Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Thursday, October 14, 2010

●ドル安

●1ドル=80円!

 世界中の国々が、今、我も、我もと、札の印刷機をフル回転させている。
こぞって自国の通貨を安くしようとしている。
日本も、中国を除くアジアも、EUも、南アメリカの国々も。
もちろんアメリカも。
しかしこの勝負、アメリカのひとり勝ち。
アメリカ・ドルは、世界の基軸通貨。
あの北朝鮮だって、ドルをほしがっている。
そのドルの印刷機は、アメリカ政府の意の思うがまま。
だれの許可もいらない。
だれにも遠慮はいらない。

●アメリカの陰謀

 アメリカは、ドル安に導き、巨額の貿易赤字を半減させようとしている。
同時に輸出産業にカツを入れようとしている。
一説によれば、アメリカは1ドル=55円(日本円)台にまで、ドル安に
しようと画策しているという(某経済誌)。

 こうなればドル資産をかかえた日本は、大損することになる。
外貨資産のほとんどを、ドルで蓄えてきた。
言うなれば、もっていた株券(=ドル紙幣)の価値が、120円から
55円になるようなもの。
約半額!

●それでも基軸通貨

 が、それでも基軸通貨。
ドルに代わる資産と言えば、金、プラチナしかない。
その金とプラチナだけは、ドル安と反比例の形で、ジワジワと
あがりつづけている。
連日、過去最高値を更新しつづけている。

 一方、それを迎え撃つ、世界の国々は必死。
日本も必死。
このままでは世界中が、ジャブジャブの札だらけになる。
平たく言えば、世界中が、ハイパーインフレに見舞われる。
可能性の問題ではない。
時間の問題でもない。
すでに既成の事実になりつつある。

●すでにインフレ状態

 先ほど金属相場を確認してみたが、ニッケル、銅、アルミなど、
すべてが、この3か月だけを見ても最高値を記録している(10月15日)。

 言い替えると、アメリカは、世界の宰主国としての地位をかなぐり捨てた。
自覚も責任もない。
「世界のことは、知ったことか!」と。

 が、それにひとり反発しているのが、中国。
中国だけが、がんとして、元高に向かうのを拒否している。
こうなってみると、あの中国が頼もしく見えるから、不思議。
ということで、今は、言うなれば、米中の経済戦争のまっただ中。

 アメリカが勝つか?
中国が勝つか?
土俵間際で、押せ押せのアメリカ。
土俵に足をかけ、「コノヤロー」と踏ん張っている中国。

●日本の立場

 が、日本も本当は、もっと札を印刷したい。
円安に誘導したい。
しかしアメリカの意向を無視することはできない。
したとたん、先月のように、大目玉!
それを見越して、マーケットからこぼれた資金が、円買いへと流れている。
今は、そういう状態。

 1ドルが80円!
この先、アメリカドルは、もっとさがる。
が、それがわかっていても、ドルに代わる基軸通貨は、ほかにない。
この悲しさ。
この無力感。
が、日本は、もっているドル資産を、売ることもできない。
売ったとたん、ますますドル安=円高になってしまう!
だまされても、だまされても、ニコニコ笑いながら、ここはアメリカに
追従していくしかない。

●アメリカのひとり勝ち

 つまりこうしてアメリカは、戦後最大のカケに出た。
成功すれば、アメリカは、再び世界の宰主国として返り咲く。
失敗すれば、以後アメリカは凋落の一途をたどる。

 しかし短期的に見れば、やはりアメリカのひとり勝ち。
世界中が大混乱しているのを横目で見ながら、ひとり高笑い。
……が、中期的に見れば、それは一過性の高笑いで終わる。

●中期的には

 いくらアメリカがドル安に誘導しても、中国のもつ生産力には
かなわない。
中国だけではないない。
そのうしろに、インドが控えている。
ブラジルも控えている。
アメリカの諸産業が、ドル安で息を吹き返すなどとは、だれも思っていない。
つまりは、最後の悪あがき。

●では、日本は……

TBS-iニュースは、つぎのように伝える。

『…… 円高ドル安の流れが止まりません。外国為替市場の円相場は14日、一時、15年半ぶりとなる1ドル=80円台に突入しました。

 14日の外国為替市場は、アメリカで追加の金融緩和策が打ち出されるとの見方が強まったことなどから、ドルがユーロや円、ポンドなど主要な通貨に対して全面的に売られる展開となり、円相場は一時、1ドル=80円88銭と1995年4月以来の円高水準となりました。

 その後、介入を警戒する動きなどからやや値を戻し、午前7時現在は1ドル81円台半ばで取引されています。

 ただ、日本の単独介入は、ドル全面安の現在の相場の中では効果は限られるとの見方が市場関係者の間では支配的です。

 当面は円高ドル安の流れが続くとみられ、1ドル79円75銭の史上最高値の更新も「時間の問題」との見方が広がっています』(15日07:10)と。

 どうせやるなら、つまりアメリカがその気なら、一気にドル安に追い込み、
円高を一時的なもので終わらせるのがよい。
今のように、ジリジリと真綿で首を絞めるような流れは、いちばん、まずい。
日本の耐久力は、もう限界。
それほど長くはもたない。

 ついでに読売新聞の記事を、ここに転載する。
『…… トヨタ自動車は14日、主力乗用車「カローラ」の日本からの輸出を2013年ごろまでに停止し、輸出分の生産をすべて海外工場に移管する方針を固めた。

 円高で日本からの輸出の採算が悪化しているためだ。国内で販売するカローラは引き続き国内で生産する。

 トヨタは11年秋に稼働する米ミシシッピ州の工場に、北米向けカローラの生産を国内から移管し、年間15万台生産する。欧州やアジア向けの生産もすべて現地化する』(以上、読売新聞より)。

 すでに日本は、アメリカのよいように操られている。
わかるかな?

Hiroshi Hayashi+++++++Oct. 2010++++++はやし浩司