●マガジン(8-5日)2011
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子育て最前線の育児論byはやし浩司 8月 5日号
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【1】(子育てのこと)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
【家庭内暴力】(前編)
【家庭内暴力】
●長男の家庭内暴力
【兵庫県にお住まいの、KWさんより、はやし浩司へ】
はじめまして、高校1年の長男の事で悩んでおり、メールしました。
私、夫、長男、中学の長女と小学生の二男の5人と夫の母と父がおります。
同居しています。
今は家の近所のアパートに私と妹と弟は寝泊まりし、食事作りや洗濯は家で行っています。
朝は、祖父母の家に娘たちを呼んで朝食を食べさせ登校させてます。
家を離れる決断は、1年前の8月、長男が高校受験の年に決めました。
長男から長女への執拗な攻撃がひどくなり、このままでは長女が人間らしい生活ができ
ないと思い決心しました。
長女への暴力は長年あり、最後には息もできない状態で自由を奪い小声でしか話せなくな
りました。
長女が祖父母宅に居れば、目でどこか行けと指示したり、長男が妹達の勉強部屋にこっそ
り来て、暴力や物を破壊したりと、長女は言葉を発することは少なくひそひそ声で話して
おりました。
また、長男が中学2年ごろには長女に家の裏側へ来るように二女に命令し難癖をつけ、し
ばしば暴力を奮っていたようです。
長女への暴力は長男が小学校のころからあり、私がいない時にやっていました。顕著に
家庭内暴力と言えるきっかけは2点あります。
長男が中2の時、私の親が事故にあい、私1人で親の面倒をみるようになり、子供のこ
とを振り向けず実家の事に精一杯でいた時、長男が部活でレギュラーから落とされたと後になって分かりました。
そのまま中3を迎え、一番なりたくない先生が担任になり、1学期の担任との面談で本人と
私の前でずるいだのと全否定する言葉をなげつけられ、その日をきっかけに私への暴力は
始まりました。
中学時代はその担任が主導して、弱い子に暴力をふるったり、いやみや、罰与えが日常茶
飯事の学年でした。
1度長男も中1の時その担任に、お腹を訳もなく殴られました。
絶対に家に帰って、いやな事や恥ずかしいことは言わない子です。
長男は中学に入る時から高校入試の事を非常に意識しており、レベルも高いところを志
望しておりました。内申が思うようにつけてもらえず悩んでいたと思います。
高校受験の頃には長男の緊張は更に高まってきました。
結局受験は失敗し、行きたくなかった高校ですが、進学校であり優秀な生徒も多い高校に
行くことになりました。
入学後、頑張ろうとしましたが、ついていけず2度目の挫折を味わうことになりました。
高1の春先には急性胃腸炎で4日休み、今までの失敗で自信も持てないところへ、全体で
も下の成績になり本人もショックなのでしょうが、まだ、勉強は諦めていないようです。
何とかしたいけど分からず、もがいて、参考書や文房具を沢山買い、塾へも2ケ月位行き
ました。塾の参考書がほしいかったのだと思います。
今年のお正月には激しい暴力を私に振るわないと気が済まないようで、妹を近づけるに
はすごく危険な状態でした。
私への暴力の原因は、冬休み前の面談で先生がなんとか赤点はあるが留年にならないレベ
ルと言われた事と、他の子は私立に行かせてもらってるっていう気持ちで親に感謝して頑
張っている子が多いという事を聞き、私が「よくこれでやってるね。」と言ってしまい、そ
の言葉が暴力へ引き金となった様に思います。
そのあとすぐ、塾も辞め何もかもやる気もなくなったようにも見えます。
暴力の内容は、思いっきり側頭部や太ももや腕をたたいたり、けったりします。
髪の毛をわしづかみにして私を家から追い出します。
お正月には、長男が弟と遊びたくて、凧揚げしたかったらしいです。
長男が弟を呼んでも妹は怖いから行かないし、電話をかけて出なかったりで長男の怒りが
高まってしまいました。
数日後、長男が弟と家で逢った時、弟を髪の毛を引っ張って“何で俺の言う事が聞けなかっ
たのか“と、蹴ったりもして私が帰宅し止めたこともありました。
急に激こうしたり、自分では加減しているところもあるのかもしれませんが、危険に見え、
妹への暴力が放っておけず私が間に入り、それがまた長男は憎い様です。
昨日は長女と家の前で出くわし、お腹を思いっきり叩いて塾へ入るよう命令し、最後に
背中を足蹴りし長女は家の柵に胸を打ちつけました。
長女はそのままアパートへ帰り部屋で閉じこもっておりました。
長女は2度とあんな家に行かないし、家の前も通らないと言ってました。
何度かこういう事が、離れてから起きています。
塾へ行かせたいのは、中学の塾の参考書が欲しいのが目的です。
自分も中学の時その塾に通っております。
ここ数日は長男は常に怒り状態で危険な顔つきをしております。
また、高校の友達は学校の中だけで一切付き合いがありません。
長男の生育史は、小学校へあがるまでは、今と違う町におり3歳までは私とべったりの
生活でしたが、妹が生まれてからは保育園に入り急につき放された状態でした。
私も3歳以降、余裕もなくスキンシップはほとんどなかったと思います。
やんちゃで、聞かん気も強く友達には意地悪はできず、そのストレスは家に持ち帰るタ
イプの子で、長男が妹に手を出すと私が間に入って、長男に仕返しをしてしまいました。
主人も夜遅く帰り、その分土日だけは長男に関わってくれました。
長男の年長の終わりに風邪をこじらせてから、朝お腹が痛いを言うようになり、登園が
難しくなりだしました。
小学校入学を機に今の家を建てましたが、やはり 簡単に登校拒否の状態は治らず、小1の
2学期途中に全く行かなくなり、3学期を迎えた頃、急に登校しました。
お腹の痛い症状はときどきありましたが、小3の頃にはスポーツ少年団に入ったりと小学
校時代は輝いていました。
幼児期には、ダメダメ言って完ぺき主義に育て、感情的に長男へ当たり、言葉の暴力と
叩いたりもして、抑圧して言う事を聞かせていました。
甘えたい時期に妹達が生まれ、甘える事が出来ず、長女との仲裁に私が入った事が憎しみ
なっていると思います。
私の状況としては、結婚当初から、姑舅と近くに住んでいる義姉との関係に悩み、いや
な思いはありその気持ちは主人には分かってもらえず、子供たちも気づいていました。
当時は主人に分かってもらえないのが悲しかったです。
息子が小3になり、私も家にいるのが見張られているようなので少しづつアルバイトを始
め現在はフルタイムでなく常勤の事務パートをしております。
やはり、家族がバラバラで父親と2人は寂しく、父親は平日10時過ぎに帰宅するので、
長男1人でいる時間が夜は長く、孤食で冷めたご飯を食べたりの状態です。
暴力を受けた長女は、長男と正反対の性格ですが、かなりトラウマがあり、暴力の話はし
たくない様で心の底に溜まっていると思います。
長男を憎んでいます。
長男の憎しみと、恨みはどの様に解決していけるか分かりません、心を見せないし今の
生活で戻ると妹への攻撃が爆発すると思うし、離れていると私への甘えが未解決のままで
す。
過去の確執はありますがおじいちゃん、おばあちゃんも心配しており、一緒に長男と話
し合いをしたいと思いますが良いのでしょうか?
