Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Saturday, August 21, 2010

●地球温暖化、もうひとつの問題





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子育て最前線の育児論byはやし浩司   10年 9月 17日
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【1】(子育てのこと)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

【今週の幼児教室より】(形の学習)2010-8-19(年中児+年長児)

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Hiroshi Hayashi+++++++Aug. 2010++++++はやし浩司

●8月22日(心のメカニズム)【心の原点はどこに?】

+++++++++++++++++

今朝は、投稿原稿の修正から始まった。
「惑星」を「衛星」と訂正した。
昨日、火星の衛星の「フォボス」について
原稿を書いた。
私はそれを「惑星」と書いた。

フォボスは惑星ではなく、衛星である。
こんなことは常識。
しかしどうしてまちがえたのだろう?
このところ、こういうミスが多くなった。
先日もどこかの講演の中で、「カテコールアミン」と、
言うべきところを、「サイトカイン」と言ってしまった。
ともに脳内ホルモンだが、作用はまったく違う。

そのことをワイフに話すと、ワイフもあっさりと
こう言って認めた。
「そう言えば、最近、言葉をよくまちがえるわね」と。

注意力がそれだけ散漫になってきたのかもしれない。
これからは今以上に、使う言葉に注意しよう。 

今朝は曇り。
涼しい。
雨が降れば、もっと涼しい。

朝食までに、マガジン9月号を発行しよう。
それがとりあえずの目標。
それにこの数日、運動不足。
どうしようか?

そうそう昨夜遅く、佐鳴湖へ写真を撮りに行った。
写真(静止画)は何とか撮れたが、ビデオ(動画)は、
やはり無理だった。
再生してみたが、明かりがポツン、ポツンと映って
いる程度。
おまけに三脚を、置いてきてしまった。
これもミスのうち。

暑さのせいか、このところどうも頭の中が
スッキリしない。

今朝は、サイトカインについての復習から
始めよう。

++++++++++++++++++ 

【心の原点(心のメカニズム)】(2009年5月24日作)

++++++++++++++++

脳の活動は、「ニューロン」と呼ばれる
神経細胞が司っている。
それは常識だが、しかしでは、その
神経細胞が、「心」を司っているかというと、
そうではない。

最近では、心の原点は、脳内の化学物質、
つまり脳内ホルモンであるという説が、
半ば常識化している。
私たちの心は、常に、この脳内ホルモンに
よって、影響を受け、コントロールされて
いる。

その例としてわかりやすいのが、
フェニルエチルアミンというホルモン
ということになる。
そのフェニルエチルアミンについて書いた
原稿がつぎのものである。

+++++++++++++++++

●恋愛の寿命

+++++++++++++++++

心ときめかす、恋心。しかしその恋心
にも、寿命がある。

+++++++++++++++++

 その人のことを思うと、心がときめく。すべてが華やいで見える。体まで宙に浮いたよ
うになる……。恋をすると、人は、そうなる。

 こうした現象は、脳内で分泌される、フェニルエチルアミンという物質の作用によるも
のだということが、最近の研究で、わかってきた。恋をしたときに感ずる、あの身を焦が
すような甘い陶酔感は、そのフェニルエチルアミンの作用によるもの、というわけである。

その陶酔感は、麻薬を得たときの陶酔感に似ているという人もいる。(私自身は、もちろ
ん、麻薬の作用がどういうものか、知らない。)しかしこのフェニルエチルアミン効果の
寿命は、それほど長くない。短い。

 ふつう脳内で何らかの物質が分泌されると、フィードバックといって、しばらくすると
今度は、それを打ち消す物質によって、その効果は、打ち消される。この打ち消す物質が
分泌されるからこそ、脳の中は、しばらくすると、再び、カラの状態、つまり平常の状態
が保たれる。体が、その物質に慣れてしまったら、つぎから、その物質が分泌されても、
その効果が、なくなってしまう。

しかしフェニルエチルアミンは、それが分泌されても、それを打ち消す物質は、分泌さ
れない。脳内に残ったままの状態になる。こうしてフェニルエチルアミン効果は、比較
的長くつづくことになる。が、いつまでも、つづくというわけではない。やがて脳のほ
うが、それに慣れてしまう。

