●脳のクロック数(CPU)byはやし浩司
【人生の密度論】(脳みそのクロック数)
8月5日
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久しぶりに、『ニュートン』(ニュートン・プレス)
を買ってきた。
日本を代表する、すぐれた雑誌である。
「創刊30周年記念企画(後編)」と表紙にはある。
定価は1000円。
以前はもっと値段が高かったように思う。
おいそれと買えるような(?)雑誌ではなかった。
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● 137億年
2011年9月号。
「大宇宙137億年」という表紙の大見出しが気になった。
137億年!
少し前まで、宇宙の歴史は60億年と思い込んでいた。
が、この世界、つまり宇宙科学の世界は、研究が進めば
進むほど、広がっていく。
で、今は、137億年。
もっとも当初は時間も物質もない時代だから、「億年」という
言い方も、おかしいのでは?
素人の私がそう言うのは危険なこと。
しかし化学(物理学)の世界には、「1フェムト秒」という単位もある。
その「フェムト秒」については、何度も書いてきた。
10の15乗分の1秒をいう。
0・000000000000001秒!
単なる計算上の数字を言うのではない。
今では1フェムト秒単位で化学的な変化を、観察することもできる。
そういう装置も開発された。
そこで仮に1フェムト秒を、人間社会の1秒に換算すると、人間社会の
1秒は、その10の15乗倍になる。
で、計算してみると・・・。
● 1フェムト秒
今、手元に、それを直接計算できる計算機がない。
そこで逆に計算してみる。
1日は86400秒。
それを365倍して、1年は、31536000秒。
さらに1000倍すれば、1000年は、31536000000秒。
1万年は、3153600000000秒。
3x10の13乗。
だいぶ近づいてきた。
10万年は、3x10の14乗。
100万年は、3x10の15乗。
つまりその約3分の1。
約33万年。
仮に1フェムト秒を、人間社会の1秒に換算すると、
何と、約33万年!
もし私たちが1フェムト秒を1秒にして生きることが
できたとすると、約33万年も生きることになる。
たった1秒で!
● 時間
時間というのは、そういうもの。
「数字」ではない。
生き様の問題。
たとえば『ニュートン』誌によれば、この大宇宙は
一瞬にして誕生したという。
「1秒の1兆分の1の、その1兆分の1の、そのまた
1兆分の1秒に、宇宙は、1兆倍の、その1兆倍の、
さらにその1000万倍になった」と。
この一瞬というところが、くせモノ。
おかしい?
宇宙誕生のころには、この大宇宙は、1フェムト秒単位、
あるいはそれ以上の単位で動いていたかもしれない。
そのことは、現在の時間が、より長くなっているか、
それともより短くなっているかを知ればわかる。
それを逆算すれば、137億年前の「時間」が、
どういうものであったかが、わかるはず。
● 基本単位時間
そこで登場するのが、「基本単位時間」。
長さの世界で言えば、「もの指し」のようなもの。
が、そういうものはあるのだろうか。
もの指しがあれば、時間の長さを相対的に測定することができる。
たとえば分子の分子運動のようなものを、基本単位時間に
するという方法もあるかもしれない。
それを基準にすれば、現在の1秒が、より長くなりつつあるのか、
それとも短くなりつつあるかが、わかる。
しかしその分子運動も、実は、時間の影響を受けている。
というか、時間のエネルギーは、分子レベルから、光速レベルまで、
ありとあらゆるものに影響を与えている。
● 生きる時間
私の脳みそでは、ここまでしか考えられない。
しかしこういうことは言える。
ぐんと話しは哲学的になるが、こういうこと。
もし私たちが、今の時間を2倍にして生きれば、人生の長さも
2倍になるということ。
そうでなければ、そうでない。
たとえばダラダラとだらしない人生を送れば、人生の長さは、
2分の1になるかもしれない。
10分の1になるかもしれない。
しかし当の本人が、それに気づくことはない。
2倍にして生きている人にとっても、1年は1年。
10分の1にして生きている人にとっても、1年は1年。
2倍という実感を得ることは、むずかしい。
同じように、10分の1という実感を得ることはむずかしい。
●脳のクロック数
ご存知のように、コンピューターは、CPU(中央演算装置)に
よって、性能が決まる。
1秒間に何回計算するかで、性能が決まる。
私が35年前に買った、PET2001(コモドール社製)の
パソコンは、簡単な二次曲線を描くだけで、1分ほどかかった。
が、今は、瞬時に3Dの画像を、映画のように描いてみせる。
CPUの速度が速ければ速いほど、その分だけ、1秒なら1秒を
長く使うことになる。
つまりこういう考え方を、脳のCPUに当てはめて考えることは
できないか。
● 脳のCPU
最近の研究によれば、脳の中にもCPUに似た部分があることが
わかってきた。
視床下部の下あたりにあるらしい。
そこから連続的な信号が発せられ、それに基づいて脳の機能が
制御される。
で、ここからが私の仮説だが、こういうこと。
若いときほど、脳のクロック数は速く、年を取れば取るほど、
脳のクロック数は遅くなる。
このことは、幼児を見ていると、よくわかる。
幼児のもつ脳みそのクロック数は、おとなのそれより、はるかに速い。
速いから、おとなのクロック数を基準にして、ものを教えよう
としても、すぐ飽きてしまう。
だから幼児を教えるときは、幼児のクロック数に合わせて、
教えなければならない。
テンポを速くし、リズミカルに教える。
さらにこんなことも言える。
● 頭の回転数
若いときに感ずる1年と、年を取ってから感ずる1年には、
大きな差がある。
これはおおかたの人たちが経験していることである。
年を取れば取るほど、1週間、1か月、1年の過ぎていくのが
速く感ずる。
さらに青春時代の10年と、50代の10年とでは、明らかに
ちがう。
青春時代の10年間には、思い出がぎっしりと詰まっている。
50代の10年間には、思い出という思い出が、ほとんどない?
