Refugees from Hospitals
●介護難民(Refugee from Hospitals)
Old men and women are to be exiled from hospitals to care centers where no medical doctors are. But here in Japan the number of care centers itself is not sufficient. Then where will these old men and women go when they are exiled from hospitals? The national government has announced that they will reduce beds for old men and women from 350 thousands beds to 150 beds in hospitals.
++++++++++++++++
この問題は、けっして他人ごとではない。
近未来に起きる、あなた自身の問題である。
その問題とは……!
今、介護施設に入ることもできず、さりとて、
その一方で、家族からも適切な介護を受けられ
ないでいる老人が、たくさんいる。
厚労省の発表した数字などを参考に推計してみると、
そうした老人が、現在、10~20万人程度は
いるということになる。
が、ここにきて、さらに厚労省は、現在ある
35万床の「療養病床」を、ゆくゆくは、
15万床にまで、減らすつもりという。
わかりやすく言えば、病院から、老人たちを
閉めだすということ。
結果、そういう老人たちは、介護療養型老人
保健施設へということになるが、今の今でも、
数そのものが足りない。
入居待ちが、半年、1年というのは、常識。
よくて1年半。
健康の状態にもよるが、中には、2年たっても
入居できないという老人もいる。
そこで在宅治療ということになるが、実際には、
問題も多い。不可能とさえ言える。
そういう家庭も多い。
私も介護度4(当時)の母を介護した経験が
あるが、「あやうく!」という事故を、半年の
間に、3回も経験している。
それでも、私の母は、楽なほうだった。
一度、「介護とは、便との闘いである」と
書いたことがあるが、その程度。
中には、毎晩、大声で泣き叫んだり、
怒鳴り散らしたり、さらには徘徊する老人も
いる。
広い家でならまだしも、マンションのような
集合住宅であったら、介護の苦労は倍加する。
周囲の家族が受ける心苦労には、相当なものがある。
親の介護をめぐって、息子や娘たちが、大げんかを
するという例も、少なくない。
が、さらにこんなことも……。
母は現在、介護療養型老人保健施設、つまり
ケア・センターに入居しているが、何かあるたびに、
救急車で病院へ運ばれている。
費用も1回ごとに、2~4万円はかかる。
(入院費、検査費、個室代、帰りの寝台つき
タクシー代など。)
しかし最近、その病院のドクターに、こう
宣言された。
「これからは、(救急車で連れてこられても)、
延命処置はしません」「治療もしません」と。
「天命」とか「寿命」という言葉も出てきた。
「もう天命ですから…(あきらめてください)」と。
私は、「そういうものかあ」とか、「そういう
ものだろうなあ」と思ったりした。
また最近では、母を風呂へ入れるたびに、
ケア・センターのほうから、「万が一のことがあっても、
よろしいですか」というような内容の電話がかかってくる。
風呂へ入れたとたん、命を落とす老人もいるとか……。
が、この問題は、冒頭にも書いたように、
私たち自身の問題でもある。
10年後、20年後、さらには、30年後の
私たち自身の問題でもある。
だからそういう電話がかかってきたとしても、
「わかりました。どうせ老人ですから、死んでも
構いません」などとは、言えない。
もしそんなことを言えば、将来、逆に私たちが
同じ立場に立たされたとき、だれかに
そう言われることになる。
あるいはだれかがあなたのベッドの横で、こんな
会話をしたとしたら、あなたは、それに耐える
ことができるだろうか。
「この人は、死んでもしかたないですね」
「そうですね」と。
そのためにも、母にはできるだけ長生きをしてほしい。
それはとりもなおさず、「今」という時間を、
私自身が、できるだけ長く生きることを意味する。
つまり母が生きている間は、私は、少なくとも、
そのときまでは、生きていられることになる。
何かとたいへんはたいへんだが、今の私には、
母が生きているだけでも、ありがたい。
++++++++++++++++++
(参考資料)
●ヤフー・ニュース(4月6日より)(08年)
厚生労働省は、慢性病の高齢者などが長期入院する「療養病床」を再編し、平成24年度末までに現在の35万床(リハビリ用を除く)を約15万床にまで減らす計画だが、都道府県ごとに策定した削減計画の総計で、必要なベッド数が約22万床あることが産経新聞社の調べで分かった。厚労省の計画通りに削減を進めれば、多くの“介護難民”が生じることになりかねず、計画の見直しを求める声が強まりそうだ。
……
【用語解説】療養病床削減計画
約35万床(平成18年10月現在)あった療養病床を、介護保険適用の介護型約12万床は23年度末までに全廃、医療保険適用の医療型約23万床は24年度末までに約15万床に削減する。代わりに、医師の配置数が少なく、低コストの介護療養型老人保健施設などへの入所や在宅治療に移行させる。厚生労働省は、療養病床入院患者の半分近くは治療の必要性が低いにもかかわらず、長期入院する「社会的入院」とみている。
<< Home