 つまりフェニルエチルアミン効果は、「比較的長くつづく」といっても、限度がある。も
って、3年とか4年。あるいはそれ以下。当初の恋愛の度合にもよる。「死んでも悔いはな
い」というような、猛烈な恋愛であれば、4年くらい(?)。適当に、好きになったという
ような恋愛であれば、半年くらい(?)。(これらの年数は、私自身の経験によるもの。)

 その3年から4年が、恋愛の寿命ということにもなる。言いかえると、どんな熱烈な恋
愛をしても、3年から4年もすると、心のときめきも消え、あれほど華やいで見えた世界
も、やがて色あせて見えるようになる。もちろん、ウキウキした気分も消える。

 ……と考えると、では、結婚生活も、4年程度が限度かというと、それは正しくない。
恋愛と、結婚生活は、別。その4年の間に、その2人は、熱烈な恋愛を繰りかえし、つぎ
のステップへ進むための、心の準備を始める。

 それが出産であり、育児ということになる。一連のこうした変化をとおして、今度は、
別の新しい人間関係をつくりあげていく。それが結婚生活へとつながっていく。

 が、中には、そのフェニルエチルアミン効果による、甘い陶酔感が忘れられず、繰りか
えし、恋愛関係を結ぶ人もいる。たとえばそれが原因かどうかは別にして、よく4~5年
ごとに、離婚、再婚を繰りかえす人がいる。

 そういう人は、相手をかえることによって、そのつど甘い陶酔感を楽しんでいるのかも
しれない。

 ただここで注意しなければならないのは、このフェニルエチルアミンには、先にも書い
たように麻薬性があるということ。繰りかえせば繰りかえすほど、その効果は鈍麻し、ま
すますはげしい刺激を求めるようになる。

 男と女の関係について言うなら、ますますはげしい恋愛をもとめて、さ迷い歩くという
ことにもなりかねない。あるいは、体がそれに慣れるまでの期間が、より短くなる。はじ
めての恋のときは、フェニルエチルアミン効果が、4年間、つづいたとしても、2度目の
恋のときは、1年間。3度目の恋のときは、数か月……というようになる(?)。

 まあ、そんなわけで、恋愛は、ふつうは、若いときの一時期だけで、じゅうぶん。しか
も、はげしければはげしいほど、よい。二度も、三度も、恋愛を経験する必要はない。回
を重ねれ重ねるほど、恋も色あせてくる。

が、中には、「死ぬまで恋を繰りかえしたい」と言う人もいるが、そういう人は、このフ
ェニルエチルアミン中毒にかかっている人とも考えられる。あるいはフェニルエチルア
ミンという麻薬様の物質の虜(とりこ)になっているだけ。

 このことを私のワイフに説明すると、ワイフは、こう言った。

 「私なんか、半年くらいで、フェニルエチルアミン効果は消えたわ」と。私はそれを横
で聞きながら、「フ~ン、そんなものか」と思った。さて、みなさんは、どうか?

(はやし浩司 恋愛 恋愛の寿命 フェニルエチルアミン ドーパミン効果 麻薬性 は
やし浩司 恋の寿命 恋の命 恋愛の命 脳内ホルモン フィードバック (はやし浩司 
家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 恋のホルモン)

+++++++++++++++++++++

話を戻す。
ここで「フィードバック」について、もう一度、説明してみたい。

脳というのは、それ自体がいつもカラの状態を保とうとする。
たとえば驚いたようなとき、脳は直接、副腎に作用して、アドレナリンを分泌させる。
ドキドキしたり、ハラハラしたりするのは、そのためである。
発汗を促すこともある。

が、同時に脳の中では別の反応が起こる。
視床下部にある脳下垂体が、それを感知して、副腎に対して、副腎皮質刺激ホルモン
を分泌するようにと、言うなれば、指令ホルモンを分泌する。
このホルモンによって、副腎が刺激を受け、副腎は、副腎皮質ホルモンを分泌する。
わかりやすく言えば、脳内に分泌されたアドレナリンを、副腎皮質ホルモンが
今度は中和しようとする。