このような状況になっている事が、あの時あんなだったと笑って言える日が来るようにし
たいです。
また、これからの夏休みをどう過ごせばよいのかなどの不安もあります。どうか、今で
きる事はどういうことなのか、最優先することは何かアドバイスを頂ければと思います。
よろしくお願いします。
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司
●反動形成
長男(以後、K君とする)の家庭内暴力の遠因は、すでにこのメールの中に書かれてい
る。
溺愛と過干渉、そして突然の愛情変化。
幼児期にいじってはならない2つの感情がある。
嫉妬と攻撃(残虐)性。
その「嫉妬」をいじってしまった。
嫉妬をいじると、相手が弟であれ、妹であれ、兄(姉)は、その相手を殺すところまで
する。
いじめるとか、暴力を振るうとかいうレベルではない。
「殺す」ところまでする。
嫉妬というのは、そういう感情をいう。
ある兄(6歳児)は、弟を家の隅に連れて行き、いつもその弟を逆さづりにして、頭か
ら落としていた。
別の兄は、弟に向かって、全力で自転車で体当たりしていた。
それを見ていた近所の人が、「ギャーッ!」と声を張り上げたほど、残酷なシーンだったと
いう。
が、こういうケースのばあい、上の子は、両親の前では、別人のようによい兄(姉)を
演じたりする。
心理学の世界では、「反動形成」という言葉を使って、それを説明する。
K君は、下の妹が生まれたことで、はげしい疎外感を味わった。
それが嫉妬に転化し、動物的な攻撃性となって、それが現れた。
●混乱期
思春期前夜(10歳前後)から、子どもの心は不安定期に入る。
脳の中で、はげしい変化が起き始める。
それは自分であって、自分でない変化ということになる。
心が満たされないことによる、葛藤感。
未来への不安と心配。
わがままと自己中心性。
不平、不満。
が、何よりも(自分の将来を定められない渇望感)。
それに(自分は嫌われているという焦燥感)。
こういったものが混然一体となって、この時期の子どもを襲う。
それは恐ろしいほどのケイオス(大混乱)と言ってよい。
火事と地震、それに台風。
それらが同時に起きたような状態ということになる。
K君はやりようのない自分を、そのまま身近にいる妹や母親に、ぶつけている。
「そんなことをすれば、ますますみなの心は離れてしまう」。
それを知りつつ、その自分をどうすることもできない。
それほどまでに、K君の心の中で起きている変化は、大きい。
が、ひとつだけ忘れてはいけない。
母親も苦しいかもしれない。
しかしそれ以上に、K君自身も、苦しんでいる。
心の緊張感から、逃れることもできず、もがいている。
ただその処理方法が、わからない。
●心の別室
心療医学の世界では、「うつ」ということになる。
突発的に発生する錯乱状態。
ささいなキーワードが引き金になることが多い。
ある女の子(6歳児)は、母親が「ピアノのレッスンをしましょうね」と声をかけただけ
で、錯乱状態になり、母親に包丁を投げつけたりした。
K君のばあい、外の世界では仮面(ペルソナ)をかぶる分だけ、その不平、不満を内的
世界に抑圧しやすい。
私は「心の別室」と呼んでいる。
この心の別室には、時効(時間がたてば忘れる)や、上書き(よい思い出がそのあとあっ
ても、上書きされることはない)がない。
ときと場合に触れて、「あのとき、お前は!」となる。
それこそ、50歳になっても、60歳になっても、出てくる。
ある老夫婦は、喧嘩になるたびに、40~50年前の話を持ち出して喧嘩していた。
「心の別室」を軽く考えてはいけない。
K君は、恐らくはげしい嫉妬心から、幼児期にその(心の別室)を作ってしまった。
で、これはあくまでも程度の問題だが、心の別室が、それほど大きなものでなければ、「そ
れに触れない」という形で接する。
心の別室は、だれにでもある。
が、それが程度を越えれば、それは「教育」の問題ではなく、(もちろん心理学の問題で
もないが)、「医療」の問題ということになる。
今では(こだわり)を取る薬にしても、たいへんよい薬がある。
精神安定剤にしても、よい薬がある。
私自身も、もともと情緒が不安定な人間なので、市販のハーブ系安定剤、漢方薬を、それ
ぞれうまく利用している。
海産物の多い食生活に心がけるだけでも、突発的な錯乱状態の多くを防ぐことができる。
イギリスでは昔から、『カルシウムは紳士を作る』という。
K君は、日常的に、甘い食品を多食していないか?
ジュースやアイスなど。
そのあたりも、一度、反省してみたらよい。
●愛情飢餓
が、最大の原因は、「愛情飢餓」と考える。
一義的には、母親に対する愛情飢餓ということになる。
が、年齢的に、たとえば母親の胸に触りたくても、それができない。
その葛藤が、母親に対する不平、不満となって転化していく。
本来なら、性のはけ口として、ガールフレンドにそれを求めていくという方法もある。
しかしそれについても、自分の中に残るマザコン(マザーコンプレックス)が、じゃまを
する。
KWさん自身も書いているように、「完ぺき主義=過干渉」と、その一方で祖父母を含めた
溺愛が、K君の周りを包んでいた。
人格の完成期(コア形成期)を、いわゆる「人形子」(イプセン)で、通り過ぎてしまった。
同年齢の女子を、異性として(=性のはけ口として)、接する技術も身につけなかった。
が、言い換えると、ガールフレンドができると、家庭内暴力は急速に収まる。
愛情飢餓感が、薄められるためと考えられる。
●では、どうするか
家庭内暴力については、たびたび書いてきた。
が、同じ青年期の「うつ」でも、家の中に引きこもってしまう子どもをマイナス型とする
なら、暴力を振るうプラス型は、予後がよい。
その時期さえ通り過ぎ、また子ども自身が家を離れ、自活するようになれば、ウソのよう
に症状が氷解する。
むしろ常識豊かな人間に成長することのほうが多い。
(一方、引きこもりは、10年単位の静養期間が必要となる。)
ほかにも、攻撃型、依存型、服従型、同情型などがあるが、K君のばあいは、攻撃型と
いうことになる。
またこの時期、暴力といっても、それは「スレスレの暴力」であること。
子ども自身が、どこが「スレスレ」であるかをよく知っている。
それ以上のこともしない。
それこそ家族がメチャメチャになってしまう。
先ほど「殺す」という言葉を使ったが、家庭内暴力のばあいは、その心配はない。
どこかで理性のブレーキを働かせる。
だからあまり深刻に心配しないように!
