Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Monday, August 16, 2010

●自発的行動(オペラント)

●ほめる



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子どもは、ほめて伸ばす。

これは家庭教育の大鉄則!



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●灯をともして引き出す



 欧米諸国では、『灯をともして引き出す』が、教育の基本理念になっている。「教育」を意味す
る(education)という単語も、もとはといえば、(educe)、つまり「引き出す」という単語に由来す
る。



 その灯をともして引き出すためには、子どもは、ほめる。ほめてほめて、ほめまくる。そのせ
いか、アメリカでもオーストラリアでも、学校の先生は、子どもをよくほめる。参観している私の
ほうが恥ずかしくなるほど、よくほめる。



 発達心理学の世界では、ほめることによって、自発的行動(オペラント)が生まれ、それが強
化の原理となって、子どもを前向きに伸ばすと考えられている(B・F・スキナー)。



●脳内ホルモンが脳を活発化させる



 このことは、大脳生理学の分野でも、裏づけられている。好きなことをしているときには、脳
内で、カテコールアミンという脳内ホルモンが分泌され、それが、ニューロンの活動を活発化
し、集中力や思考力をますことがわかっている(澤口俊之「したたかな脳」)。



 このとき大切なことは、得意分野をほめること。不得意分野や苦手な分野には、目をつぶ
る。たとえば英語が得意だったら、まずそれをほめて、さらに英語を伸ばす。すると脳内ホルモ
ンが脳全体を活発化し、集中力もます。そのためそれまで不得意だった分野まで、伸び始め
る。これを教育の世界では、「相乗効果」と呼んでいる。子どもの世界では、よくみられる現象
である。が、それだけではない。



ほめることによって、子どもの心そのものまで、作り変えることができる。こんなことがあった。



●子どもをほめるときは本気で



 ある小学校に、かなり乱暴な子供(小5男児)がいた。腕力もあった。友だちを殴る蹴るは当
たり前。先生もかなり手を焼いていたらしい。母親は、毎月のように学校へ呼び出されていた。



 その子ども(K君としておく)が、母親に連れられて私のところへやってきた。夏休みになる少
し前のことだった。私は、週1回、夏休みの間だけ、K君の勉強をみることにした。



 こういうケースで重要なことは、最初から、本心で、その子どもをいい子と思うこと。ウソや仮
面ではいけない。本心だ。英語の格言にも、『相手はあなたがその人を思うように、あなたを思
う』というのがある。あなたがAさんならAさんをいい人だと思っているなら、そのAさんも、あな
たのことをいい人だと思っているもの。心理学の世界にも、「好意の返報性」という言葉があ
る。



 子どもというのは、自分を信じてくれる人の前では、自分のいい面を見せようとする。相手の
好意には、好意でもってこたえようとする。そういう子どもの性質を利用して、子どもを伸ばす。



●「先生、肩もんでやるよ。」



 で、夏休みも終わりに近づき、母親にK君の様子を報告することになった。私は車の助手席
に、K君は、うしろの席にいた。私は、こう言った。



 「K君はたくましい子どもです。元気がありすぎるため、トラブルを起こすかもしれませんが、
今だけです。おとなになったら、すばらしい人になります。楽しみな子どもです」と。



 K君は、実際、好奇心が旺盛で、バイタリティもあった。おとなのユーモアもよく理解した。頭も
よい。母親は「そうでしょうか。」と、どこか心配そうだったが、その翌週、こんなことがあった。



 いつもより30~40分も早く、K君が私のところへ来た。「どうした?」と聞くと、K君は、少し恥
ずかしそうにこう言った。



 「先生、肩もんでやるよ。オレ、肩もむの、うまいんだア」と。



 私はだまって、K君の好意を受けた。

(はやし浩司 脳内ホルモン オペラント 自発的行動 カテコールアミン ドーパミン 子どもの
やる気 子供の集中力 思考力)





Hiroshi Hayashi++++++++++.Mar.06+++++++++++はやし浩司



●ほめる(2)※



●明るい4人兄弟



 Gさんの家には、男の子ばかり、4人の子どもがいます。が、どの子も、屈託なく、明るい。伸
びやか。その秘訣は、すぐわかりました。母親が、上の子どものお下がりを、下の子どもに与
えるとき、いつもこう言うのです。



