Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Thursday, June 26, 2008

*The Difference of Consciousness between USA and Japan

【日本人にとっての、拉致問題】

●意識のズレ(A difference in consciousness)(To: USA Embassy of Japan)
Ms. C. Rice of the White House has apparently got a different consciousness from ours. She seems to be a very smart lady but she believes in herself too much and has no ears to listen to the voices of other world. It is OK for her to believe that she is right, but it is not OK for her to think all except her are wrong. She has not yet recognized that she has destroyed the relationship between Japan and USA. Here I’d like to explain about the difference of consciousness between two countries.

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意識のちがいというのは、
相対的なもの。

こちらが相手の意識はおかしいと
思っているときは、相手もまた、こちらの
意識はおかしいと思っているもの。

大切なことは、そうした意識の
ちがいを感じたら、たがいに
認めあうこと。

それができる人を、協調性の
ある人といい、人格の完成度が
高い人という。

意識のちがいを説明する前に、
まずつぎの原稿を読んでほしい。

もうこの原稿を書いてから、
10年になる。

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●忠臣蔵論

 浅野さん(浅野内匠頭・あさのたくみのかみ)が、吉良さん(吉良上野介・きらこうずけのすけ)に、どんな恨みがあったかは知らないが、ナイフ(刀)で切りかかった。傷害事件である。

が、ただの傷害事件でなかったのは、何といても、場所が悪かった。浅野さんが吉良さんに切りかかったのは、もっとも権威のある場所とされる松之大廊下。今風に言えば、国会の廊下のようなところだった。浅野さんは、即刻、守衛に取り押さえられ、逮捕、拘束。

 ここから問題である。浅野さんは、そのあと死刑(切腹)。「たかが傷害事件で死刑とは!」と、今の人ならそう思うかもしれない。しかし300年前(元禄14年、1701年)の法律では、そうなっていた。

が、ここで注意しなければならないのは、浅野さんを死刑にしたのは、吉良さんではない。浅野さんを死刑にしたのは、当時の幕府である。そしてその結果、浅野家は閉鎖(城地召しあげ)。今風に言えば、法人組織の解散ということになり、その結果、429人(藩士)の失業者が出た。

自治体の首長が死刑にあたいするような犯罪を犯したため、その自治体がつぶれた。もともと何かと問題のある自治体だった。わかりやすく言えばそういうことだが、なぜ首長の交代だけですませなかったのか? 少なくとも自治体の職員たちにまで責任をとらされることはなかった。……と、考えるのはヤボなこと。

当時の主従関係は、下の者が上の者に徹底的な忠誠を誓うことで成りたっていた。今でもその片鱗はヤクザの世界に残っている。親分だけを取り替えるなどということは、制度的にもありえなかった。

 で、いよいよ核心部分。浅野さんの子分たちは、どういうわけか吉良さんに復讐を誓い、最終的には吉良さんを暗殺した。「吉良さんが浅野さんをいじめたから、浅野さんはやむにやまれず刀を抜いたのだ」というのが、その根拠になっている(「仮名手本忠臣蔵」)。そうでもしなければ、話のつじつまが合わないからだ。

なぜなら繰り返すが、浅野さんを処刑にしたのは、吉良さんではない。幕府である。だったら、なぜ浅野さんの子分たちは、幕府に文句を言わなかったのかということになる。「死刑というのは重過ぎる」とか、「吉良が悪いのだ」とか。

もっとも当時は封建時代。幕府にたてつくということは、制度そのもの否定を意味する。自分たちが武士という超特権階級にいながら、その幕府を批判するなどということはありえない。そこで、その矛先を、吉良さんに向けた。

 ……日本人にはなじみのある物語だが、しかしオーストラリア人にはそうでなかった。一度、この話が友人の中で話題になったとき、私は彼らの質問攻めの中で、最終的には説明できなくなってしまった。ひとつには、彼らにもそういう主従関係はあるが、契約で成りたっている。つまり彼らの論理からすれば、「軽率な振るまいで、子分の職場を台なしにした浅野さん自身に、責任がある」ということになる。