が、それ以下でもない。
それでは暴力を振るう意味がない。
だからそのスレスレのところでする。
はげしい家庭内暴力であり、当事者のKWさんにしてみれば、地獄のような毎日。
しかしここでK君を抑え込んでしまえば、この問題にも二番底、三番底がある。
さらに症状は悪化する。
が、先にも書いたように、「道」が見えてくれば、K君は別人のように落ちついてくる。
今まで何10例と家庭内暴力を起こした子どもを観てきたが、例外なく、そうなる。
(もっとはげしい家庭内暴力を、私は直接見聞きしてきた。
家中のガラスというガラスを板やプラスチックにしてしまった家、子どもの前ではいつも
両手を床にすえ、はって移動しなければならなかった親、など。)
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司(家庭内暴力)
それについて書いた原稿を添付します。
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司(家庭内暴力)
●壮絶な家庭内暴力
+++++++++++++
家庭内暴力を繰りかえす子どもは、
外の世界では、信じられないほど、
(いい子)であることが多い。
T君も、そんな子どもだった……。
++++++++++++++
T君は私の教え子だった。
両親は共に中学校の教師をしていた。
私は七、八年ぶりにそのT君(中二)のうわさを耳にした。
たまたまその隣家の人が、私の生徒の父母だったからだ。
いわく、「家の中の戸や、ガラスはすべてはずしてあります」「お父さんもお母さんも、廊
下を通るときは、はって通るのだそうです」「お母さんは、中学校の教師を退職しました」
と。
私は壮絶な家庭内暴力を、頭の中に思い浮かべた。
T君はものわかりのよい「よい子(?)」だった。
砂場でスコップを横取りされても、そのまま渡してしまうような子どもで、やさしく、い
つも柔和な笑みを浮かべていた。
しかし私は、T君の心に、いつもモヤのような膜がかかっているのが気になっていた。
よく誤解されるが、幼児教育の世界で「すなおな子ども」というときは、自分の思って
いることや考えていることを,ストレートに表現できる子どものことをいう。
従順で、ものわかりのよい子どもを、すなおな子どもとは、決して言わない。
むしろこのタイプの子どもは、心に受けるストレスを内へ内へとためこんでしまうため、
心をゆがめやすい。
T君はまさに、そんなタイプの子どもだった。
症状は正反対だが、しかしこの家庭内暴力と同列に置いて考えるのが、引きこもりであ
る。
家の中に引きこもるという症状に合わせて、夜と昼の逆転現象、無感動、無表情などの症
状が現われてくる。
しかし心はいつも緊張状態にあるため、ふとしたきっかけで爆発的に怒ったり、暴れたり
する。
少年期に発症すると、そのまま学校へ行かなくなってしまうことが多い。
このタイプの子どもも、やはり外の世界では、信じられないほど「よい子」を演ずる。
そのT君について、こんな思い出がある。私がT君の心のゆがみを、母親に告げようと
したときのことである。
いや、その前に一度、こんなことがあった。私が幼稚園の別の教室で授業をしていると、
T君はいつもこっそりと自分の教室を抜け出し、私の教室へきて、学習していた。
T君の担任が、よく連れ戻しにきた。
そこである日、私はT君の母親に電話をした。
「私の教室へよこしませんか」と。
それに答えてT君の母親は猛烈に怒って、「勝手に誘わないでほしい。うちにはうちの教育
方針というものがあるから!」と。
しかしT君はそれからしばらくして、私の教室へ来るようになった。
家でT君が、「行きたい」と、せがんだからだと思う。
以後私は、半年の間、T君を教えた。
で、その「ゆがみ」を告げようとしたときのこと。
母親はこう言った。
「あんたは、私たちがお願いしていることだけをしてくれればいい」と。つまり「よけい
なお節介だ」と。
子どもの心のゆがみは、できるだけ早い時期に知り、そして対処するのがよい。
しかし現実にはそれは不可能に近い。
指摘する私たちにしても、「もしまちがっていたら……」という迷いがある。
「このまま何とかやり過ごそう」という、ことなかれ主義も働く。
が、何と言っても、親自身にその自覚がない。
知識もない。どの人も、行きつくところまで行って、自分で気づくしかない。
教育にはどうしても、そういう面がつきまとう。
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司
●再びK君について
今、K君は、幼児期、児童期に逃げなかった「殻」を懸命に脱ごうとしている。
母親の溺愛、過干渉からの脱皮、自己の確立、思春期の不安などなど。
自分を抑圧するものへの抵抗。
それは想像を絶する葛藤と言ってもよい。
が、これにも時期がある。
けっして希望的観測を書いているのではない。
K君の家庭内暴力が終わるのも、そろそろ時間の問題ではないか。
「行き着くところまで行き着きつつある」と。
が、それにはきわめてひとつ重要な条件がある。
『愛情の糸を切らないこと』。
運命とはそういうもの。
「こわい」「こわい」と思って逃げて回っていると、運命は、キバをむいて、あなたに襲い
かかってくる。
しかし運命を受け入れてしまえば、悪魔は向こうから、シッポを巻いて逃げていく。
「暴れたければ、暴れろ」「殺したければ、殺せ」、しかし「私はどんなことがあっても、
あなたを愛していますからね」と。
その気持ちがK君に伝わったとき、K君の心は平和を取り戻す。
KWさんも、落ち着く。
具体的には、(1)まず食生活の改善(白砂糖は麻薬と心得ること。「はやし浩司 白砂
糖は麻薬」で検索してほしい)。
(2)心療内科のドクターに相談する。
(3)K君に疎外感を覚えさせないようにし、ここに書いたように、「愛情の糸」を、最後
の最後まで、一本だけは残しておく。
(4)K君が自分の進路を見出せば、この問題は解決する。
(K君自身には、自分は悪いことをしているという意識はないので注意すること。
自分は正当なことを、しているだけという意識しかない。
説教しても、ほとんど効果がないのも、そのため。)
(5)あとは『暖かい無視』と『求めてきたときが与えどき』と心得る。
食事の世話にしても、K君が食べても食べなくても、きちんと用意する。
それが暖かい無視。
あなたに向かって暴力を振るったときも、怒った顔はせず、悲しそうな顔をして、K君の
顔を見つめる。