 「あら、あなたも、Aちゃん(すぐ上の兄)のが着られるようになったわね。大きくなったわね」
と。



 母親がまず、それを心底喜んでみせる。それを受けて、下の子どもたちが、「大きくなった」と
喜ぶのです。そういう雰囲気を、母親が、無意識のうちにも、つくりあげていたのです。



●不思議なパワー



 子どもを伸ばす最大の鉄則、それは、子どもをほめることです。スキナーという学者は、ほめ
ることによって、自発的行動(オペラント)が生まれ、それが強化の原理となって、子どもを前向
きに伸ばしていくと説明しています。



さらに最近の研究によれば、ほめることによって、脳内で、カテコールアミンというホルモンが
分泌され、それが、子どもの集中力(ノルアドレナリン)や思考力(ドーパミン)を活性化させるこ
ともわかってきました(澤口俊之「したたかな脳」)。



 ほめることには、私たちが想像する以上の、ものすごいパワーがあるようです。が、いくつか
条件があります。



●ほめる条件



 ほめるとしても、努力とやさしさ。この2つは遠慮なく、ほめます。顔やスタイルは、ほめない。
頭については、時と場所を慎重に選んで、ほめます。顔やスタイルは、ほめれば、関心がそち
らばかりに向いてしまうということになりかねません。頭については、ほめすぎたため、かえって
うぬぼれてしまうというケースも、少なくありません。



 また当然のことですが、ほめるときには、心底、その気になってほめます。ウソや体裁では、
効果がないばかりか、かえって逆効果。子どもは、親の心の隠された意図(シャドウ)を、敏感
に読み取ってしまいます(ユング)。



●学習面では……



 たとえば子どもの学習。子どもを伸ばすコツは、得意面をさらに伸ばす、です。苦手な分野、
不得意な分野には、目をつむります。



 こうすることで、先に書いた、カテコールアミンという脳内ホルモンの分泌を促し、脳を活性化
させることができます。



 1科目が伸びたら、ほかの科目もつられて伸び始める……という現象が、子どもの世界で
は、よくあります。これを「相乗効果」と呼んでいますが、「うちの子は学習面ではどうも……」と
思ったら、1科目なら1科目だけを、集中的にほめて伸ばします。



●好意の返報性



 が、それでも、よくこんな質問を受けます。「子どものほめ方が、わかりません」と。しかし答え
は簡単。まず、本心で、自分の子どもをいい子と思うことです。不安や心配は禁物。本心で、で
す。



英語の格言にも、『相手はあなたがその人を思うように、あなたを思う』というのがあります。あ
なたがAさんならAさんをいい人だと思っているなら、そのAさんも、あなたのことをいい人だと
思っているもの。心理学の世界ではそれを、「好意の返報性」という言葉を使って説明していま
す。



 子どもというのは、自分を信じてくれる人の前では、自分のいい面を見せようとします。相手
の好意には、好意でもってこたえようとします。そういう子どもの性質を利用して、子どもを伸ば
します。親が、「…うちの子は、ダメ…」と思っていて、どうして子どもが伸びることができるでし
ょうか。



 もうおわかりですね。「うちの子は、すばらしい」と、まず信ずること。心ができれば、ほめ方
は、自然と、あとからついてきます。

(はやし浩司 相乗効果 ノルアロレナリン カテコールアミン 脳の活性化)



【補記】



 子どものやる気、思考力に、脳内ホルモンが、関係している。昔から『好きこそ、もののじょう
ずなれ』と言うが、好きなことをしていると、脳内で、カテコールアミンというホルモンが分泌され
る。



 このカテコールアミンには、ノルアドレナリンとドーパミンの2種類があるが、そのうちノルアド
レナリンは、注意力や集中力と関係があり、ドーパミンは、思考力に関係があるとされる。



 カテコールアミンが分泌されると、脳が覚醒状態になるという。そしてその結果、脳の機能そ
のものが活性化される。



 教育の世界には、「相乗効果」と呼ばれる、よく知られた現象がある。たとえば英語なら英
語、1科目が伸び始めると、とくにほかの科目を勉強したわけでもないのに、数学や国語まで、
伸び始めるという現象である。この現象に、ここに書いた脳内ホルモンの働きを重ねてみる
と、なぜそうした現象が起きるのか、うまく説明できる。



 そこで重要なことは、子どもを伸ばそうと考えたら、どんな分野でもよいから、ひとつのことを
楽しんでさせるようにすること。その前向きな取り組みが、子どもの脳を活性化させる。その結
果として、子どもは、ほかのあらゆる分野で、伸び始めるようになる。