こうして脳内はいつもカラの状態、つまり平常な状態を保とうとする。
それをフィードバック(作用)という。

●生殖

(私が男性ということもあって)、私は、男性のことはよく知っている。
女性も、それほどちがわないと思うが、男女の行為の前と後とでは、異性の肉体の見方が、
まったくちがう。

男性のばあいは、180度、変化することも珍しくない。
あれほど狂おしく求めた相手でも、行為が終わったとたん、スーッと興味が
しぼんでいく。
消えていく。
それは満腹感ともちがう。
心そのものが、変化してしまう。
男性のばあい、それがおもしろいほど急激な変化となって現れる。

こうした現象をどう考えたらよいのか。

先に副腎の話を書いたが、脳からの指令を受けてホルモンを分泌する器官は、
ほかにもたとえば、甲状腺や生殖腺などがある。
さらにごく最近の研究によれば、胃や、大腿筋でも、ある種のホルモンが
分泌されることもわかってきた。
肉体、すべてがホルモンの分泌器官と考えてよい。

では、生殖腺でも、副腎と同じような化学変化が起きているとみてよいのか。
というのも、男女の(心)を説くとき、(行為の変化)ほど、顕著に現れる変化は、
ほかにそうはない。

(行為……最近、BLOGでは、使用禁止用語を設定しているところが多いので、
こういう言葉を使う。つまりSxxのことをいう。)

さらに言えば、「私は私」と思っているしている思いや行動といったものも、
実は、脳内ホルモンによってコントロールされているということになる。

その証拠に、先ほども書いたように、(男性のばあい)、行為の前と後とでは、
心の状態が、180度変わってしまう。

●知性と心

たとえばここに難解な数学の問題があるとする。
「1から5ずつふえていく数列がある。この数列の数を、5番目から、20番目まで
を合計すると、いくつになるか」と。

高校で習う公式を使えば、簡単に解ける。
公式を知らない人でも、電卓を片手に、足し算を繰り返せば解ける。
こうした作業を受け持つのは、大脳連合野の中でも、比較的外側にある、皮質部という
ことになる。

一方、(心)というのは、そういう知的な活動とは、異質のものである。
どこかモヤモヤとしていて、つかみどころがない。
ときに理性のコントロールからはずれるときがある。
つまりそれが脳内ホルモンの作用によるものということになる。

たとえば何かよいことをしたとする。
人助けでもよい。
そういうときそういう情報は、辺縁系の中にある扁桃核(扁桃体)に信号として
送られる。
それに応じて、扁桃核は、モルヒネに似たホルモンである、エンケファリン系、
エンドロフィン系のホルモンを分泌する。
それが脳内を甘い陶酔感で満たす。
それが(人助けをした)→(気持ちよい)という感覚へとつながっていく。

こうして考えていくと、(あくまでも私という素人の考えだが)、知的活動は、
ニューロンと呼ばれる神経細胞が司るとしても、心のほとんどは、脳内ホルモンの
作用によるものと考えてよいのではということになる。
またそういうふうに分けることによって、心のメカにズムが理解できる。
しかしこの考え方は、両刃の剣。

●「私は私」

心のメカニズムはそれで説明できる。
それはそれでよい。
が、心が脳内ホルモンによるもの、あるいは脳内ホルモンに大きく影響を受けるものと
すると、(1)「心なんて、ずいぶんといいかげなんなもの」と思う人が出てくる
かもしれない。
さらに(2)「では、私とは何か、それがわからなくなってしまう」と考える人も
出てくるかもしれない。

心をときめかすあの恋にしても、フェニルエチルアミン効果によるものということに
なれば、それにまつわる求愛、デートなどの行動のすべてが、結局は脳内ホルモンに
よって操られているということになってしまう。
(実際に、そうなのだが……。)

となると、つまり(心)を自分から取り除いてしまうと、では、いったい、私は何か
ということになってしまう。
さらにつきつめていくと、私という私がなくなってしまう。
その一例として、先に、男女の行為のあとの、あの変化をあげた。
そこに妻の(あるいは夫の)肉体を見ながら、「行為の前の私は何だったのか?」と。