「殺したければ殺していいのよ」と。
そこまで覚悟を決めれば、こわいものは、ないはず。
またそこまで覚悟しなさい。
逃げないこと。
それが暖かい無視。
また何か助けを求めてきたら、間をおかず、すかさず提供する。
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司(家庭内暴力)
5年前に書いた原稿を添付します(2006年)
Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司(家庭内暴力)
【家庭内暴力】
●壮絶な家庭内暴力
+++++++++++++++
東京都に住んでいる、Eさんという
母親が、長男の家庭内暴力に
苦しんでいる。
父親と、二男とは、そのため別居。
疲れきったEさんは、「死んでしまいたい」
とまで思うようになったという。
+++++++++++++++
E様へ
拝復
パソコン上で原稿を書くと、どこかに記録が残ってしまいます。それがいつか、思わぬ
ところで、表に出てきてしまうことがあります。それでここでは、「E様」とします。お許
しください。
また、同じような問題をかかえている、ほかの多くの親たちの参考と励みになるよう、
一部、E様からいただいた相談内容を、引用させていただきますが、どうか、ご了解の上、
お許しください。
E様からのメールを、要約させていただきます。
++++++++++++++++
【Eより、はやし浩司へ】
2年前に相談したことがある、東京都のEです。
現在、兄は、高校1年生、弟は、中学2年生です。以前は、父親と私、子ども2人で、
生活していました。
その兄、つまり長男のことです。
中学3年になるころから、暴力がはげしくなり、「こんな俺にしたのは、お前だ」と、私
を殴ったり、蹴ったりします。タバコを吸い始め、髪の毛も茶色に染め始めました。3年
の中ごろから、学校へも、ほとんど行かなくなりました。
学校の先生から、「排除」という言葉が出てきたのも、そのころです。長男を、学校から
排除するというのです。それで長男の荒れは、ますますひどくなりました。
そこで父親(私の夫)と、二男は、近くにアパートを借りて、別居。現在は、私と、長
男だけが、いっしょに暮らしています。食事は、私が作り、毎日、父親と二男に届けてい
ます。
長男の暴力はひどいですが、一線だけは守ってくれているようです。今のところ、指の
骨折程度ですんでいます。
一応、単位制の通信高校に通っていますが、ほとんど学校へは行っていません。昼夜が
逆転し、夜中に起きてきて、私に、「食事を作れ」「こうなったのは、お前のせいだ」「弟は、
お前と別れて、よくなっただろ」「お前は、この家から出て行け」と、蹴ったりします。
私の精神はボロボロで、自殺願望も生まれてきました。
『許して、忘れる』という先生から教えてもらった言葉を口ずさみながら、何とか、そ
れに耐えていますが、本当にこれでいいのでしょうか。一言、アドバイスをしてください。
(東京都・Eより)
+++++++++++++++++++++++
Eさんの転載許可がいただけましたので、
Eさんからのメールを、ほぼそのまま、
ここに紹介します。
上記の内容とダブりますが、お許しください。
+++++++++++++++++++++++
【Eより、はやし浩司へ】
+++++++++++++++++++++++++++
転載許可がいただけましたので、Eさんからのメールを、
そのまま紹介させていただきます。(6・21)
Eさん、ありがとうございました。
+++++++++++++++++++++++++++
【Eより、はやし浩司へ】
2年ほど前、当時小学6年生だった。次男の不登校のことでご相談した事がある者です。
長男は、当時、中学2年生でした。
その長男が中3になり、中1とし、弟は同じ中学校に入学してきましたが、そのときもま
だ、弟の学校恐怖症がつづき、学校へは、行けない状況にありました。
そのことで長男は友達から、弟のことで、いろいろとつらいことがあったようです。
家でゴロゴロと寝ている弟をみて登校していく長男でしたが、6月の運動会が終わったあ
たりから、変わってきました。
タバコを、学校帰りに、友達と吸ったり、不良なんだとわざと見せるような行動をとるよ
うになりました。
深夜徘徊をしたり、学校から排除されるようなことを先生に言われたりし、しのともあっ
て、友達も、みんな長男から、引いてしまったようです。孤立してしまいました。
2学期からはほとんど学校へは行かず、受験も拒否。
髪は茶髪、金髪、弟へのプロレスごっこと称しての暴力もはじまり、それを止めないとい
って弟は、容赦ない暴力を私へ向けてきました。
去年の12月に主人と次男は隣町のマンションへ、出て行きました。
次男は中学も変わり、中1の3月までは不登校でしたが、中2になり4月からはまだ1日
も休むことなく楽しく登校できているようです。
長男は卒業式にも出席することなく、一応単位制の通信高校に入学はしましたが、ほとん
ど登校していません。
昼夜が逆転し、夕方ぐらいに起きてきて、夜中にわたしを起こし、飯を作れとか、耳元で、
わざと、うるさい音楽を流したりと、嫌がらせがつづいています。
『お前がこんなにしたんだ、お前が出て行けば俺はよくなる! ○○(次男)もお前から離
れたからよくなっただろう』と、蹴ったり殴ったりします。
それでも手加減はしてくれているようで、いままで病院へ行ったのは右手小指の骨折だけ
です。
私も学校へ行けだとか、昼夜が逆転していることを、なおしなさいとか、言わないように
しています。
次男へは毎日夕食を運んでいます。
自分を高めなければ精神がボロボロになってしまって、自殺願望が強くなるばかりです。
許して、許して忘れるの先生のお言葉を毎日、念仏のように口ずさみ、耐えています。
やがて時間が解決してくださると・・・
先生、それでいいのでしょうか、何も言わず、待つことがいちばんなんですよね。
もし、それでよけでば、それでよしとお答えくだされば、とても強い力になります。
孤独に閉鎖された中で戦う私に、後押ししてくださいませんでしょうか。
どうか、よろしくお願いします。
((はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司
家庭内暴力 親への暴力)
【追伸、Eより、はやし浩司へ】
長男のことについての相談のお返事、ありがとうございました。
ブログへの掲載はかまいません。
