●愛情不足は、落差の問題
【不潔嫌悪症・子どもの潔癖症】はやし浩司 2010-10-28
●子どもの強迫症
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今朝は千葉県にお住まいの、Aさんと
いう母親から、こんな相談が届いていた。
この相談を読みながら、私は自分が子ども
だったころのことを思い浮かべた。
私自身にも、似たような経験がある。
子どもの潔癖症に併せて、子どもの不安
について考えてみたい。
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【千葉県のAさんより】
5歳の息子の相談です。
以前から幼稚園には行きたがらない傾向にある子でしたが、最近は特に、いつもと違う行事ごとがあるたびに、不安になり余計に行きたくないとぐずります。
夏ころから爪かみが始まりました。10月の初めに、ムカデに触ってしまい、お家に帰ってよく洗えば大丈夫だよと話した出来事を境に、ここを触ってしまったが大丈夫か? お父さんの肘とぶつかったが大丈夫か? と何かと聞いてくるようになりました。外遊びで夢中になっているときにでも、不安になると遊びを中断し、聞きに来ます。
その後は、トイレでおしっこをする時には、おちんちんを触らずしたり、玄関の取っ手を肘で開けたりするようになりました。会話は常に触ってしまったことの報告ばかりです。私は、大丈夫だよ、大丈夫だよ。と、いつも言っています。私の手は握れます。どうしてこうなってしまったのでしょうか?
幼稚園の先生は気を引くためではないか? 気にすることはない。とおっしゃってくださいますが、心配で、兄弟の中でも、ひときは気にかけ、スキンシップをしているつもりです。今後はどのように接していけば良いでしょうか? 治るのでしょうか? よろしくお願いします。
兄弟関係は、姉10歳 本人 弟8ヶ月です。
【はやし浩司より、Aさんへ】
●神経症
神経症のひとつと考えてください。(「神経症」の定義もあいまいですが……。
そのため症状は千差万別です。)
私のHPの中に、ある小学校の先生方と協力して作成した、診断シートがあります。
その中に神経症の項目を並べておきました。
http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/page080.html
どうか一度、目を通してみてください。
なおこうした症状は単独で現われることは少なく、ほかに爪かみのほか、夜尿症、チック、何かの強迫症なども現われることがあります。
シート(上記)で、一度、自己診断してみてください。
●愛情飢餓
兄弟関係で見ると、下に8か月の弟がいるということになります。
愛情に不安を抱き、それが遠因となり、愛情飢餓状態から大きく不安を抱くようになったとも考えられます。
下の子どもが生まれたことにより、赤ちゃん返り、分離不安などの症状を示す子どもも多いです。
「兄弟の中でも、気にかけ……」ということですが、それまであった自分への愛情が減らされたことが問題と考えてください。
親は、「平等に……」と思っているかもしれませんが、子どもにとっては、「落差」が問題なのです。
それについて書いた原稿を添付しておきます。
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愛情は落差の問題。
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●愛情は落差の問題
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愛情の量は、落差の問題。
多い、少ないではなく、
ふえたか、減ったで、
考える。
よい例が、赤ちゃん返り。
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下の子どもが生まれたりすると、よく下の子どもが赤ちゃんがえりを起こしたりする。(赤ちゃんがえりをマイナス型とするなら、下の子をいじめたり、下の子に乱暴するのをプラス型ということができる。)本能的な嫉妬心が原因だが、本能の部分で行動するため、叱ったり説教しても意味がない。叱れば叱るほど、子どもをますます悪い方向においやるので、注意する。
こういうケースで、よく親は「上の子どもも、下の子どもも同じようにかわいがっています。どうして上の子は不満なのでしょうか」と言う。親にしてみれば、フィフティフィフティ(50%50%)だから文句はないということになるが、上の子どもにしてみれば、その「50%」というのが不満なのだ。つまり下の子どもが生まれるまでは、100%だった親の愛情が、五〇%に減ったことが問題なのだ。