が、男女の行為だけに終わらない。
実は人間が織りなす行為のほとんどが、またそのほとんどの部分において、こうした
脳内ホルモンの作用に影響を受けているということになる。
どの人も、「私は私」と思って、それぞれの行動をしている。
が、その「私」など、どこにもないということになる。
「私たちの心は、脳内ホルモンに操られているだけ」と。
しかもいいように操られているだけ、と。

……と書くのは、危険かもしれないが、反対に、「どこからどこまでが私で、どこから
先が私でないか」と考えてみると、それがわかる。

「私は私」と思っている部分など、きわめて少ないのがわかる。
さらに言いかえると、人間もそこらに遊ぶ動物と、どこもちがわないということ。
あるいは、そこらの動物と同じということ。
ちがわないというより、ちがいを見つけることのほうが、むずかしい。

●「私」論

たいへん悲観的というか、絶望的なことを書いてしまったが、自分を知るためには、
脳内ホルモンの問題は、避けては通れない。
たとえば今、私は空腹感を覚えている。
この4~5日、ダイエットをつづけている。
胃袋が小さくなったような感じがする。
それでも空腹感を覚える。
ワイフがまな板をたたく音を聞いただけで、ググーッと、食欲がわいてくる。
条件反射反応が起きている。

恐らく脳内の視床下部にあるセンサーが、血糖値を感知し、ドーパミンンを
放出しているのだろう。
それが線条体にある受容体を刺激し始めている(?)。

その私は、「私は私」と思いながら、これからさまざまな行動を起こすはず。
庭へ出て、畑から、サラダ菜を採ってくる。
それにドレッシングをかける。
食卓に並べる……。

こうした一連の行為にしても、ドーパミンという脳間伝達物質に操られているだけ
ということになる。
もしそこに「私」がいるとするなら、空腹感を抑えながら、サラダ菜だけで、今朝の
食事をすますこと。
体重が適正体重に減るまで、それをつづけること。
つまり「私」というのは、ここでの結論を言えば、脳内ホルモンと闘うところに、ある。
けっして、脳内ホルモンに操られるまま、操られてはいけない。
その意思が、「私」ということになる。

(新しい思想、ゲット!)

……かなり乱暴な結論だが、今の私は、そう考える。

今朝(09年5月24日)も、こうして始まった。
今日はこのことをテーマに、自分の行動を静かに観察してみたい。
つづきは、また今夜!

みなさん、おはようございます!
Hiroshi Hayashi+++++++April. 2010++++++はやし浩司

●(注※)サイトカイン

++++++++++++++以下、「ウィキペディア百科事典」より+++++++++

サイトカインは細胞表面の膜上にある受容体(それ自体がチロシンキナーゼまたはチロシ
ンキナーゼと共役するものが多い)に結合して働き、それぞれに特有の細胞内シグナル伝
達経路の引き金を引き、結果的には細胞に生化学的あるいは形態的な変化をもたらす。

サイトカインは多機能的、つまり単一のサイトカインが標的細胞の状態によって異なる効
果をもたらす。例えば免疫応答に対して促進と抑制の両作用をもつサイトカインがいくつ
か知られている。

またサイトカインは他のサイトカインの発現を調節する働きをもち、連鎖的反応(サイト
カインカスケード)を起こすことが多い。このカスケードに含まれるサイトカインとそれ
を産生する細胞は相互作用して複雑なサイトカインネットワークを作る。

たとえば炎症応答では白血球がサイトカインを放出しそれがリンパ球を誘引して血管壁を
透過させ炎症部位に誘導する。またサイトカインの遊離により、創傷治癒カスケードの引
き金が引かれる。

サイトカインはまた脳卒中における血液の再還流による組織へのダメージにも関与する。
さらに臨床的にはサイトカインの精神症状への影響(抑鬱)も指摘されている。

サイトカインの過剰産生(サイトカイン・ストームと呼ばれる)は致死的であり、スペイ
ン風邪やトリインフルエンザによる死亡原因と考えられている。この場合サイトカインは
免疫系による感染症への防御反応として産生されるのだが、それが過剰なレベルになると
気道閉塞や多臓器不全を引き起こす(アレルギー反応と似ている)。