まずいのは、不得意な分野や苦手な分野を、子どもに押しつけるような行為である。逆の相乗
効果(?)が働いてしまい、子どもは、今度はあらゆる面で、伸び悩むようになってしまうかもし
れない。

(はやし浩司 子供の集中力 子供の思考力 子どもの集中力 カテコールアミン ノルアドレ
ナリン ドーパミン)



【注、ノルアドレナリン】



ホルモンとして副腎から血液に放出され、また、シナプス伝達の間にノルアドレナリン作動性ニ
ューロンから放出される神経伝達物質である。それは、ストレス・ホルモンの1つであり、注意と
衝動性(impulsivity)が制御されている人間の脳の部分に影響する。アドレナリンと共に、この化
合物は闘争あるいは逃避反応を生じさせて、心拍数を直接増加させるように交感神経系を動
かし、脂肪からエネルギーを放出し、筋肉の素早さを増加させる。(Wikipedia フリー百科事典
より転載)。











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【常識論】



【常識が偏見になるとき】 



●たまにはずる休みを……!



「たまには学校をズル休みさせて、動物園でも一緒に行ってきなさい」と私が言うと、たいてい
の人は目を白黒させて驚く。「何てことを言うのだ!」と。多分あなたもそうだろう。しかしそれこ
そ世界の非常識。あなたは明治の昔から、そう洗脳されているにすぎない。



アインシュタインは、かつてこう言った。「常識などというものは、その人が一八歳のときにもっ
た偏見のかたまりである」と。子どもの教育を考えるときは、時にその常識を疑ってみる。たと
えば……。



●日本の常識は世界の非常識



(1)学校は行かねばならぬという常識……アメリカにはホームスクールという制度がある。親
が教材一式を自分で買い込み、親が自宅で子どもを教育するという制度である。希望すれば、
州政府が家庭教師を派遣してくれる。



日本では、不登校児のための制度と理解している人が多いが、それは誤解。アメリカだけでも
九七年度には、ホームスクールの子どもが、100万人を超えた。毎年15%前後の割合でふ
え、2001年度末には200万人に達するだろうと言われている。



それを指導しているのが、「Learn in Freedom」(自由に学ぶ)という組織。「真に自由な教育は
家庭でこそできる」という理念がそこにある。地域のホームスクーラーが合同で研修会を開い
たり、遠足をしたりしている。またこの運動は世界的な広がりをみせ、世界で約千もの大学が、
こうした子どもの受け入れを表明している(LIFレポートより)。



(2)おけいこ塾は悪であるという常識……ドイツでは、子どもたちは学校が終わると、クラブへ
通う。早い子どもは午後1時に、遅い子どもでも3時ごろには、学校を出る。ドイツでは、週単
位(※)で学習することになっていて、帰校時刻は、子ども自身が決めることができる。



そのクラブだが、各種のスポーツクラブのほか、算数クラブや科学クラブもある。学習クラブは
学校の中にあって、たいていは無料。学外のクラブも、月謝が1200円前後(2001年調べ)。
こうした親の負担を軽減するために、ドイツでは、子ども1人当たり、230マルク(日本円で約1
4000円)の「子どもマネー」が支払われている。この補助金は、子どもが就職するまで、最長
二七歳まで支払われる。



 こうしたクラブ制度は、カナダでもオーストラリアにもあって、子どもたちは自分の趣向と特性
に合わせてクラブに通う。日本にも水泳教室やサッカークラブなどがあるが、学校外教育に対
する世間の評価はまだ低い。



ついでにカナダでは、「教師は授業時間内の教育には責任をもつが、それ以外には責任をも
たない」という制度が徹底している。そのため学校側は教師の住所はもちろん、電話番号すら
親には教えない。私が「では、親が先生と連絡を取りたいときはどうするのですか」と聞いた
ら、その先生(バンクーバー市日本文化センターの教師Y・ムラカミ氏)はこう教えてくれた。「そ
ういうときは、まず親が学校に電話をします。そしてしばらく待っていると、先生のほうから電話
がかかってきます」と。



(3)進学率が高い学校ほどよい学校という常識……つい先日、東京の友人が、東京の私立中
高一貫校の入学案内書を送ってくれた。全部で70校近くあった。が、私はそれを見て驚いた。
どの案内書にも、例外なく、その後の大学進学先が明記してあったからだ。別紙として、はさん
であるのもあった。「○○大学、○名合格……」と(※)。