もっとわかりやすく言えば、子どもにとって愛情の問題というのは、「量」ではなく「落差」。それがわからなければ、あなたの夫(妻)が愛人をつくったことを考えてみればよい。あなたの夫が愛人をつくり、あなたに「おまえも愛人も平等に愛している」とあなたに言ったとしたら、あなたはそれに納得するだろうか。
本来こういうことにならないために、下の子を妊娠したら、上の子どもを孤立させないように、上の子教育を始める。わかりやすく言えば、上の子どもに、下の子どもが生まれてくるのを楽しみにさせるような雰囲気づくりをする。「もうすぐあなたの弟(妹)が生まれてくるわね」「あなたの新しい友だちよ」「いっしょに遊べるからいいね」と。まずいのはいきなり下の子どもが生まれたというような印象を、上の子どもに与えること。そういう状態になると、子どもの心はゆがむ。ふつう、子ども(幼児)のばあい、嫉妬心と闘争心はいじらないほうがよい。
で、こうした赤ちゃんがえりや下の子いじめを始めたら、(1)様子があまりひどいようであれば、以前と同じように、もう一度100%近い愛情を与えつつ、少しずつ、愛情を減らしていく。(2)症状がそれほどひどくないよなら、フィフティフィフティ(50%50%)を貫き、そのつど、上の子どもに納得させるのどちらかの方法をとる。あとはカルシウム、マグネシウムの多い食生活にこころがける。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 赤ちゃん返り 愛情問題 愛情 落差 落差の問題)
●100%の愛情
精神的に心のより所を失い、たいへん不安定になっています。
子どもは、(おとなもそうですが)、環境の変化にはかなりの柔軟性を示しますが、とくに愛情の変化には、大きく反応し、もろいです。
もし神経症がひどいようであれば、下の子には少しかわいそうですが、一度、100%の愛情を注ぎなおしてみてください。
(当然、上の10歳の姉にも配慮しながら、です。
上の子は上の子で、嫉妬しやすくなります。)
●私自身のこと
私も子どものころ、こんな経験があります。
あるとき、針が足の裏に刺さったことがあります。
針はすぐ抜けたと思うのですが、近所のおじさんにそれを話すと、そのおじさんは、こう言いました。
「折れた針があるかもしれない。その針は、血管を通って心臓に行く。そうなれば死ぬこともある」と。
私はこの言葉におびえ、自分はもう死ぬのだと思いました。
年齢的には、6歳前後ではなかったかと思います。
はっきりと死の恐怖を覚えたのを、今でもよく覚えています。
おとなには笑い話でも、子どもにはそうでないということです。
お子さんは、心底、それにおびえているのです。
ですから「何でもない」という言い方で突っぱねるのではなく、子どもの立場になって、真剣に話を聞き、納得するまでていねいに不安を解いてあげることです。
●不潔嫌悪症
手洗い癖、潔癖症と並んで、子どもにはよく見られる神経症です。
幼稚園でも、休み時間ごとに、手を洗っている子どももいます。
「何でもない」と考えるのではなく、ほかの神経症の前兆、もしくは、たとえば学校恐怖症(ジョンソン)の前兆もありえるという前提で、対処してください。
けっして安易に考えてはいけないということです。
そのためにも愛情的に不安を抱かないように、つぎのことを守ってください。
(1)スキンシップなど、求めてきたら、すかさず応ずる、です。
一度、ぐいと抱きしめるだけで、効果があります。
「あとでね」とか、「今、忙しいのよ」は、禁句です。
(2)添い寝、手つなぎ、だっこなどは、機会があればそのつどこまめにしてあげます。
(3)不安症状が強いようであれば、Ca,Mg,Kの多い食生活、つまり海産物の多い食生活に心がけます。
とくにカルシュウムは、子どもの心を安定させます。
●恐怖症
恐怖症は、一度それを経験すると、姿、形を変えて、いろいろな場面で現われます。
私も子どものころ、閉所恐怖症、高所恐怖症でした。
30歳になる少し前、飛行機事故を経験してからは、ちょっとしたことが原因で、よく恐怖症になります。
先日はワイフが自動車の後部を電柱にぶつけましたが、助手席にいた私は、固まってしまいました。
お子さんのケースは、恐怖症とはちがいますが、この先、折りにつけ、強迫観念はもちやすくなるかもしれません。
「治そう」と考えるのではなく、「じょうずにつきあう」という考え方で、接してあげるとよいでしょう。
どんな子どもにも、その程度の問題はあります。
文面からすると、もっとも心配されるのは、学校恐怖症ということになります。
それについて書いた原稿(簡単なもの)を、添付しておきます。
