*The Poor should eat wheat, rather than rice?
●「貧乏人は、麦を食え!」(“The Poor should eat wheat rather than rice.”)
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今度のST総務官の言葉を読んで、私は即座に、
「貧乏人は麦を食え」という、あの言葉を思い出した。
「所得の多い人は、米を食べ、所得が少ない人は、
麦を食べるという方向にもっていきたい」と、
当時の池田大蔵大臣は国会答弁の中で、そう言い切った(1950)。
そこから「貧乏人は麦を食え」という言葉が生まれたが、
実際に、池田大蔵大臣がそう言ったわけではない。
言ったわけではないが、しかしニュアンスは、同じ。
あえて言われなくても、麦しか食べられない。
そういう人も、当時は、たくさんいた。
私の家も、日常的に米に麦を混ぜて、食べていた。
が、それから半世紀。
職がなくて、困っている人たちを評して、
こう言った政務官がいた。
「本当にまじめに働こうとしている人たちが、
集まっているのかな、という気もした」※と。
言葉の内容はちがっても、発想は同じ。
傲慢(ごうまん)。
かぎりなく、傲慢。
情けないほど、傲慢。
国会議員になるほどの人だから、それだけの
品性がある人と思いたいが、中身は、ただのオジサン。
あるいはそれ以下。
強者と弱者は、けっして平等ではない。
平等感覚を、もってはいけない。
とくに強者は、もってはいけない。
社会の完成度は、その社会がいかに弱者に
やさしいかで決まる。
政治の完成度も、また同じ。
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●勝者も敗者も紙一重
あのね、その気はなくても、またその気はあっても、
ズルズルと社会の深みにはまっていく人は、いくらでもいるの。
自分の意思とは無関係に、ね。
勝者も敗者も、紙一重。
ほんのわずかなチャンスをつかんだ人だけが、
あとはスイスイと勝者になっていく。
が、せっかくチャンスをつかんでも、生かし方も知らず、
敗者になっていく人もいる。
あるいは人生の入口で、レールに乗ったというだけで、
あとは一生、安泰な生活をしている人がいる。
乗れなかったというだけで、一生、苦労している人もいる。
大きく違うようで、どこも違わない。
わかるかな、政務官!
あなただって、たまたま今は勝者かもしれないけれど、
つぎの瞬間には、わからないよ。
あなたはよくても、あなたの子どもの代にはわからないよ。
「諸行無常」という言葉もあるしね。
仕事にしても、そう。
いくら働く気はあっても、また働いても、やることなすこと、
裏目、裏目と出て、落ち込んでいく人もいるの。
そのうち、やる気をなくことだって、あるかもしれない。
が、それでも働くしかない。
働き口をさがすしかない。
それにそれぞれの人には、自分ではどうにもならない過去という
ものがあるでしょ。
生い立ちの環境もあるしね。
そういうものをすべて、本人の責任にしてしまうのも、どうかと思うよ。
つまりね、こんなことは常識。
生きている人の常識。
そういう常識もない人が、国のリーダーをしている?
まず、そのおかしさに、政務官自身が気がつくべきではないのかな?
野党のほうは、罷免(ひめん)要求を出す予定とか。
それは当然としても、しかしこれは人間性の問題。
国会議員である前に、政務官、あなたには人間性そのものが欠落している。
わかるかな?
ホームレスの人を棒でたたいて殺した、あの中学生と、同じ。
その中学生がおとなになって、出世して、(←この言葉は
本当に不愉快)、立派なスーツで身を包んだだけ。
(「立派」という言葉も、不愉快だね。
何をもって「出世」といい、何をもって「立派」というのかな?)
私はね、この記事を読んで、「挫折を経験したことがない人は、
こうなるのかな」と思ったよ。
恐ろしいことだね。
考えてみれば……。
貧しい人にというより、国民にもっと謙虚になってほしいね。
ホント!
(注※)++++++++++以下、読売新聞++++++++++++++
ST総務政務官(自民、衆院当選2回)は5日、総務省の仕事始め式のあいさつで、東京・日比谷公園の「年越し派遣村」について、「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのかな、という気もした」と述べた。
さらに、「『(厚生労働省の)講堂を開けろ』『もっといろんな人が出てこい』(と要求される)。学生紛争の時に『学内を開放しろ』『学長よ出てこい』(と学生が要求した)。そういう戦術、戦略が、かいま見える気がした」と語った。
+++++++++++++以上、読売新聞+++++++++++++++
私ね、政治家の中でも、もっとも謙虚で、勉強している人と言えば、
私たちの近くにいる、市議会議員たちの人だと思うよ。
無私で質素。
それが県会議員、さらには国会議員となっていくと、だんだん質が
落ちてくる。
その分だけ忙しくなるため、勉強する時間もなくなるのかな。
金銭感覚が麻痺してくるのかな。
それとも権力の奴隷になってしまうのかな。
政治家になる目的そのものが、ちがう。
そんな感じがするよ。
しかし……これもよくよく考えてみれば、私たちの問題かもしれないね。
「出世」とか、「立派」とか、いまだにこんな言葉が、政治の世界では
使われている。
いやだね。
不愉快だね。
もうこんな言葉を使うのを、やめようよ。
つまりね、私たちの意識から変えていかないと、いつまでたってもこういう
政治家が生まれてくるよ。
つぎつぎと生まれてくるよ。
Hiroshi Hayashi++++++++JAN. 09++++++++++++はやし浩司
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