*people come and go away
●ジャン・ダルジーの詩
(People come and go away, as if nothing had happened.)
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学生時代、ジャン・ダルジーという人が書いた詩を読んだ。
感動した。
それで彼の書いた詩のいくつかを暗記した。
どれも、簡単な、短い詩だった。
訳者は忘れた。
で、その詩のことを、40歳くらいのとき、市内で画廊を
開いている友人に話すと、友人が、ジャン・ダルジーの
ことを調べてくれた。
が、「ジャン・ダルジーという詩人そのものが、見つからない」
「ジャン・コクトーのことではないか」と。
私もいろいろ調べてみたが、やはり見つからなかった。
ジャン・ダルジーという詩人は本当にいたのか。
私の記憶ちがいによるものなのか。
ジャン・ダルジーの詩を、ここに思い出してみる。
実際には、この数倍は長かったように思うが、
今、思いだせるのは、ここまで。
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●人来りて、また去る
人来りて、また去る。
人来りて、また去る。
かくして、私の、あなたの、彼の、彼女の、
そして彼らの人生は去る。
人来りて、また去る。
人来りて、また去る。
あたかもなにごともなかったかのように。
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ヤフーの検索エンジンを使って、(ジャン・ダルジー)を調べてみた。
「ジャン・ダルシーのまちがいではありませんか」と表示された。
そこで「ジャン・ダルシー」を調べていみた。
しかしチョコレート職人などの名前は出てきたが、詩人としてのジャン・ダルシーの
名前は出てこなかった。
やはり私の記憶ちがいによるものなのか。
そこで私は、ジャン・ダルジーの詩をもとに、自分なりの詩を作ってみることにした。
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●人来りて、また去る
そこにあなたはいて、私を見る。
ここに私はいて、あなたを見る。
しかしそれもつかの間。
あなたは、そこを去り、風の中に消える。
私はそれを知り、ふと、身を縮める。
かくして私の人生は、去る。
かくしてあなたの人生は、去る。
振り返っても、そこにあるのは、
冬の乾いた風。
それが円陣を描いて、空に舞う。
「もう2度と会うことはないだろうな」と。
私は一歩、ふとためらいながら、足を前に踏み出す。
ああ、人来りて、また去る。
人来りて、また去る。
あたかもなにごとも、なかったかのように。
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人との出会いは、淡くて切ないもの。
別れは、さらに淡く切ないもの。
こうして人は人に出会い、そして別れていく。
振り返ったときには、もう、そこにはだれもいない。
私はただただ、新しい出会いを求めて、
足を一歩、前に踏み出す。
風に舞う、あなたの温もりを、肌で感じながら……。
かくして、私の、あなたの、彼の、彼女の、
そして彼らの人生は去る。
あたかもなにごとも、なかったかのように。
Hiroshi Hayashi++++++++Feb. 09++++++++++++はやし浩司
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