これらの疾患では免疫系の活発な反応がサイトカインの過剰産生につながるため、若くて
健康な人がかえって罹患しやすいと考えられる。


Hiroshi Hayashi+教育評論++April.2010++幼児教育+はやし浩司
Hiroshi Hayashi+++++++Aug. 2010++++++はやし浩司※


【2】(特集)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

【温暖化、もうひとつの問題】(人心の荒廃)

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地球温暖化(地球火星化)の問題は、地球が
温暖化するというだけではすまないのではないか。
地球温暖化の問題には、実はもうひとつ
深刻かつ重要な問題が隠されている。
人の心の問題である。

+++++++++++++++++++

●自業自得

この先、地球温暖化が進むのはどうしようもない。
まさに自業自得。
人類が自ら選んだ道。
どんな結果になろうとも、受け入れるしかない。
が、そこまでの過程が問題。
その過程で、さまざまな社会的変化が起きてくる。
その変化が人の心に深刻な影響を与える。

たとえば今年(2010)ロシアでは、穀物の輸出を制限するという。
大規模な山林火災がつづき、穀物の収穫が大幅に減ったことによる。
それを受けて小麦の国際価格は、30%ほど上昇すると見積もられている。
豊かな国はそれ耐えられるかもしれないが、貧しい国はそうでない。
豊かな国の、何十倍もの衝撃を受ける。
その衝撃を貧しい国々の人たちが、黙って受け入れるとは、とても
考えられない。

●不測の事態

地球温暖化の過程では、こうした予期せぬ事態がつぎつぎと起こる。
当然のことながら、そうした事態は私たちの生活に大きな影響をおよぼす。
たとえば日本の食料不足も、時間の問題。
(不足)→(価格の高騰)を繰り返しながら、やがて食料の輸入もままならなくなる
だろう。
すでに世界の人口の約3分の2が、日常的な飢餓状態にあるという。
もちろん水問題もある。
水を取り合って、国々が戦争を始めるかもしれない。
あのインド・パキスタン紛争にしても、もとはと言えば、水問題。
その争奪戦が原因で、戦争が始まった(1970年前後)。

そうした事態になったとき、地球温暖化の問題は別として、
私たちは私たちの(心)を、はたして守ることができるのか?
今のように、見かけだけでも善人のフリをしていられるのか?
やがてそのメッキははがれるだろう。
それがここでいう「もうひとつの問題」ということになる。

●弱者の論理

 ところで近代経済学の中では、貧者は常に弱者であり、無視されて当然
と考えられている。
つまり「数」に入っていない。
が、実際に世界を動かしているのは、数の上で圧倒的に多い、貧者たちである。
社会を、ときとして、予期せぬ方向に動かしてしまう。

が、貧者には貧者の論理がある。
近代経済学が、そのときどきの経済の動きを読みまちがえるのは、また読みきれない
のは、こうした貧者の論理を組み入れていないからである。
つまり勝者の論理だけで組み立てられている。
(貧者の論理については、たびたび書いてきたので、ここでは省略する。)

 嫉妬とねたみ、被害者意識と妄想……。
そういったものが積み重なっていく過程において、人心そのものをゆがめる。
それがいつしか、社会秩序そのものを破壊する。
そうしたメカニズムそのものが、まだ未解明のまま。

●メルボルン市

 たとえば40年前、オーストラリアのメルボルン市は世界屈指の
豊かな都市として知られていた。
温暖な気候。
安全。
世界第1、2位を争う国民所得。
だれも迷わずオーストラリアのことを、「ラッキーカントリー」と呼んだ。
が、そのオーストラリアに異変が生ずるようになった。

 その10年後には、酸性雨が降るようになった。
議会の前の石像が、ただれるように溶け始めた。
20年後には、世界中から難民とも言ってもよいような移民が、ふえ始めた。
東南アジア、中近東の国々などから。
多くの人たちがその国を逃れて、オーストラリアへやってきた。
30年後には、・・・つまり最近に至っては犯罪もふえ、夜中の女性の
ひとり歩きは、できなくなってしまった。