 さてあなたなら、こうした疑問にどう答えるだろうか。彼らにはたいへん理解しがたい物語だが、その理解しがたいところが、そのまま日本のわかりにくさの原点にもなっている。「日本異質論」も、こんなところから生まれた。

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オーストラリアも、基本的には、白人の国。
しかしアメリカ人なら、もっと合理的に
ものを考えるだろう。

(1) なぜ浅野内匠頭の家臣たちは、復讐の矛先を、被害者である吉良上野介に向けたのか。

わかりやすく言えば、酒場で浅野さんが吉良さんにナイフで斬りかかった。
そのため浅野さんは、障害致傷罪で逮捕され、有罪になった。

浅野株式会社の社員たちは、吉良さんへの復讐を誓った。

(2) なぜ浅野内匠頭の家臣たちは、復讐劇へと走ったのか。

バカなことをして、逮捕されたのは、自分たちのボスである。だったら、第一義的には、ボスに、その責任を問えばよい。

つぎに死罪では罪が重すぎるというのであれば、裁判所もしくは、その上の政府に、抗議すればよい。「何がなんでも、ナイフを振り回したくらいのことで、切腹はないだろう」と。

(3) 吉良上野介を暗殺したところで、何が、どう解決するのか。

すでに浅野株式会社は、倒産している。社員たちは失業状態。そんな中、当の被害者である吉良さんを暗殺したところで、何が、どう変わるというのか。

社員たちは、浅野さんのことは早く忘れて、再就職を考えたほうがよい。

 が、この日本では、そうは考えない。とくに江戸時代の人たちは、そうは考えなかった。つまり、ここに意識のズレがある。

●アメリカ流合理主義のかたまり

 アメリカのC・ライス国務長官の一連の言動を見ていると、アメリカ合理主義のかたまりのような気がする。

 何もかも合理的なのだが、どこかピントがずれている。ときに狂信的であるようにさえ感ずる。中東問題にしてもそうだが、日本の拉致問題にしてもそうだ。

 だから、中東政策でも失敗。そして今度は、北朝鮮問題で失敗しようとしている。日本人に向かって、今ごろ「拉致問題は忘れない」は、ない。日本人の怒りというものが、どういうものか、まるでわかっていない。

 もっともC・ライス国務長官の脳みそでは、わからないだろうと思う。「自分たちの考え方がぜったい正しい」と思う、その返す刀で、「あなたがたにとっても、それがいちばん」と切りこんでくる。

 日本人には日本人の意識がある。

 ここに書いた忠臣蔵についても、合理的にものを考えれば、そうかもしれない。しかしあわせて日本には日本の歴史というものがある。それから生まれる民族意識というのも、ある。「忠臣蔵の家臣たちは、バカだった」と言われれば、日本人なら、みな、頭にカチンとくるだろう。

 アメリカ流の合理主義だけで、ものごとを考えてもらっては、困る。

 C・ライス国務長官、C・ヒル次官補の一連の言動を見ていると、では今までの日米同盟は何だったのか、と、そこまで考えてしまう。

 それほどまでに北朝鮮は重要な国なのか。譲歩に譲歩を重ね、ハードルをさげにさげてまで、国交を回復しなければならない国なのか。

 しかも最大の同盟国である日本を、裏切ってまで! 