昨日も、長男が、弟は、おたくっぽくてかっこ悪いというので、そんなことないよ、かっ
こいいよといったことに腹を立て、殴ったり、ものをこわしたり、網戸を破ってそれにラ
イターで火をつけようとしました。
私はそれに驚き、集合住宅でもあるし、火を出したら大変だと、脅す大河をそれだけはい
けないと叫びました。
私が嫌がる事はわざとやるので、ソファーも火をつけたり、(すぐ消える程度)していたの
で、私がまず、家を出なければと急いで家を出ました。
そして一晩帰宅しませんでした。
長男へはメールで、「火をつけたり、暴力が続くとお互い傷つくし、自分も他人も取り返し
のつかないことになったら大変だから、暴力が治まるまで帰りません。何がそんなに哀し
いのかな・・・みんな、大河を愛しているよ、それはいつまでも変わりません。」
と送りました。
警察の少年サポートセンターの方が暴力からは逃げてください、受けたそのときに家を出
てください、毎日連絡は入れてください、と指導されました。
私も、どうしていいやら家を出て実家に帰ったものの、心配でなりません。
今は荷物を取りに帰宅しています。
次男へ食事も運べませんし、夫がコンビニの弁当を買ってきているようです。
2~3日したら帰宅しようとは思いますが、どうなんでしょうか。
火をつけたり、そんなまねごとでも危険な事は、許すわけにはいきません。
私は内科でデパスとメイラックスという、不安を取り除くお薬を処方してもらい、寝る前
に飲んでいます。
メイラックスと言う薬は次男も、G大病院思春期外来で処方され、飲んでいました。
長男に、飲ませてはどうでしょうか。
とても、病院に一緒に行ってくれる状態ではありません。
長男が苦しんでいるのはわかります。
だから、強がって仮面をかぶって外に出るのもわかります。
不良になりたがるのも、よくわかります。
私も、そんな格好を非難する言葉や、世間体が悪いだとか、罵るような事を言ってしまい
ました。
反省しています。
それなのに、今からでも大丈夫でしょうか、母と子の関係を修復できるでしょうか。
今回はご返答ありがとうございました。
私は「許して忘れて、諦める」を念頭に、がんばって母親をやっていきます。
Hiroshi Hayashi+++++++++++はやし浩司
【はやし浩司より、Eさんへ】
家庭内暴力の背景には、つぎのような素因があると考えてください。ざっと、急いで書
きあげたので、不備があるかもしれません。
(1) 子ども自身の、うつ病。(心の病気)
(2) 子ども自身の人間関係調整機能の喪失。(基本的信頼関係の構築の失敗)
(3) 子ども自身の自己管理能力の欠落。(幼児性の持続。わがまま)
(4) 子ども自身の二重人格性。(自分とは別の自分による暴力行為)
(5) 子ども自身の欲求不満。(性的欲求不満も含まれる。)
(6) 子ども自身の生育上の問題。(乳幼児期に「いい子」で通ってしまった。)
(7) 下の弟との関係。(「兄」であることから受ける重圧感。欲求不満)
が、何よりも大きな素因は、(8)自己嫌悪から発生する、自暴自棄的自虐性です。
このタイプの子どもは、自分の中にある、(自己嫌悪感)を解消したくても、それができ
ないジレンマに陥っていることが多いです。自己管理能力のしっかりしている子ども(人)
は、それを、うまく処理できるのですが、それができません。
それで弱い母親に対して、「こんなオレにしたのは……!」という言葉が出てきます。つ
まり自分で、自分を嫌っているわけです。(嫌う)というよりも、みなに嫌われているもど
かしさ、本当の自分を認めてもらえないつらさ、それを(暴力)にかえていると思ってく
ださい。
だから本当に、母親であるあなたを嫌っているというわけではありません。形こそ、少
しいびつですが、暴力的な(甘え)と理解すれば、よいかもしれません。
もちろんその(甘え)の中には、さまざまな要因がつまっています。
ここにあげた(人間関係調整機能の喪失)も、そのひとつです。つまり人間関係がじょ
うずに調整できない子どもは、依存的になったり、服従的になったり、同情的になったり
しますが、他者に対して攻撃的になったりします。
お子さんは、最後の攻撃型タイプということになります。(攻撃型タイプも、他者に対し
て攻撃的になるタイプと、自分に対して自虐的になるタイプがあります。)
が、心理状態は、いつも、孤独で、心の中に空虚感を覚えていると理解してください。
つまり心の中は、さみしいのです。そのさみしさを、埋めるために、あなたに対して暴力
を振るっているのです。
……と書くと、どうして?、と思われるかもしれませんね。
実は、あなたはお子さんのことを思ったり、心配してはいますが、そのつど、同時に、
お子さんを、突き放すような言動をしているからだと考えてください。これは無意識のう
ちに、そうしているのがふつうです。
子どもの心というのは、そういう意味では、たいへん敏感です。あなたのささいな言動
から、それをさぐり当ててしまいます。
そこであなたのお子さんは、ギリギリのところまでしながら、あなたの心を試そうとし
ます。ギリギリのところです。
家庭内暴力を起こす子どもは、いつもその限界の内側で暴れます。あなたが言う(自制)
という言葉は、それを言います。「これ以上のことをしたら、おしまい」という、その一歩
手前で、暴力を止めます。
これはお子さんの中に、もう一人の別のお子さんがいて、それを制御しているためと考
えれば、わかっていただけると思います。つまりそのつど、もう一人のお子さんが、「もう、
やめておけ」「そのへんで、ストップしろ」と命令をくだしているわけです。
それで「指の骨折程度」ですんでいるわけです。
つまりあなたのお子さんがしていることは、典型的な、「家庭内暴力」ということになり
ます。ですから、今は、つらいかもしれませんが、(お気持ちは察しますが)、問題として
は、とくに変わった問題ではないということです。
少なくとも、まったく同じような状況で、引きこもりを起こす子どもよりは、立ちなお
るのがずっと楽ですし、立ちなおったあと、むしろ、かえって常識豊かな人間になります。
私はそういう子どもの例を、何十例も見てきました。ですから、決して希望を捨てず、
あきらめず、短気を起こさず、前に向かって進んでください。必ず、一過性のもので終わ
ります。そしてみな、なにごともなく、終わっていきます。
『許して、忘れる』……これは何も、まちがっていません。今こそ、あなたの愛という
よりも、深い人間性が、子どもによって確かめられているのです。わかりますか?