 オーストラリアの友人はこう言った。
「今では白人のほうが貧しくなってしまった」と。

●宗教

 こうした状況の中で人心を守る方法があるとすれば、「宗教」を
おいてほかにない。
それに代わるものといえば、哲学や心理学ということになる。
が、個々の人の心ということになると、それでは間に合わない。
つまり温暖化にまつわる心の荒廃を救うために、哲学や心理学の発達を
待っていたのでは、間に合わない。
そうでなくても、現代人は忙しい。
「食べていくだけで精一杯」という人にしてみれば、なおさらそうであろう。

 だから「宗教」ということになる。
が、私たち日本人について言うなら、その「宗教」がない。
仏教にしても完全に形骸化、儀式化している。
「日本の仏教は葬式仏教」と揶揄(やゆ)する人も少なくない。
つまり現在の仏教には、これからつぎつぎと起こるであろう人心の荒廃を
救済するだけの力はない。

そう断定するのは危険なことかもしれないが、少なくとも私は期待していない。
だいたいこういう事態になっても、日本の仏教界にしても、だれ1人、声を
あげないというのは、どうしたことか!

●人心の荒廃

 話を戻すが、人心の荒廃を甘く考えてはいけない。
真偽のほどはともかくも、1990年代の終わりごろ、北朝鮮でこんな
事件があったという。

 ある日母親が気がついてみると、自分の子どもがいない。
3、4歳の幼児だったと記憶している。
そこでその母親は懸命になって自分の子どもを捜した。
たぶん徹夜で捜したのだろう。
が、数日後、母親はある露天の前に来ると、そこで気を失ってしまった。
あろうことか自分の子どもの腕と手が、露天につりさげられ、
そこで「肉」として売られていたという。
韓国の朝鮮N報に載っていた話である。

 人心の荒廃というのは、それをいう。
そういうことが日常的に、あちこちで起こるようになる。

●宗教の限界

 地球温暖化が進めば進むほど、同時に人心の荒廃も進む。
が、議論されるのは、気象的な問題ばかり。
精神的な問題は、置き去りになったまま。
しかし気象的な問題は、まさに自業自得。
それによって人類が滅亡することになっても、しかたない。
が、私たちはそこに至る過程で、地獄を経験する。
まさに究極的な阿鼻(あび)地獄。
人で人が焼かれる阿鼻地獄。

 その地獄に耐える能力が、私たちにはあるのか。
先に私は「仏教には期待していない」と書いた。
それに仮に宗教があったとしても、みながみな、宗教心をもつわけではない。
1人の悪人がいれば、10人の善人がいても、善人は無力でしかない。
10人の悪人がいれば、1000人の善人がいても、善人は無力でしかない。
その悪人が、私たちを否応なしに、地獄へと引き込んでいく。
あのメルボルン市で、女性のひとり歩きができなくなってしまった理由は
そんなところにある。
(なお最近では、男性のひとり歩きも危険になったという。)

 それに宗教心をもつことは、そんな簡単なことではない。
仮にもったとしても、熟成期間が必要。
「阿鼻地獄」に耐えるほどまでの宗教心をもつことは、容易なことではない。

●精神の崩壊

 地球温暖化は、不測の事態が不測の事態を呼び起こしながら、急速に進んでいる。
たとえば10年前、どこのだれが海流の変化まで予測しただろうか。
凍土の融解までは予測した人はいたが、それが自然発火することまで、どこの
だれが予測しただろうか。

 が、さらに不測の事態が起こる。
人心が荒廃すれば、社会秩序、法秩序が崩壊する。
倫理、道徳が崩壊する。
良識や常識も崩壊する。
そうなったとき、どこのだれが法を守り、排気ガスの節減に協力するようだろうか。

1リットルのガソリンを奪い合って、殺し合いが始まるかもしれない。
1滴の水を奪い合って、殺し合いが始まるかもしれない。
当然、戦争も頻発するようになるだろう。
欲望をコントロールする精神的環境、社会的環境の両方が崩壊する。
 