(別の角度から書いた原稿のため、余計な部分もありますが、お許しください。)
詳しくは、また機会があれば、「はやし浩司 学校恐怖症」で検索してみてください。
参考になると思います。
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学校恐怖症(ジョンソン)
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【集団に溶けこめない子ども】
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集団に溶けこめない……。そのため、
集団の中にいると、気疲れを起こしや
すくなる。
さらにそれが慢性化すると、不登校の
原因になったりすることもある。
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●集団の中では……
小学校の低学年児で、集団に溶け込めない子どもというのは、10人のうち、1~2人はいる。主な症状としては、つぎのような点が、あげられる。
(1) 集団の中では、おとなしく、おだやか。遠慮深い。やさしい。静かで目立たない。
(2) 自己主張が弱く、いつも、ほかの子どものうしろをついていくといった感じ。
(3) 何か話しかけると、柔和な笑みで、答えたりするが、感情表現はいつも、控え目。
(4) 学習態度は比較的よく、そのため、成績も、それほど、悪くない。
(5) 外の世界(学校や塾)では、大声で笑ったり、声を出したりするということはない。
これらの症状は、家の中での様子とは、正反対のことが多い。家の中では、別人のように活発に行動する。かつ、親に対しては、言いたいことを言ったり、したりする。そのため、こうした外での様子を指摘されたりすると、たいていの親は、それを否定する。「うちでは、ふつうです」と。
しかしこのタイプの子どもは、その分だけ、ストレスを内へ内へとためやすい。様子だけを見ると、仮面をかぶった子どもに似ている。俗にいう「ぶりっ子」をいう。仮面をかぶった子どもは、いつもどこかで他人の目を気にしている。どうすれば、自分が、いい子に見られるか、それだけを考えている。
これに対して、集団に溶けこめない子どもは、集団そのものを恐れ、他人の目から、逃れようとする。そのため、ひとり静かに行動し、できるだけ目立たないようにしていることが多い。
このタイプの子どもは、教える側としては、教えやすい。従順で、すなお。みなに迷惑をかけるということはない。しかしそれは子ども本来の姿ではない。このタイプの子どもは、心を自由に、開けない。みなが大声で笑うようなときども、そのリズムにのれない。そのため、いじけやすく、くじけやすい。心をゆがめやすい。
そして長い時間をかけて、ストレスを蓄積し、そのストレスが、さまざまな問題を、引き起こす。
たとえばこのタイプの子どもは、集団の中では、神経疲労を起こしやすい。そしてその結果として、神経症や、心身症による、さまざまな症状を起こす。そしてその症状は、多岐にわたる。「何か、うちの子は、おかしい?」と感じたら、神経症、もしくは、心身症を疑ってみる。
●子どもの神経症について
心理的な要因が原因で、精神的、身体的な面で起こる機能的障害を、神経症という。子どもの神経症は、精神面、身体面、行動面の三つの分野に分けて考える。
(1)精神面の神経症……精神面で起こる神経症には、恐怖症(ものごとを恐れる)、強迫症状(周囲の者には理解できないものに対して、おののく、こわがる)、不安症状(理由もなく悩む)、抑うつ感(ふさぎ込む)など。混乱してわけのわからないことを言ってグズグズしたり、反対に大声をあげて、突発的に叫んだり、暴れたりすることもある。
(2)身体面の神経症……夜驚症(夜中に狂人的な声をはりあげて混乱状態になる)、夜尿症、頻尿症(頻繁にトイレへ行く)、睡眠障害(寝ない、早朝覚醒、寝言)、嘔吐、下痢、便秘、発熱、喘息、頭痛、腹痛、チック、遺尿(その意識がないまま漏らす)など。一般的には精神面での神経症に先立って、身体面での神経症が起こることが多く、身体面での神経症を黄信号ととらえて警戒する。
(3)行動面の神経症……神経症が慢性化したりすると、さまざまな不適応症状となって行動面に表れてくる。不登校もその一つということになるが、その前の段階として、無気力、怠学、無関心、無感動、食欲不振、引きこもり、拒食などが断続的に起こるようになる。パンツ一枚で出歩くなど、生活習慣がだらしなくなることもある。
その中の一つが、学校恐怖症(後述、参照)ということになる。その学校恐怖症については、すでにたびたび書いてきたので、ここでは省略する。
●対処のし方
では、どうするか?