 そういう点でも、意識のズレというのは、恐ろしい。いや、ズレがあるならあるで、しかたのないこと。C・ライス国務長官は、もう少し、日本人のもつ意識に耳を傾けてほしい。頭のよい人かもしれないが、あなたの人格の完成度は、残念ながら、きわめて低い。

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もう一作、「世にも不思議な留学記」
からの原稿を紹介します。

意識のズレについて、もう一歩
踏み込んで理解していただければ、
うれしいです。

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●珍問答

 私の部屋へは、よく客がきた。「日本語を教えてくれ」「翻訳して」など。中には、「空手を教えてくれ」「ハラキリ(切腹)の作法を教えてくれ」というのもあった。あるいは「弾丸列車(新幹線)は、時速150マイルで走るというが本当か」「日本では、競馬の馬は、コースを、オーストラリアとは逆に回る。なぜだ」と。さらに「日本人は、牛の小便を飲むというが本当か」というのもあった。話を聞くと、「カルピス」という飲料を誤解したためとわかった。カウは、「牛」、ピスは、ズバリ、「小便」という意味である。

●忠臣蔵論

 が、ある日、オリエンタルスタディズ(東洋学部)へ行くと、4、5人の学生が私を囲んで、こう聞いた。「忠臣蔵を説明してほしい」と。いわく、「浅野が吉良に切りつけた。浅野が悪い。そこで浅野は逮捕、投獄、そして切腹。ここまではわかる。しかしなぜ、浅野の部下が、吉良に復讐をしたのか」と。加害者の部下が、被害者を暗殺するというのは、どう考えても、おかしい。それに死刑を宣告したのは、吉良ではなく、時の政府(幕府)だ。刑が重過ぎるなら、時の政府に抗議すればよい。また自分たちの職場を台なしにしたのは、浅野というボスである。どうしてボスに責任を追及しないのか、と。

 私も忠臣蔵を疑ったことはないので、返答に困っていると、別の学生が、「どうして日本人は、水戸黄門に頭をさげるのか。水戸黄門が、まちがったことをしても、頭をさげるのか」と。私が、「水戸黄門は悪いことはしない」と言うと、「それはおかしい」と。

 イギリスでも、オーストラリアでも、時の権力と戦った人物が英雄ということになっている。たとえばオーストラリアには、マッド・モーガンという男がいた。体中を鉄板でおおい、たった一人で、総督府の役人と戦った男である。イギリスにも、ロビン・フッドや、ウィリアム・ウォレスという人物がいた。

●日本の単身赴任

 法学部でもこんなことが話題になった。ロー・スクールの一室で、みながお茶を飲んでいるときのこと。ブレナン法学副部長が私にこう聞いた。「日本には単身赴任(当時は、短期出張と言った。短期出張は、単身赴任が原則だった)という制度があるが、法的な規制はないのかね?」と。そこで私が「何もない」と答えると、まわりにいた学生たちまでもが、「家族がバラバラにされて、何が仕事か!」と叫んだ。

 日本の常識は、決して世界の常識ではない。しかしその常識の違いは、日本に住んでいるかぎり、絶対にわからない。が、その常識の違いを、心底、思い知らされたのは、私が日本へ帰ってきてからのことである。

●泣き崩れた母

 私がM物産という会社をやめて、幼稚園の教師になりたいと言ったときのこと、(そのときすでにM物産を退職し、教師になっていたが)、私の母は、電話口の向こうで、オイオイと泣き崩れてしまった。「恥ずかしいから、それだけはやめてくれ」「浩ちゃん、あんたは道を誤ったア~」と。

だからといって、母を責めているわけではない。母は母で、当時の常識に従って、そう言っただけだ。ただ、私は母だけは、私を信じて、私を支えてくれると思っていた。が、その一言で、私はすっかり自信をなくし、それから30歳を過ぎるまで、私は、外の世界では、幼稚園の教師をしていることを隠した。一方、中の世界では、留学していたことを隠した。どちらにせよ、話したら話したで、みな、「どうして?」と首をかしげてしまった。

 が、そのとき、つまり私が幼稚園の教師になると言ったとき、私を支えてくれたのは、ほかならぬ、オーストラリアの友人たちである。みな、「ヒロシ、よい選択だ」「すばらしい仕事だ」と。その励ましがなかったら、今の私はなかったと思う。
 
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