Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Monday, April 20, 2009

*One Talent per Kid

●一芸論



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子どもの心は、一芸が守る。



この一芸は、大切にする。



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 子どもには一芸をもたせる。しかしその一芸は、つくるものではなく、見つけるもの。いろいろ
なことがあった。



S君(年中児)は父親が新車を買ってきたときのこと、車の中のスイッチに異常なまでの興味を
もった。そこで母親から相談があったので、私はパソコンを買ってあげることをすすめた。パソ
コンはスイッチのかたまりのようなもの。案の定S君はそのパソコンにのめりこみ、小学3年生
のときにはベーシックを。中学生になるころには、C言語をマスターするまでになった。



Tさん(2歳児)もそうだ。お風呂に入っても、お湯の中に平気でもぐって遊んでいたという。そこ
で母親が水泳教室へ入れてみたのだが、まさに水を得た魚のようにTさんは泳ぎ始めた。その
Tさんは中学生のときには、全国大会に出場するまでに成長した、などなど。



 中に「勉強一本!」という子どももいるが、このタイプの子どもは一度勉強でつまずくと、あと
は坂をころげ落ちるかのように、勉強から遠ざかってしまう。そのためだけというわけではない
が、子どもには一芸をもたせる。その一芸が子どもを側面から支える。さらに「芸は身を助け
る」の格言どおり、その一芸がその子どもの天職となることもある。



M君(高校生)は、不登校を繰り返し、ほとんど高校へは行かなかった。そのかわり近くの公園
で、ゴルフばかりしていた。で、それから10年後、ひょっこり私の家にやってきて、いきなりこう
言った。「先生、ぼくのほうが先生より、(お金を)稼いでいるよね」と。M君はゴルフのプロコー
チになっていた。



 一芸を子どもの中に見つけたら、お金と時間をたっぷりとかける。子どもの側からすれば、
「これだけは絶対、人に負けない」という状態にする。また周囲の子どもの側からすれば、「こ
れについては、あいつしかできない」という状態にする。



 ただしここでいう一芸というのは、将来に向かって前向きに伸びていく「芸」のことをいう。モデ
ルガンやゲームのカードを集めるというのは、ここでいう芸ではない。





Hiroshi Hayashi+++++++++NOV.06+++++++++++はやし浩司



●一芸は聖域



 子どもの一芸は、聖域と思うこと。この聖域を踏み荒らすようなことがあると、子どもの心は
大きな影響を受ける。よくある例が、「成績がさがったから、(好きな)サッカーはやめさせる」と
いうもの。こういうケースで、サッカーをやめさせればさせたで、成績はかえってさがる。こんな
ケースがある。



 H君(中1)は毎日、学校から帰ってくると、パソコンに向かって作曲をしていた。が、成績がさ
がったこともあり、父親がそれを強引に禁止した。とたん。H君の情緒は不安定になってしまっ
た。まず朝起きられなくなり、つづいて昼と夜が逆転し始めてしまった。食事も不規則になり、
食べたり食べなくなったりするなど。何とか学校へは行くものの、感情的な反応そのものが鈍く
なってしまった……。



 子どもが一芸にのめりこむ背景には、そうせざるをえない子ども自身の心の問題が隠されて
いることが多い。いわば自分の心のすきまを生めるための代償的行為ともいえるもので、それ
を奪うと、子どもによってはここにあげるH君のようになる。



H君は学校で疲れた心を、音楽を作曲することでなぐさめていた。それを父親が奪ってしまった
のだから、H君の症状は当然といえば当然の結果でもあった。



 また一芸が、子どもによってはいわば生きがいそのものになっていることが多い。ある女の
子(中学生)は手芸で、また別の男の子(小学生)はスケボーで自分を光らせていた。もしそう
であるなら、それを奪う権利は親にもない。さらに……。



 これからはプロが生き残る時代といってもよい。少なくとも世界は、そういう方向に向かって
進んでいる。たとえばアメリカでは、大学でも入学後の学部変更や、さらには大学から大学へ
の転籍すら自由化されている。より高度な勉強を求めて、大学から大学へと渡り歩いている学
生すらいる。「学歴」にこだわる理由そのものがない。そしてそれが今、国際間でもなされてい
る。日本もやがてそうなるのだろうが、そういう意味でも子どもの一芸を大切にする。