親が子どもを育てるのではありません。親は、子育てで苦しみながら、子どもによって
育てられるのです。
そこでつぎのことに注意してみてください。
(1)突き放すようなことは言わない。
一方でお子さんのことを心配しながら、他方で、お子さんを突き放すようなことを言っ
たり、したりしていませんか? たとえば、「ごめん、ごめん」と口で言いながら、少し、
お子さんの機嫌がよくなると、「もう、あなたなんかイヤ」とか言う、など。
これは究極の状態ということになりますが、「私はもう殺されてもいい。それでも、私は
あなたを見捨てませんからね」という状態になったとき、あなたのお子さんは、はじめて、
あなたに安心感を覚えるようになります。
あなたにその覚悟はできていますか。が、あなたには、その覚悟は、まだできていない。
「殺されるのはいやだ」「世間体が悪い」「子育ては、もうこりごり」と。
あなたのお子さんは、そのスキをついて、家の中で暴れます。満たされない愛への欲求
不満を、あなたにぶつけてきます。ですから、あなたはつぎの言葉だけを、子どもの前で
は、繰りかえします。
「ごめんなさい。お母さんが、悪かった」「どんなことがあっても、私はあなたを愛しつ
づけます」と。何があっても、最後の最後まで、その言葉を繰りかえします。これはまさ
に、壮絶な根くらべです。
(2)子どもも苦しんでいる。
あなたには想像できないかもしれませんが、あなたのお子さんも、そういうあなたを見
ながら、苦しんでいます。あなたが苦しんでいる以上に、お子さんも苦しんでいるという
ことです。(今のあなたには、想像できないかもしれませんが……。)
あなたは、お子さんにとって、最後の(心の拠り所)です。砦(とりで)です。その拠
り所を、自分で破壊しながら、お子さん自身は、自分でそれをよしとはしていないのです。
愛する人(=あなた)をキズつけながら、それをしている、自分が苦しいのです。
自己嫌悪から自暴自棄になるのは、そのためと考えてください。
しかも自分に関することが、すべてうまくいかない。中学校の友人たちには嫌われる。
高校へも進めなかった。何をしてよいのかわからない。何をしたいのかもわからない。家
族もバラバラになってしまった。(現実の自分)と、(自分が頭の中に描く自分)が、一致
せず、混乱している。
それは思春期のお子さんにしてみれば、たいへんな苦しみということになります。
今のお子さんの心理状態は、そういう状態であると考えてください。つまりあなたが、
それをまず、理解します。その上で、「あなたも苦しんでいるのね」と、子どもを暖かく包
んであげます。
(3)心の病気と考えてください。
できれば、一度、心療内科を訪れてみてください。今ではすぐれた薬も開発されていて、
お子さんの(突発的なキレ)(異常なこだわり)(うつ症状)などにも、すぐれた効果があ
ります。
心の病気といっても、脳の機能的な障害ですから、おおげさに考えないこと。決してお
子さんが、このまま人格障害者になるとか、そういうことではありません。いわば、一過
性の、はげしい熱病のようなものです。
しかも、確実になおる見込みのある熱病です。今までの私の経験からしても、今が山で、
18歳ごろまでには、ウソのように落ち着いてきます。先にも書きましたが、引きこもり
を起こすタイプよりは、ずっと回復も早く、予後(その後の経過)もいいです。
(家庭内暴力を起こすタイプを、「プラス型」というなら、引きこもりを起こすタイプは、
「マイナス型」ということになります。まったく正反対の症状ですが、原因も、対処の仕
方も、同じです。)
ですから、薬で落ち着かせる部分については、薬に頼ります。あなた自身が、カプセル
の中に入ってしまわないで、他人に任すところは、任せます。
私はドクターではありませんが、心療内科のドクターも、「うつ病」に準じて、治療を開
始するはずです。
ただこのときも、注意しなければならないことは、たとえ心療内科へ連れていくとして
も、(突き放すような言動)は、タブーだということです。施設へ入れるとか、入院させる
とか、そういう話は子どもの前では、ぜったいに、してはいけません。
少し前、子どもの立場で、自分の心の状態を語ってくれた青年がいました。(私のBLO
Gなどに書いておきましたが、ご覧になってくださいましたか? マガジンでも取りあげ
たことがあります。)
このBLOGの中で、「じじさん」というのは、その青年を批判した男性のことをいいま
す。内容はわからいませんが、多分、その男性は、その青年を、「引きこもりは、怠け病だ」
とでも言ったのではないかと思います。それでその青年が、反発しました。
+++++++++++++++++
【宮沢KさんのBLOGより転載、転載許可済み】
● 引きこもりは、病気だ!
お気楽にやっていきたいのに、今日もシビアになっちまう。
「引きこもり者更生支援施設内で暴行か、引きこもり男性死亡」って事件の話。
不条理日記さんのIMスクールについて、KMさんという人のコメント。
「このケースは、言ってみれば、自信過剰の民間療法の素人が、
癌の治療に手を出したようなものでしょう。
引きこもりの一部は精神科の病気、
それもとても治療の難しい病気なのだという対応が必要です。」
この人が正しい。タイコバン!
それに対して管理人のじじさんが
「引きこもりが病気!?
そのように病気病気言うから病気に甘えて
薬に甘えて医者、病院にあまえて何もできなくなってしまうから
それがひきこもりって、そのまんまの名前の病気になってしまうんではないでは? 」
じじさん、あんたねえ、
KMさんも「引きこもりの一部は」って、言ってるでしょ。
引きこもりには怠けもんも多いけど
正しい? 病気の人も多いの。
世間一般、じじさんと同じように思ってるだろうけど、
メラトニンやコルチゾールの分泌異常とか
前頭葉領域の血流低下とかアセチルコリンの消費量増大とか、
あとはPTSDとか親の共依存とか
かなり脳科学や臨床心理学で解明されてきてる。
やる気だって、脳内の化学物質の反応なんだよ。
無知だよなあ、世間のやつらは。
++++++++++++++++++
●引きこもり者更生支援施設依存症の親
IMスクールの事件じゃ、どうやら家庭内暴力で疲れ果てた家族が
施設に引き渡したらしいね。
精神科の世界で誰にもわからないから閉じ込めるしかない
今の医学ではそんなもの。
本人が一番辛かったはず、「なんでおれは暴れちまうんだろう」ってね。
原因はあるんだろうが、わたしにはもちろんわからない
引きこもりに正面から向き合うこともなく、
病理的な勉強も怠り、
甘えだとかやる気がないとかほかの子はちゃんとやってるのに
とか言ってる大人たちが、こんな、社会やこんな子供を作った。
あんたらこそ、やる気だしてみろよ
薬打って中毒になってみろよ
病気で足を切断されて足の大切さがわかり、
元通りにならない事をはじめて認める。
どうにもならない事って、その状況にならないとわからない事って、
あるだろう。
自分が正常でございと思ってるすべての連中、
あんたらは
感性が擦り切れて、何も感じられないからこんな世の中で平気でいられるだけだ。
宮沢Kの感性の爪の垢でも飲みやがれ!