このタイプの子どもは、心の開放を第一に考えて指導する。たとえば大声を出させる、大声で笑わせる、など。しかしそれは簡単なことではない。友だちどうしの間では、結構、心を開くことができても、集団の中へ入ったとたん、かん黙してしまう子どももいる。教師を前にしただけで、緊張して、体をこわばらせてしまう子どももいる。
こうした症状を不適応症状というが、その症状して、よく見られるものを列挙してみると、つぎのようなものがある。
(1) 対人恐怖症、集団恐怖症、回避性障害(他人との接触ができない)など。
(2) 緊張性の頭痛、腹痛、下痢、嘔吐など。
本来なら、一対一、もしくは、きわめて小人数(3~4人程度)のようなていねいな指導が望ましいが、しかしそれにも程度の問題があって、小人数にしたからといって、心を開くということはない。とくに小学校へ入学したあとでは、指導による改善は、ほとんど望めない。おとなになってからも、そのままつづくというケースは、少なくない。
もしどうしても……ということなら、まったく別の環境の中で、その子どもが心を開けるような、ばしょをさがすしか、ない。スポーツやサークル活動など。一度、その世界で、何らかのこだわりを作ってしまうと、そのこだわりを、消すのは、むずかしい。
J君(小5)の子どもがいた。彼は、集団の中では、ほとんど心を開くことはなかったが、サッカーをしているときだけは、黙々と、それに励むことができた。
一方、Cさん(小2)の子どもがいた。小1のはじめから、私の教室へ来たが、小2の途中でやめるまで、一度とて、大声で歌を歌ったり、笑ったりすることはなかった。いりいろな方法で、手を変え、品を変え、私なりに努力はしてみたが、結局は、Cさんの心を開くことはできなかった。
このことからも、わかるように、集団に溶けこめない子どもの、「根」は、深い。時期を言えば、0歳から、1、2歳前後までに、そういった方向性ができあがると考えてよい。そのため、たいていのばあい、まず母子関係の不全を疑ってみる。
このタイプの子どもは、母子の間の基本的信頼関係ができあがっていないことが多い。何らかの理由で、絶対的な安心感を、母親に対していだくことができなかった。「絶対的」というのは、「疑いすらもたない」という意味である。つまり、それから生まれる、不信感が、子どもの心を閉じさせ、ついで、子どもの心を緊張させるようになると考える。
しかもなお悪いことに、母親に、その自覚がないことが多い。そういう自分の子どもを見て、むしろ、「できのいい子」と思ってしまうケースが目立つ。そしてそのままの母子関係をつづけてしまう。
で、問題が起きてはじめて、自分の子育てのどこにどういう問題があったかを知る。(が、それでも気づかないケースも、少なくない。ここにあげたCさんのケースでは、Cさん自身は、私のところへは、彼女なりに楽しんできていた。しかし伸びやかさには、欠けた。母親はそういう姿を見て、「うちの子は、この教室には合っていない」と判断したようだ。
で、さらに、ここに書いた不適応症状がこじれて、学校恐怖症から、不登校へと進むこともある。この段階でも、親は、自分を反省するということは、ない。子どもの言い分だけを聞いて、「教師の指導が悪い」「いじめが原因だ」と。
●まとめ
本来なら、集団に溶けこめない子どもについては、それを「悪」と決めてかかるのではなく、その子どもにあった、環境を用意してやるのがよい。苦手なものは、苦手。だれにも、そういう面の一つは二つは、ある。
何でもかんでも、学校という集団教育の場で解決しようという発想そのものが、おかしい。そういう前提で考える。
コツは、無理をしないこと。そしてこのタイプの子どもほど、家の中では、態度が横柄になったり、乱暴になったりする。そういうときは、「ああ、うちの子は、外の世界でがんばっているから、こうなのだ」というふうに考えて、理解してやる。
家の中でも、静かで、おとなしく……ということになると、子どもは、やがて行き場をなくし、外の世界で、さまざまな問題を引き起こすようになる。しかもたいてい、深刻な問題へと発展することが多い。
(はやし浩司 子供の心理 集団 集団に入れない子供 集団に溶け込めない子供 集団が苦手な子供 外で静かな子供 はやし浩司)
