それ以上の差額であれば、ネット通販で買う。

たいていその翌日には、玄関先前まで届けてくれる。
が、「どうすればいいだろう……」と思ったところで、思考停止。
どうしようもない。
今さら、この(流れ)を止めることは、だれにもできない。

 ……街を歩くたび、そしてさびれた商店を見るたび、私にはその店のおやじたちの悲鳴が聞こえてくる。
そのおやじの悲鳴を聞きながら、暗くて重い気持ちで、悶々としている家族の気持ちが伝わってくる。

 やはりこの問題は、なるようにしか、ならないのか。
私たちは今、その時代の流れの、まっただ中にいる。

 子どもたちとの会話はつづいた。

私「価格ドットコムって、何?」
子「価格ドットコムも、知らないの? ……後れてるウ」
私「だって、君は、インターネットをしていないのだろ?」
子「ママがしているよ」
私「ハア、ママがしているのかア……?」
子「そうだよ」と。


Hiroshi Hayashi++++++++Dec. 09+++++++++はやし浩司