●人心の荒廃

つまり世界の荒廃をもたらすものには、2つある。
内的荒廃と外的荒廃。
人間の精神の内部から崩壊していくのを、内的荒廃。
善悪判断、良識、常識そのものが崩れていく。

 もうひとつは社会環境が崩壊し、外部から崩壊してくのを、外的荒廃。
社会秩序、規範、法律そのものが崩れていく。
が、2つに分けてもあまり意味がない。

それらは同時進行の形で起こり、社会を荒廃させる。
「地獄」というのはまさに、そういった究極の崩壊状態をいう。
つまり私たちはその地獄を経験する。
その地獄に耐えうる能力はあるのか。
またそれを防ぐ方法はあるのか。
その準備はできているのか。

●欲望

 地球温暖化は、まさの人間の欲望が結晶したもの。
その欲望が地球環境そのものを破壊する。
同じ欲望が、同時に内部から人間を破壊する。
言うなれば、人間の欲望が地球を破壊し、ちょうどがん細胞のように、
自らも破壊する。

 なお人心の荒廃が一度起きれば、自然破壊は一気に進む。
不測の事態の中で、もっとも恐ろしいのは、人心の荒廃ということになる。
これは先にも書いたが、言うなれば、人類全体が、食料援助も水もない、
そんな難民キャンプに置かれたような状況になる。

●では、どうすればよいか

 地球温暖化というと、ほとんどの人にとっては、(どうしようもない
問題)ということになる。
私自身も、どこからどう手をつけてよいのかわからないでいる。
「車に乗るのは控えよう」と思ってはいても、道路へ出れば無数の車が
猛スピードで走っている。
何かをしようと思えば思うほど、無力感に襲われる。

 一方、人心の荒廃ということになると、私たち1人ひとりの問題と
いうことになる。
今からそれに備えて準備する。
早ければ早いほど、よい。
あるいは組織を形成し、計画的に行動する。
精神の荒廃を受け入れるに足る哲学を構築する。
力を合わせる。
まさに絶望的な闘いになるかもしれない。
が、それが私たちに残された唯一の選択肢ということになる。

●ラッキーカントリー

 だからそれでよいという話ではない。
しかし地球温暖化により、地球が火星化するにしても、最後の最後まで生き残る国が
あるとすれば、この日本と言われている。
四方を大洋に囲まれ、中央には、3000メートル級の山々を連ねる。
そのため「水」の心配はない。
中緯度帯に位置するのも幸いしている。
局地的な洪水、渇水は起こるだろうが、大陸的なあの大洪水や砂漠化は起こらない。
中緯度帯に属し、他民族の侵略も受けにくい。
難民も、海を隔ててそこで阻止できる。

 すでに富と知識を蓄積している。
科学力も工業力もある。
唯一の難点といえば、資源をもたないこと。
が、火星化の過程では、資源はそれほど意味をもたない。
大切なことは、生き延びること。
いざとなれば、人工たんぱく質の合成も可能。
(現在でも可能だが、製造をひかえているだけ。)

 であるならなおさら、日本は、世界のリーダーとして、世界の人たちを
指導していかなければならない。
またその地固めをしておく。
精神的基盤を確立しておく。
「日本だけはだいじょうぶ」と、高をくくっているわけにはいかない。

●近未来図

 それにしても……

 やがて日本人は、山脈の山奥に掘られたトンネルの中で生活をするようになる
のだろうか。
人工太陽で作られた食物を食べて生きるようになるのだろうか。
世界中の人たちが阿鼻地獄でもがき苦しむのを見聞きしながら、ビクビクと
おびえながら生きるようになるのだろうか。
それが私たちの近未来図とは思いたくないが、しかし現実は私たちが考えているより
はるかに深刻な方向に向かって進みつつある。
しかも急速に!