この施設がどういう人たちがやってて、
どういうことが行われたかはわからない。
事故だったのかなんだったのかはわからない。
引きこもりにはそれなりの意義があるんだけど
わかってないんだろうな、こんな施設つくるくらいだから
(引きこもりの人生の意義の話は、またこんどね)
親が、子どもの暴力に耐えかねて
預かってくれる施設があると聞いて喜んで拉致させた。
親がこの施設に依存した。
親と子がいっしょに戦うことをあきらめた。
その結果、子どもは死んだ。
これだけだ。
臭いものにはフタか?
わが子は臭いものか?
誰かにまるごと頼みます、であとは平穏な暮らしが戻るのか?
(暴力で苦しんでる家庭では、
いっぺん親だけでも精神科や心療内科に相談に行くといい。
ハロペリドールなどの精神安定剤の処方で、おおかた静まる。
それからゆっくり時間をかけて話をしていってほしい。
相談するなら素人じゃなく専門家にしないとね。
ただ精神科くらい、医者の当たり外れの大きいところもないから
気に入る医者に出会うまで何人も回ること。
わたしは5つくらい、病院、回って奇跡的にいいドクターに会えて
やっと回復できた。
どうしてこんな無知で精神科の医者やってんの?というのが多い。
答えは「精神科は楽に儲かるから」。
(点数がいろいろ有利なのは事実)
+++++++++++++++++++++
★今日は最後に怠け者へ一言★
じじさんの言ってた、
たんなる「怠け者」の引きこもりやニート、不登校のあんたらに言っておく。
怠け者の末路は悲惨だよ。
生活保護って制度もいつまであるかわかんない。
バス代さえなくて何キロも歩いて病院にきてるおばさん、
家族から見放されて無縁墓地にはいるのを待って
光の入らない4畳半に住んでるおじさん。。。
やっぱ、施設とか、病院って、世の中にすごく必要。
こういう同病者をまじかにみれるもの。
自分の明日が見れるし
いっしょに抜け出そうとする仲間に出会えるもの。
ただし、自分から入りたい、と覚悟するまでが、時間、かかるのね。
これから医学はもっともっと進むよ。
病気かそうでないかは、かんたんに見破られるから
病気のフリもできない。
怠け者にはじじさんだけじゃなく、私も世間も、やさしくないよ。
【宮沢Kさんへ】
たいへん参考になりました。あなたのような体験をもった人たちが、もっと声をあげれ
ば、IMスクールのような、おかしな更生支援施設(?)は、なくなると思います。
++++++++++++++++++++
【再び、Eさんへ……】
ここで宮沢Kさんが、書いていることは、何かの参考になると思います。宮沢Kさんの
BLOGは、今のあなたのお子さんの立場で、自分の過去の経験を語っています。あとで
そのBLOGのアドレスを添付しておきますので、一度、あなたも、のぞいてみられたら
よいかと思います。
ともかくも、『許して、忘れる』ですよ。
あなたがこれを乗り切ったとき、あなたはすばらしいものを手にするはずです。つまり
(真の愛)がどういうものであるかを、知るはずです。今は、その試練のとき。あなたの
お子さんは、あなたにそれを教えるために、今、そこにいます。
決して短気を起こさず、決してあきらめず!
そうそうあなたの自殺願望ですが、これは育児にかぎらず、介護に疲れた人も、みな覚
えるものです。あなた自身も、一度、心療内科で、精神安定剤を処方してもらうとよいか
もしれません。
私も、姉に教えられて以来、女性用の精神安定剤をのんでいますが、よくききます。
なお、あなたからのメールを、こちらで一度手なおしして、私のマガジンに掲載したい
のですが、その許可をいただけませんか。あなたであることは、ぜったいわからないよう
に、書き改めます。
よろしくお願いします。
【宮沢Kの風・BLOG】
ここに書いた宮沢KさんのBLOGです。子どもの立場がよくわかり、Eさんの参考に
なると思います。
http://kenjinokaze.livedoor.biz/archives/50669992.html
どうか、めげないで、がんばってください。必ず解決する問題ですから。約束します。
(つづきは、Eマガのほうで。7月26日号、掲載予定)
Hiroshi Hayashi++++++++++June 06+++++++++++はやし浩司
●子どもの家庭内暴力で苦しんでいるEさんへ、
基本的には、心の病気と考えますが、この(病気)にいたるまでに、さまざまな原因や
理由が、そこにからんでいると考えてください。
糸が複雑にからむようにからんでいるため、それを解きほぐすのは、容易なことではあ
りません。それこそ、乳幼児期からの糸がからんでいることもあります。
ついでながら、乳幼児期から、(いい子)で通ってきた子どもほど、思春期を迎えるころ
から、この家庭内暴力も含めて、さまざまな問題行動を起こすことがわかっています。
(そういう点でも、子どものころから、(何を考えているかわからない子ども)ほど、心配
な子どもということになりますね。)
で、その家庭内暴力を起こす子どもの行動には、一定のパターンがあります。
(1)限界状況の把握
家庭内暴力を繰りかえす子どもの最大の特徴は、自ら、無意識のうちにも、限界状況を
設定するということです。つまり子どもは、「これ以上のことをしたら、おしまい」という、
その限界ギリギリのことまではします。が、しかしそれ以上のことはしません。
(自分に対する怒り)を、(家族)にぶつけているだけだからです。つまり本当に相手(あ
なたという親や兄弟)を憎んでいるから、暴力行為を繰りかえしているのでないというこ
とです。(自分でも、自分をどうしたらいいかわからない)という思いを、(怒り)に変え
ているだけなのです。
そういう点では、わがままな子、あるいは、俗な言い方をすれば、「甘ったれた子」とい
うことになります。それだけ、人格の核形成(コア・アイデンティティ)の遅れた子ども
ということになります。
(2)自虐的な愛の確認
家庭内暴力を起こす子どもは、完ぺきな愛を、家族、なかんずく母親に求めようとしま
す。完ぺきな愛です。「どんなことをしても、自分は許されるのだ」「愛で包んでもらえる
のだ」という愛、です。
その点、マザーコンタイプの子どもの心理に似ています。で、その完ぺきな愛を確認す
るために、暴力行為を繰りかえします。
が、暴力行為を加えられるほうは、たまったものではありません。当然のことながら、(子
どもを愛したい)という気持ちと、(子どもから離れたい)という気持ちの間で、はげしく
葛藤します。
その葛藤の間げきをついて、子どもは暴れます。たとえば親が、「病院へ一度、行ってみ
ようか?」「そんなに私(=母親)が嫌いなら、私は、この家から出て行こうか?」「ひと
りでアパートに住んでみる?」などという言葉を口にすると、突然暴れ出す子どもが多い
のは、そのためです。
子どもは、その一言に、大きな不安を覚えることになります。
(3)二面性
家庭内暴力を起こす子どもについて、多くの親たちが、「どうして?」と悩んでしまうの
が、二面性の問題です。
はげしく暴れながらも、それが収まったようなときには、別人のようにやさしくなった
り、親をいたわったりします。
実はそうした二面性は、暴力行為を繰りかえしている最中でも、それがあります。ある