しかし青年にも、また老人にも、1年は1年として過ぎていく。
そのちがいは、何によってもたらされるかといえば、言うまでもなく、
脳のクロック数の問題ということになる。
わかりやすく言えば、「頭の回転数」。
●測定方法
が、それを知る方法はあるのか。
脳のクロック数を知る方法はあるのか。
私はひとつの方法として、会話の速度をあげる。
このことは、私が若いころ、気がついた。
当時、大平正芳(1910~1980)という人がいた。
元総理大臣である。
あの首相は、いつも、つぎのような話し方をしていた。
「・・・エ~、アノ~、つまり、ア~、日本の~、オ~
政治とオ~、いうものわア~ で、ございます」と。
脳に血栓性の梗塞があったのかもしれない。
今にして思えば、そう思える。
そのあとすぐ大平首相は、心筋梗塞か脳梗塞で亡くなっている。
「私なら数秒で言えることを、1分もかかっている」と、
当時の私は、そう感じた。
話し方が遅いから、脳のクロック数も遅いということには
ならないかもしれない。
しかし話し方の速度を測定すれば、その人の脳のクロック数を
ある程度、測定できるのではないか。
もちろん脳の中でもその部分だけが特異に発達している人もいるだろう。
老人でもペラペラと早口でしゃべる人は多い。
反対に沈思黙考型の人は、当然、話す速度が遅くなる。
アルコール中毒やヘビースモーカーの人などは、独特のかったるい話し
方をする。
また最近の研究によれば、女性のばあい、言語中枢が右脳にもあることが
わかってきた。
「女性はおしゃべり」という現象を説明する、ひとつの理由になっている。
いろいろな影響を受けることは事実。
が、総合してみれば、若い人は話し方が速い。
老人は遅い。
そこに一次関数的な連続性があることは事実。
つまりそれを手がかりにして、脳のクロック数を調べるという方法も
あるかもしれない。
● 最後に
もし脳のクロック数という考え方が証明され、かつクロック数を
速くする方法が見つかれば、その人は、今の人生を、2倍とか3倍に
して生きることができる。
生きる時間は同じでも、中身を2倍とか3倍にすることができる。
実感として、自分の人生を2倍とか3倍にして生きることができる。
それは可能なのか。
私自身は、不可能ではないと考える。
その反対の例として、緩慢動作が特徴な子どもがいる。
障害児という範囲の子どもではないが、何をするにも、動作が鈍い。
とっさの判断や、とっさの行動をするのが苦手。
脳の機能障害のひとつと考えられるが、定型化されているわけではない。
もちろん診断基準もない。
治療法も確立されていない。
しかし「いる」のは、事実。
そういう子どもを見ていると、脳のクロック数が遅いのでないかと
思われる。
もし私のこの推論が正しいとするなら、反対にクロック数をあげる
ことも可能ということになる。
とんでもない推論に思う人もいるかもしれないが、何も薬物に頼る
必要はない。
「人生」というのは、「生き様」の問題。
日常的な生活態度や、訓練によって、速くすることは可能。
・・・ということで、結論を言えば、ダラダラとその日、その日を
無益に生きるのも人生。
一瞬一秒を惜しんで、キビキビと生きるのも、これまた人生。
同じ10年でも、1年にようにして生きてしまう人もいれば、
100年のようにして生きる人もいる。
だから「生き様」の問題。
『ニュートン』誌を読みながら、私は別の脳みそで、そんなことを
考えた。
宇宙の話しはそういう意味で、たいへんおもしろい。
私はそういう話が好き。
想像力がかぎりなく、私の住む世界を広くしていく。
では・・・。
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Hiroshi Hayashi++++++Aug 2011++++++はやし浩司(林浩司)
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