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以前、書いた、「内弁慶、外幽霊」の
原稿を添付します。
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●内弁慶、外幽霊
家の中ではおお声を出していばっているものの、一歩家の外に出ると、借りてきたネコの子のようにおとなしくなることを、「内弁慶、外幽霊」という。
といっても、それは二つに分けて考える。自意識によるものと、自意識によらないもの。緊張したり、恐怖感を感じて外幽霊になるのが、前者。情緒そのものに何かの問題があって、外幽霊になるのが、後者ということになる。たとえばかん黙症などがあるが、それについてはまた別のところで考える。
子どもというのは、緊張したり、恐怖感を覚えたりすると、外幽霊になるが、それはごく自然な症状であって、問題はない。しかしその程度を超えて、子ども自身の意識では制御できなくなることがある。対人恐怖症、集団恐怖症など。子どもはふとしたきっかけで、この恐怖症になりやすい。その図式はつぎのように考えるとわかりやすい。
もともと手厚い親の保護のもとで、ていねいにかつわがままに育てられる。→そのため社会経験がじゅうぶん、身についていない。この時期、子どもは同年齢の子どもととっくみあいのけんかをしながら成長する。→同年齢の子どもたちの中に、いきなりほうりこまれる。→そういう変化に対処できず、恐怖症になる。→おとなしくすることによって、自分を防御する。
このタイプの子どもが問題なのは、外幽霊そのものではなく、外で幽霊のようにふるまうことによって、その分、ストレスを自分の内側にためやすいということ。そしてそのストレスが、子どもの心に大きな影響を与える。家の中で暴れたり、暴言をはくのをプラス型とするなら、ぐずったり、引きこもったりするのはマイナス型ということになる。
こういう様子がみられたら、それをなおそうと考えるのではなく、家の中ではむしろ心をゆるめさせるようにする。リラックスさせ、心を開放させる。多少の暴言などは、大目に見て許す。
とくに保育園や幼稚園、さらには小学校に入学したりすると、この緊張感は極度に高くなるので注意する。仮に家でおさえつけるようなことがあると、子どもは行き場をなくし、さらに対処がむずかしくなる。
本来そうしないために、子どもは乳幼児期から、適度な刺激を与え、社会性を身につけさせる。親子だけのマンツーマンの子育ては、子どもにとっては、決して好ましい環境とはいえない。
(はやし浩司 子供の心理 内弁慶 外幽霊 集団になじめない子供)
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合わせて、学校恐怖症の原稿を
添付します。
原文(英文)は、私のHPのほうに
収録しておきました。
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子どもが学校恐怖症になるとき
●四つの段階論
同じ不登校(school refusal)といっても、症状や様子はさまざま(※)。私の二男はひどい花粉症で、睡眠不足からか、毎年春先になると不登校を繰り返した。
が、その中でも恐怖症の症状を見せるケースを、「学校恐怖症」、行為障害に近い不登校を「怠学(truancy)」といって区別している。これらの不登校は、症状と経過から、三つの段階に分けて考える(A・M・ジョンソン)。心気的時期、登校時パニック時期、それに自閉的時期。これに回復期を加え、もう少しわかりやすくしたのが次である。
(1)前兆期……登校時刻の前になると、頭痛、腹痛、脚痛、朝寝坊、寝ぼけ、疲れ、倦怠感、吐き気、気分の悪さなどの身体的不調を訴える。症状は午前中に重く、午後に軽快し、夜になると、「明日は学校へ行くよ」などと、明るい声で答えたりする。これを症状の日内変動という。学校へ行きたがらない理由を聞くと、「A君がいじめる」などと言ったりする。そこでA君を排除すると、今度は「B君がいじめる」と言いだしたりする。理由となる原因(ターゲット)が、そのつど移動するのが特徴。