男性は、こう言いました。彼は高校時代から青年期にかけて、その家庭内暴力を繰りかえ
しました。
「親を殴りつけている間も、もう1人の、別のぼくが自分の中にいて、『やめろ』『止め
ろ』と叫んでいた」と。
そこで私が、「では、どうしてそのとき、暴力をやめなかったのだ?」と聞くと、その男
性は、こう言いました。
「やめようと思っても、もう1人の自分が、どんどんと勝手に怒ってしまった」「途中で
やめると、かえって、自分がへんな人間に見られるようで、できなかった」「自分でも、ど
うしようもなかった」と。
で、その男性のばあい、家庭内暴力をやめるきっかけになった事件があったそうです。
ある夜のこと。その男性は、いつものように自分の母親を殴ったり、蹴ったりしました。
で、そのあとのこと。その男性が、いつものように家を出ようとしたところ、(本当は出る
つもりではなく、庭先にあるガレージの二階に行こうとしたのですが)、母親がその男性を
追いかけてきて、「出て行かないで」「どこへも行かないで」と、泣きながら懇願したそう
です。
それを見て、その男性は、自分にそんなことまでされて、なおかつ、「出て行かないで」
と泣き叫んだ母親に、自分が求めていたものが、それだったと気がついたというのです。
以後、その男性は、それまでの男性とは別人のように、穏やかになっていったそうです(母
親談)。
(4)緊張状態
子どもが暴れるメカニズムは、つぎのようです。
基本的に、子どもの心は、極度の緊張状態にあると考えます。この緊張状態が、日常的
に悶々とつづいています。
この緊張状態の中に、不安(将来への不安、現実への不安、孤独への不安など)、心配(将
来への心配)などが入りきんでくると、それを解消しようと、心の緊張状態が、一気に倍
加します。
それが突発的な暴力行為へと発展します。
ですから、このタイプの子どもについては、(1)緊張状態の緩和を心がける、(2)不
安や心配ごとを持ちこまないということになりますが、ふと言った言葉が、キーワードに
なり、それが子どもを激怒させるということも、少なくありません。
これはある年長児の女の子の例ですが、母親が、「ピアノのレッスンをしようね」と声を
かけただけで、激変し、あるときは、母親に向かって、包丁まで投げつけたといいます。
そこで対処のし方ということになります。
今ではすぐれた薬もあり、またこうした心の病気に対する理解も深まってきましたから、
決して、ひとりでは、悩まないこと。本人は、なかなか行きたがらないかもしれませんが、
よく説得して、一度、心療内科の医院を訪問してみることが、第一です。
つぎに子どもが暴れだしたら、説教したり、自分の意見を述べたりするのは、タブーと
心得ます。かえって火に油を注ぐようなことになりかねません。ですから、「ごめんなさい」
とだけ言い、それを、どんなことがあっても、繰りかえします。子どもが意見を求めてき
たようなときでも、「ごめんなさい」とだけ言って、それですまします。
「子どもが暴力行為を始めたら、家から出て、逃げろ」と教える指導員もいるようです
が、私は、反対です。
そのときはそれですむかもしれませんが、つぎのとき、それが理由で、また暴力が始ま
ることが多いからです。「この前の夜は、ぼくを捨てて、家を出て行ったではないかア!」
「どうして、オレを捨てたア!」とです。
Eさんの息子さんが、ソファにライターで火をつける行為も、「火をつけて家を燃やした
い」からではなく、「オレをひとりにしておくと、オレはたいへんなことをするぞ」「だか
らオレをひとりにするな」ということを、あなたに伝えたいからです。またそう解釈する
と、あなたのお子さんの心理が、より理解できるのではないでしょうか。
この問題の根底には、根深い、相互の不信関係(基本的不信関係)がからんでいます。
そしてそれは、どこかにも書きましたが、子どもが、乳幼児期に始まります。
本来なら、子どもは、親に向かって、言いたいことを言い、したいことをしながら、そ
のつど自分を発散しながら成長するのが、好ましいのですが、それができなかった。それ
が回りまわって、子どもの心を、ゆがめてしまった。それが今、はげしい暴力行為となっ
て、家庭の中で起きている。現状を解説すれば、そういうことになります。
で、家庭内暴力を経験した子ども(おとな)は、みな、こう言います。
「あんなことをしたのに、親は、自分を見捨てなかった」「それが自分を立ちなおらせる
きっかけになった」と。
反対に、そうでないケースも、少なくありません。親のほうが、根をあげてしまい、子
どもを施設へ送ったりするようなケースです。それぞれの親には、それぞれの、やむにや
まれない事情もあるのでしょう。が、それをするのは、最後の最後。またそれをしたから
といって、この問題は、解決しません。
さらに二番底、三番底へと、子どもは、落ちていきます。
しかし心の病気と考えれば、気も楽になるはずです。しかも、この病気だけは、必ず、
なおります。そういう病気です。ですから、どうか、短気だけは起こさないでください。
ただ家庭内暴力にかぎらず、どんな(心の病気)もそうですが、1年単位の時間はかかり
ます。それは覚悟しておいてください。
許して、忘れる。
その度量の深さによって、あなたのお子さんへの愛情の深さが決まります。子どもを投
げ出したとき、あなたは、親として、はげしい敗北感を味わいます。ですから、決して、
投げ出さないこと。
谷が深ければ深いほど、そのあと、あなたと息子さんは、すばらしい親子関係を築くこ
とができます。それを信じて、前に進んでください。
Hiroshi Hayashi++++++++++June 06+++++++++++はやし浩司
【アルバムの効用】
子育てをしていて、苦しいことや悲しいことがあったら、アルバムをのぞくとよいです
よ。あるいは、アルバムを、家の中心に置いてみてください。
アルバムには、私たちが想像する以上の力があります。理由は簡単です。そこには、楽
しかったとき、うれしかったときが、凝縮されているからです。
ぜひ、Eさんも、一度、ためしてみてください。それだけで、心が軽くなるはずです。
お子さんへの、愛情も、それで取りもどせるはずです。ひょっとしたら、お子さん自身も、
です。
++++++++++++++++
原稿を一作、添付します。
(中日新聞掲載済み)
++++++++++++++++
【2】(特集)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
休みます。
【3】(近ごろ、あれこれ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
休みます。
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はやし浩司のホームページ http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/
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よろしくお願いします。 はやし浩司
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