●日本のデフォルト
【日本のデフォルト】
●個人破産(NPさんのケース)
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現実の話。
まさに現実の話。
近くに、NP氏(62歳)という人が住んでいる。
若いときには、かなり儲けたらしい。
豪邸と言うにふさわしい、家に住んでいる。
庭は狭いが、白亜の殿堂。
3階建て。
家族は妻と、妻の両親、それに3人の息子と娘。
(息子2人に娘1人。長男と娘は、現在別居中。)
息子は一級建築士として、そこそこの高収入を
得ている。
娘は独身。
もう1人の息子は、現在、休職中。
年齢は、上から36歳(息子)、32歳(娘)、
30歳(息子)。
NPさんは、今でも月額50万円近い収入がある。
ある土建会社の専務をしている。
が、生活が派手。
国産だが高級車を乗り回し、休みごとに
あちこちの温泉に出かけている。
妻がいるが、その妻も浪費家。
毎月の生活費だけでも、月額70万円もかかる。
つまり20万円の赤字。
それには理由がある。
もうすぐ90歳になる両親がいる。
父親は、特養に入居。
母親は、有料の老人ホームに入居。
双方で、月々、20万円ほどの費用がかかる。
そのためNP氏は、毎月20万円を銀行から借りている。
土地や建物が担保。
が、それだけではない。
すでに借金が、9000万円近くもたまっている。
毎月の利子を返却するだけで、たいへん。
が、その利子分は、毎月建築士をしている長男から借りている。
それが月額20万円。
つまり50万円の収入で、90万円の支出。
借金は現在、雪だるま式にふえつつある。
が、NPさんは、こう言っている。
「息子の収入が、毎月70万円もある。
それに土地と家を売れば、何とかなる」と。
で、先月(2010年12月)、年の暮れ、
いつものように銀行へ足を運んだ。
「来月も、20万円ほど、用立ててほしい」と。
借金の申し込みをした。
が、その日は支店長が応対に出た。
いわく、「NPさん、悪いが、これ以上、
お金は貸せない」と。
NP氏は、あわてた。
「それは困る。何とか、貸してくれ」と。
銀行からの融資が止まれば、その先で
待っているのは、自己破産。
ああああ……。
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●100万円の札束を、わしづかみ
この話は前にも書いた。
月末になると、郵便局に老人たちがずらりと並ぶ。
足や腰の曲がった老人も多い。
そういう老人たちが、それぞれ100万円の札束を、わしづかみにして帰る。
貯金の限度額は、1000万円。
国債の限度額も、1000万円。
だから現金!
それぞれの公務員の人たちに責任があるわけではない。
しかしその老人たちこそ、元公務員。
三公社五現業の、元準公務員。
ご存知のように、年金は3か月ごとに支払われる。
それで100万円!
が、その一方で、たった1万4000円(月額)の子ども手当て。
それがいまだに、国会でもめている。
週刊現代は、「天下の愚策」と評した。
「親がもうけるだけ」と。
何が愚策で、何がそうでないか、私たちは、もう一度現実をよく見なければならない。
冒頭に書いたNPさんというのは、NIPPON、つまりこの日本のことである。
●国家破綻
日本の国債の格付けが、またさがった。
私たちにはピンとこない話だが、今、この日本は世界からも、確実に見放され始めている。
が、その先にあるのは、国家破綻。
これは可能性の問題ではない。
時間の問題。
私の個人的意見として、そう書いているのではない。
ウソだと思うなら、書店に並ぶ経済誌を片っ端から読んでみたらよい。
おおかたの経済学者たちは、「ここ1~2年がヤマ」と書いている。
果たして来年度の国家予算は、組めるのか?
国債は、うまくさばけるのか?
そのどちらかが行き詰ったとき、この日本はデフォルト、つまり債務超過=国家破綻する。
多くの銀行は倒産し、ついで日本経済は、奈落の底へと叩き落される。
倒産につづく倒産。
もちろん「札」は、紙くずと化す。
今朝の某経済新聞社の予測によれば、1ドル=1000円(現在82円)まで、暴落
する可能性があるという(2011年2月6日)。
当然のことながら、同時にドルも暴落するから、「タクシーの初乗りが、1万円になる」
という話も、けっしてありえない話ではない。
ここ数年のうちに、そうなると考えたほうがよい。
●では、どうするか
では、どうするか。
これについても大方の経済学者の意見は、一致している。
資産は、「できるだけ現物資産でもて」と。
何をもって現物資産というかは、よくわからない。
思いつくのは、土地、貴金属、それに外債。
外債にしても、銀行や証券会社がつぶれたら、やっかい。
あの山一証券の倒産のとき、辛酸をなめた人は多いはず。
が、何よりも心配されるのは、食料。
食料品の大高騰。
どこまで高騰するか、それを予測している経済誌は見当たらない。
が、常識で考えても、それなりの価格になるのは必至。
1か月分の給料で、米が10キロも買えない……。
そうなるかもしれない。
●自己防衛あるのみ
貨幣価値が10分の1になれば、国の借金も、実質的に10分の1になる。
国の借金を減らす方法としては、それしかない。
が、それを国というより、官僚たちが目ろんでいるとしたら、おおまちがい。
許せない。
とんでもない背信行為。
また現在、多額の借金をかかえている人には、一時的には朗報ということになる。
が、それを喜んではいけない。
そのあと、その何十倍もの生活苦が、津波のように襲ってくる。
もともと資産のない人たちだから、病気や事故で倒れたら、万事休す。
また韓国紙は、連日、日本のデフォルトを心待ちにしているような記事を並べている。
が、その影響は、当然、韓国にも及ぶ。
何といっても、経済規模がちがう。
日本が風邪を引けば、韓国は肺炎になる。
日本が倒れれば、韓国は死ぬ。
そういう現実が、まるでわかっていない。
わかりやすく言えば、日本は韓国なしでも生きていかれる。
が、韓国は、日本なしでは生きていかれない。
ともかくも、私たちの生命と財産は、私たち自身で守る。
その時期は、刻一刻と近づきつつある。
●あとがき
結局は、政治の責任ということになる。
が、そういう政治を許してきた、私たちの責任ということになる。
私たち自身も、何も変えようとしなかった。
「明日がある」「何とかなる」と、その場しのぎを繰り返してきた。
その結果が、今。
行政改革、つまり官僚制度の是正が叫ばれるようになって、すでに30年以上が過ぎた。
が、何も変わらなかった。
官僚たちは、失われた20年を横目に、今の今も、我が世の春を謳歌している。
満額の給料に、満額の退職金。
満額の年金に、至れり尽くせりの社会保障。
ただ悪いことばかりではない。
仮に1ドル=1000円になれば、日本人は、再び働き始める。
歯を食いしばって、がんばり始める。
戦後のあの時代のように。
あるいは団塊の世代が働いた、あの高度成長期のように。
輸出産業も、息を吹き返す。……はず。
そのための布石だけは、今、しかりとしておかねばならない。
国家破綻しても、知的産業の流出だけは、防がねばならない。
基幹産業だけは、守りぬかねばならない。
……それでも最初に息を吹き返すのは、公務員ということになるのか。
日本という国は、奈良時代の昔から、官僚主義国家。
つぎの時代にも、やはりそうなるのか。
Hiroshi Hayashi+++++++Feb. 2011++++++はやし浩司・林浩司
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