この話をオーストラリアの友人に話すと、その友人は「バカげている」と言って、はき捨てた。そ
こで私が、では、オーストラリアではどういう学校をよい学校かと聞くと、こう話してくれた。



 「メルボルンの南に、ジーロン・グラマースクールという学校がある。そこはチャールズ皇太子
も学んだこともある古い学校だが、そこでは生徒一人ひとりにあわせて、学校がカリキュラムを
組んでくれる。たとえば水泳が得意な子どもは、毎日水泳ができるように。木工が好きな子ども
は、毎日木工ができるように、と。そういう学校をよい学校という」と。



なおそのグラマースクールには入学試験はない。子どもが生まれると、親は出生届を出すと同
時にその足で学校へ行き、入学願書を出すしくみになっている。つまり早いもの勝ち。



●そこはまさに『マトリックス』の世界



 日本がよいとか、悪いとか言っているのではない。日本人が常識と思っているようなことで
も、世界ではそうでないということもある。それがわかってほしかった。そこで一度、あなた自身
の常識を疑ってみてほしい。あなたは学校をどうとらえているか。学校とは何か。教育はどうあ
るべきか。さらには子育てとは何か、と。



その常識のほとんどは、少なくとも世界の常識ではない。学校神話とはよく言ったもので、「私
はカルトとは無縁」「私は常識人」と思っているあなたにしても、結局は、学校神話を信仰してい
る。「学校とは行かねばならないところ」「学校は絶対」と。それはまさに映画『マトリックス』の世
界と言ってもよい。仮想の世界に住みながら、そこが仮想の世界だと気づかない。気づかない
まま、仮想の価値に振り回されている……。



●解放感は最高!



 ホームスクールは無理としても、あなたも一度子どもに、「明日は学校を休んで、お母さんと
動物園へ行ってみない?」と話しかけてみたらどうだろう。実は私も何度となくそうした。平日に
行くと、動物園もガラガラ。あのとき感じた解放感は、今でも忘れない。「私が子どもを教育して
いるのだ」という充実感すら覚える。冒頭の話で、目を白黒させた人ほど、一度試してみるとよ
い。あなたも、学校神話の呪縛から、自分を解き放つことができる。



※……一週間の間に所定の単位の学習をこなせばよいという制度。だから月曜日には、午後
三時まで学校で勉強し、火曜日は午後一時に終わるというように、自分で帰宅時刻を決めるこ
とができる。



Hiroshi Hayashi+++++++++++はやし浩司



●「自由に学ぶ」



 「自由に学ぶ」という組織が出しているパンフレットには、J・S・ミルの「自由論(On Liberty)」
を引用しながら、次のようにある(K・M・バンディ)。



 「国家教育というのは、人々を、彼らが望む型にはめて、同じ人間にするためにあると考えて
よい。そしてその教育は、その時々を支配する、為政者にとって都合のよいものでしかない。
それが独裁国家であれ、宗教国家であれ、貴族政治であれ、教育は人々の心の上に専制政
治を行うための手段として用いられてきている」と。



 そしてその上で、「個人が自らの選択で、自分の子どもの教育を行うということは、自由と社
会的多様性を守るためにも必要」であるとし、「(こうしたホームスクールの存在は)学校教育を
破壊するものだ」と言う人には、次のように反論している。いわく、「民主主義国家においては、
国が創建されるとき、政府によらない教育から教育が始まっているではないか」「反対に軍事
的独裁国家では、国づくりは学校教育から始まるということを忘れてはならない」と。



 さらに「学校で制服にしたら、犯罪率がさがった。(だから学校教育は必要だ)」という意見に
は、次のように反論している。「青少年を取り巻く環境の変化により、青少年全体の犯罪率は
むしろ増加している。学校内部で犯罪が少なくなったから、それでよいと考えるのは正しくな
い。学校内部で少なくなったのは、(制服によるものというよりは)、警察システムや裁判所シス
テムの改革によるところが大きい。青少年の犯罪については、もっと別の角度から検討すべき
ではないのか」と(以上、要約)。



 日本でもホームスクール(日本ではフリースクールと呼ぶことが多い)の理解者がふえてい
る。なお2000年度に、小中学校での不登校児は、13万4000人を超えた。中学生では、38
人に1人が、不登校児ということになる。この数字は前年度より、4000人多い。

(はやし浩司 フリースクール 自由な教育 LIE Learn in Freedom 不登校 常識論 意識論
 はやし浩司 教育評論 教育論)