Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Tuesday, June 24, 2008

*Violence of Words

●言葉の暴力

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先日、T市の教育会館で、講演を
させてもらった。
そのときのこと。

約束の時刻まで、まだ少し時間が
あったので、私とワイフは、その
あたりを歩いた。

裏手に、農業用の用水池があって、その
向こうは、新興の住宅団地になっていた。
緑の多い地域で、それ以前は、森で
あったらしい。

が、その団地に一歩、足を踏み入れて、
驚いた。
看板だらけ!

「建設反対」の旗にまざって、
「○○建設会社は、恥を知れ!」
「暴利会社、行く末は倒産!」
「地域住民は、お前たちを許さない!」と。

どうやらマンションの建設に反対している
人たちの看板らしい。

「地獄マンション」
「ここは不幸町1丁目」
「のぞき魔マンション、建設反対!」と。

さらにこんなのもあった。

「飛び降り自殺者、続出マンション!」
「呪われた死者の館(やかた)!」
「震度5で、倒壊マンション!」と。

もちろん大半は、ふつうの(?)看板。
その間にあって、ここに書いたような
手書きの看板が並んでいた。

しかしこうした看板は、ひとつまちがえば、
営業妨害になる。
それによって具体的に被害が認定されれば、
損害賠償請求事案の対象になる。

さらにマンションが完成し、入居する人たちが、
それによって精神的苦痛を味わえば、
慰謝料請求事案の対象にもなる。

地域の住民の人たちは、そういうことを
知っているのだろうか。
つまり、暴力にも二種類ある。

物理的な暴力と、言葉の暴力である。
精神的な苦痛という意味では、物理的な
暴力も、言葉の暴力も、同じ。
暴力は暴力。
こうした看板は、立派な暴力である。

私「かなり、こじれているみたいだね」
ワ「何が?」
私「住民と建設会社・・・」
ワ「そうね」
私「ここまでこじれると、あとがたいへんだね」
ワ「・・・シコリも残るでしょうね」
私「そうだね」と。

建設会社は、当然、法にのっとった手順を
踏んで、建設にとりかかっているはず。
となると、住民側の立場は、弱い。
特別な条例でもないかぎり、こうした建設を
止める手立てはない。

が、一方、こんなことも言える。
たしかに言葉の暴力だが、そういうことを
しなければならないところまで追い込まれた
住民の感情も、理解しなければならない。

こうした反対運動をするというだけでも、
かなりのエネルギーと神経を使う。
毎日、イライラしている人もいるだろう。
不眠に苦しんでいる人もいるだろう。
こうした運動から受ける精神的苦痛には、
相当なものがある。

直接的に不愉快な思いをしているのは、
住民の人たちである。

私「地域ぐるみで議会に働きかけて、環境
条例のようなものを制定してもらえばいい」
ワ「それによって、マンションの建設を
差し止めるわけね」
私「しかし、今からでは遅い。すでに一部
だが、建設が始まっているようだ。法には、遡及適用
の禁止※という大原則がある。過去にさかのぼって、
法を適用することはできない」

ワ「じゃあ、どうすればいいの?」
私「マンションを建設することによる被害を、
最小限に食い止めるしかない。たとえば8階建て
であったら、5階建てにしてもらうとか・・・」
ワ「でも、ここまでこじれていると、それも
むずかしいわね」
私「たぶん、ね」と。

しかし・・・。
言葉の暴力には、注意したほうがよい。
先にも書いたように、書き方をあやまると、
損害賠償、さらには、慰謝料請求事案の
対象になる。

看板のある家の人が、その責任を問われる。
「頼まれたから、看板を置いただけです」という
口実は、こういうケースでは、通用しない。

「看板」という手段を使って、公(おおやけ)
に向かってものを書くときには、じゅうぶん、
注意したほうがよい。

(注※)憲法39条に「何人も,実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については刑事上の責任を問われない」と明記されている。
処罰規定を過去に遡って適用することは、一部の行政法上の手続きを除いて、原則として憲法違反ということになる。

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