Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Thursday, February 24, 2011

●心の実験(投射)

●2月25日

●オーストラリアへ

 やっとB君との話し合いがついた。
メルボルンからアデレードまで、車で行くというB君。
オーバーランド号(大陸横断列車)に乗るという私。
B君の家は、南オーストラリア州とビクトリア州の州境にある、
ボーダータウンというところにある。

 メルボルンでは、インターナショナルハウス(IHカレッジ)に一泊。
市内のホテルにもう一泊。
その翌朝、オーバーランド号に乗ることにした。

 この先、あれこれと準備がたいへん。
オーストラリアは、私にとっては、遠くて遠い国。
今では高校の修学旅行で、オーストラリアへ行く時代になった。
信じられないというより、あの時代の私は何だったのか。
そんなことまで考える。

Hiroshi Hayashi++++++はやし浩司

●ターゲット(投射・防衛規制)

 「ターゲット」という言葉は、私が考えた。

 昔、こんなことがあった。
Sさん(高校1年生)は、不登校児だった。
母親に連れられて、私のところへやってきた。
話を聞くと、Sさんは、こう言った。

「同じクラスのXさん(女子)に、意地悪される」と。

 そこで母親は学校の先生と相談し、クラスを変更してもらった。
で、しばらくすると、またSさんは、不登校児になってしまった。
今度は「Yさんが、いじめる」と言い出した。

 で、Sさんのお母さんは、学校側と相談。
再びクラスを変更してもらった。
が、それで問題が解決したわけではない。
Sさんは、今度は、「担任が私を嫌っている」と言い出した。
またまた不登校児になってしまった。

 実際の話はもう少し複雑だったが、大筋は以上の通りである。
私はこのSさんのケースから、「ターゲット」という言葉を思いついた。

●投射

 Sさんは、そのつど、ターゲットを変えた。
最初は、Xさん。
つぎに、Yさん。
そしてさらに、担任へ、と。

 Sさんは基本的には、学校へ行きたくなかった。
それをXさんのせいにしたり、Yさんのせいにしたり、さらには先生のせいにした。
こういうのを心理学では、「投射」という言葉を使って説明する。
本当は、自分が相手を嫌っている。
そのことを正当化するため、相手が自分を嫌っているからと思い込む。
「相手が私を嫌っているから、私は、自分のしたいことができない」と。

 深堀元文氏の「心理学のすべて」には、こうある。
『投射……困難や失敗を他人のせいにしたり、自分の好ましくない欲望を、
他人のものとみなす』と。

 つまり母親も、そして私も、Sさんに振り回されただけ。

 ……という話は、前にも何度も書いた。
で、ここではもう一歩、話を先に進めてみたい。
今朝、ふとんの中で、こんな経験をした。

●怒るという感情は、そのまま

 私はX氏のことを考えていた。
不愉快な男だった。
平気でウソをつく。
口もうまい。
金を借りに来たときも、先に返済計画書を私に見せた。
3か月後から、毎月x万円、1年後から毎月x万円……と、
一覧表になっていた。

 私は人には、お金を貸さない。
そこで私はX氏に、20万円を渡し、「これだけあげるから、勘弁してほしい」と。
が、それっきり。
礼もなければ、あいさつもない。
そのX氏のことを考えていたら、ムラムラと怒りが頭の中に充満してきた。

 そのときのこと。
私はそのX氏と、別のY氏を置き換えてみた。
Y氏もずるい男だった。
浜松へ何度か遊びに来たが、そのつど、別の愛人を連れてきた。
アメリカへ行くときも、「アメリカへ行くから、君の息子を紹介してほしい」と。
そのときも、別の愛人を連れていった。
で、一度、私にこう言ったことがある。
「なあ、林(=私)、今度の彼女の名前は、Sだからな。名前をまちがえるなよ」と。

 するとそこでおもしろい現象が起きた。
起こっている感情は同じなのに、頭の中で、X氏からY氏へ、スルリとターゲット
が置き変わった。
まったく無理がなかった。

 「怒る」という感情はそのまま。
しかしターゲットは、X氏からY氏へ。
X氏のことを考えて怒っていた私が、いつの間にか、今度はY氏を怒っていた。

●八つ当たり

 脳みそというのは、一見複雑怪奇だが、その実、そのメカニズムはシンプル。
単純。
ひとつの反応が起こると、それがそのまま別の場面でもつづいてしまう。

日本語にも、「八つ当たり」という言葉がある。
A氏に対して怒りを覚えていると、それがそのままB氏にまで及んでしまう。
そういうことは、よくある。
「怒り」という感情が先にあるから、理由など、何でもよい。
過去にあったささいなことを理由にあげて、「お前は、あのとき!」と。

 こういうのを八つ当たりという。

 そこでそういうときは、どうしたらよいか。
……といっても、答は簡単。
そのつど頭を切り替えればよい……ということになる。
が、これがむずかしい。
若いときは、それほどむずかしく思ったことはない。
というか、それほど深刻な問題にはならなかった。
そのつど、パッパッと頭を切り換えることができた。

 が、最近はそうではない。
不器用になったというか、切り替えがうまくできない。
ひとつのことで悶々としていると、あらゆることで悶々としてしまう。
感情がそのまま、つぎの場面でも、残ってしまう。
脳のフィードバック機能が、衰えてきたせいとも考えられる。

●フィードバック

 脳内で、ある反応が起こると、すかさずそれを打ち消すための機能が働く。
たとえば何かの脳内ホルモンが分泌されると、それと正反対の脳内ホルモンが
分泌される。
こうして脳は、自分の脳内を、いつもクリアな状態に保とうとする。
これを「フィードバック」という。

 こういう理屈が正しいかどうかは、わからない。
わからないが、加齢とともに、そのフィードバック機能が衰える。
つまり正反対の脳内ホルモンの分泌が衰える。
あるいは反応が鈍くなる。
それが先に書いたような現象につながるのではないか。

つまり「感情の切り替えがうまくできない」。
へたをすれば、脳の中に、もろもろの脳内ホルモンが充満することもある。
何がなんだか、訳が分からなくなる。
そういうこともある。

●脳内観察(インナー・トリップ)

 自分で自分の脳内を観察する。
言うなれば、自分の脳の自己診断ということになる。
最近のパソコンには、そういう機能がついたものがある。
動作がおかしくなったら、自分でそれを診断し、それを是正する。
それと同じように、自分の脳が、自分の脳内を観察する。
考えてみれば、これはおもしろい現象ではないか。

 「ああ、私は怒っている」と、まず自分を知る。
つぎにターゲットを自分で置き換えてみる。
ターゲットが、簡単に置き換わる。
X氏を怒っていたはずなのに、今度はそれがY氏に置き換わる。
「怒り」はそのまま。

 では、反対にこんなことはできないか。
たとえば怒っている最中に、ワイフとの楽しい思い出を思い出してみる。
そうすれば、自分の脳は混乱するはず。
それがおもしろい。

実は、そのとき、それもしてみた。
が、これはうまくいかなかった。
そこで働いたのは、「八つ当たり」。
「怒り」が基本にあるから、楽しい思い出というよりも、ワイフのあら探し
が始まってしまった。
が、これではいけない。
ワイフのことを考えるのを、やめた。

……というように、自分の脳をコントロールすることができる。
自分の脳を相手に、自分で遊ぶことができる。

 今朝、目を覚ましてから起きるまで、ふとんの中で、私はそんな経験をした。

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Hiroshi Hayashi+++++++Feb. 2011++++++はやし浩司・林浩司