 私たちが子どものころは、気温が30度を超えれば真夏日。
めったに30度を超えることはなかった(岐阜県M市)。
それが今では、この8月に入ってからは、連日35度を超えている(岐阜県M市)。
例年通りとするなら、9月下旬まで、30度を超える日々がつづく。

体感気温でみるかぎり、この半世紀の間に5度は気温があがったのではないか?
精神的荒廃が世界各地で始まるのは、もはや時間の問題とみてよい。

(補記)

 たいへん暗く、悲観的なことを書いた。
この原稿を読んだ人も、憂うつな気分になるにちがいない。
しかし地球が温暖化しているという現実は、もうだれの目から見ても、疑いようがない。
そしてその温暖化は、今の今も、つづいている。
仮に今ここで二酸化炭素の排出量をゼロにしても、一度できた「温室」がそれで
なくなるわけではない。
気温の上昇は、そのままつづく。
また「2100年までには……」という言葉をよく聞く。
しかし2100年で、気温の上昇が止まるわけではない。
気温の上昇は、それ以後もつづく。

 が、気温の上昇ひとつとっても、そんな単純な問題ではない。
「異変」につづく「異変」。
不測の事態がさらに別の不測の事態を呼び、さらに別の異変をもたらす。
いかに想像力を働かせても、異変はその想像力をはるか超えたところで起こる。

 たとえば10年前に、(たった10年前だぞ!)、北極の白クマが絶滅品種に入る
などと、だれが想像しただろうか。
あのモスクワが、放射性を帯びた有毒ガスで覆われるなどと、だれが
想像しただろうか。
チェリノブイリ発電所の事故で飛び散った放射性物質が、今度は山林火災による灰
と共に、モスクワまでやってきた!

そうした異変が繰り返され、さらに年を追うごとにその数は加速度的にふえていく。

 しかし問題なのは、そうした異常事態がそこにあることではなく、あえて目を
そむけ、知らぬフリをしている私たちにある。
こうした無関心は、やがて環境問題が臨界点に達したとき、人の心を内部から崩壊
させる。
野生化するとか、野蛮化するとか、そういう単純な問題ではない。
利口であるがゆえに、人間は、やっかいな動物ということになる。
何をしでかすかわかったものではない。
少なくとも白クマのように、静かには絶滅しない。
つまりそのための心の準備を、今から始める。
さらに言えば、やがて人類が経験するであろう、阿鼻地獄に耐えうるだけの
哲学や人間性を確立する。
そのために私たちは、何をどう考えたらよいのか。

この原稿が、それをみなでいっしょに考えるきっかけになればうれしい。
 
(補記2)

 ところで最近私は、キリスト教の聖書によく目を通す。
その聖書を読みながら、先日は、ふと、こんなことを考えた。
「この聖書というのは、そのときのために書かれた書物ではないか」と。

 「そのとき」というのは、まさに「人類滅亡」のとき。
世界各地で起こるような戦争のようなものをいうのではない。
もっと大きな問題。
人類全体にかかわるような、大きな問題。
それを「最後の審判」と位置づける人もいる。
そのときにどう生きるか。
その道筋を示したのが、聖書ではないか、と。
聖書の冒頭が、天地創造、および人類創造で書き始まるのも、そのひとつ。

 言い替えると、聖書でいうところの「神」は、人類を見捨ててはいないという
ことになる。
もし見捨てているなら、こんな書物を残さない。
つまり聖書というのは、個々の生き様を示したものではなく、人類全体の生き様を
示したもの。
が、そう考えると、それが最後の希望ということになる。

 ただ誤解しないでほしいのは、だからといって、どこかのカルト教団の人たちの
ように、自分だけが救われればよいとは、私は考えない。
彼らは2、3か月に一度は私の家にやってきて、こう説く。
「神を信じた者だけが、救われます」と。

 どうであれ、私自身は地球が火星化するまでに死ぬ。
平均寿命まで、あと16年。
健康寿命まで、あと6年。
生き残ってほしいのは、私のつぎの世代の人たち。
さらにつぎのつぎの世代の人たち。
生き残るというより、ここに書いたような地獄だけは、経験してほしくない。
そのために今の私たちはどうあるべきか。
どう考えるべきか。
それをこの先も考えていきたい。

(はやし浩司 家庭教育 育児 教育評論 幼児教育 子育て Hiroshi Hayashi 林浩司 
BW はやし浩司 地球温暖化 地球火星化 精神の荒廃 人心の荒廃 社会秩序の崩壊 
道徳の崩壊 不測の事態)


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