(2)パニック期……攻撃的に登校を拒否する。親が無理に車に乗せようとしたりすると、狂ったように暴れ、それに抵抗する。が、親があきらめ、「もう今日は休んでもいい」などと言うと、一転、症状が消滅する。ある母親は、こう言った。「学校から帰ってくる車の中では、鼻歌まで歌っていました」と。たいていの親はそのあまりの変わりように驚いて、「これが同じ子どもか」と思うことが多い。
(3)自閉期……自分のカラにこもる。特定の仲間とは遊んだりする。暴力、暴言などの攻撃的態度は減り、見た目には穏やかな状態になり、落ちつく。ただ心の緊張感は残り、どこかピリピリした感じは続く。そのため親の不用意な言葉などで、突発的に激怒したり、暴れたりすることはある(感情障害)。この段階で回避性障害(人と会うことを避ける)、不安障害(非現実的な不安感をもつ。おののく)の症状を示すこともある。が、ふだんの生活を見る限り、ごくふつうの子どもといった感じがするため、たいていの親は、自分の子どもをどうとらえたらよいのか、わからなくなってしまうことが多い。こうした状態が、数か月から数年続く。
(4)回復期……外の世界と接触をもつようになり、少しずつ友人との交際を始めたり、外へ遊びに行くようになる。数日学校行っては休むというようなことを、断続的に繰り返したあと、やがて登校できるようになる。日に一~二時間、週に一日~二日、月に一週~二週登校できるようになり、序々にその期間が長くなる。
(注、この(4)の回復期は、ジョンソンの論文にはないものである。私が勝手に加筆した。)
●前兆をいかにとらえるか
要はいかに(1)の前兆期をとらえ、この段階で適切な措置をとるかということ。たいていの親はひととおり病院通いをしたあと、「気のせい」と片づけて、無理をする。この無理が症状を悪化させ、(2)のパニック期を招く。
この段階でも、もし親が無理をせず、「そうね、誰だって学校へ行きたくないときもあるわよ」と言えば、その後の症状は軽くすむ。一般にこの恐怖症も含めて、子どもの心の問題は、今の状態をより悪くしないことだけを考える。なおそうと無理をすればするほど、症状はこじれる。悪化する。
※……不登校の態様は、一般に教育現場では、(1)学校生活起因型、(2)遊び非行型、(3)無気力型、(4)不安など情緒混乱型、(5)意図的拒否型、(6)複合型に区分して考えられている。
またその原因については、(1)学校生活起因型(友人や教師との関係、学業不振、部活動など不適応、学校の決まりなどの問題、進級・転入問題など)、(2)家庭生活起因型(生活環境の変化、親子関係、家庭内不和)、(3)本人起因型(病気など)に区分して考えられている(「日本教育新聞社」まとめ)。
しかしこれらの区分のし方は、あくまでも教育者の目を通して、子どもを外の世界から見た区分のし方でしかない。
(参考)
●学校恐怖症は対人障害の一つ
こうした恐怖症は、はやい子どもで、満4~5歳から表れる。乳幼児期は、主に泣き叫ぶ、睡眠障害などの心身症状が主体だが、小学低学年にかけてこれに対人障害による症状が加わるようになる(西ドイツ、G・ニッセンほか)。集団や人ごみをこわがるなどの対人恐怖症もこの時期に表れる。ここでいう学校恐怖症はあくまでもその一つと考える。
●ジョンソンの「学校恐怖症」
「登校拒否」(school refusal)という言葉は、イギリスのI・T・ブロードウィンが、1932年に最初に使い、1941年にアメリカのA・M・ジョンソンが、「学校恐怖症」と命名したことに始まる。ジョンソンは、「学校恐怖症」を、(1)心気的時期、(2)登校時のパニック時期(3)自閉期の三期に分けて、学校恐怖症を考えた。
【はやし浩司より、Aさんへ】
以上ですが、参考意見として利用していただければ、うれしいです。
今日は、これで失礼します。
(はやし浩司 子どもの心理 学校恐怖症 対人障害 不登校 不登校児 不潔嫌悪症 潔癖症 神経症 はやし浩司 学校恐怖症 ジョンソン)
Hiroshi Hayashi+++++++Oct. 2010++++++はやし浩司
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