*Children who become nervous before their mothers
●親の参観
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私の教室は、すべて公開している。
そうすることによって、教室の
運営を透明化している。
だからほとんどどの教室にも、それを
参観する親たちがいる。
が、問題がないわけではない。
たとえば親が参観しているときと、
そうでないとき、まったく様子が
変化する子どもがいる。
「まるで別人?」と思うこともある。
よくある例は、親が参観していると、
おとなしく、ハキそのものがなくなって
しまう子ども。
表情も暗い。
チラチラと親のほうを見る視線も気になる。
あるいは、反対に、親が参観していると、
ちょっとしたことで、ぐずったり、いじけたりする。
突然、泣き出す子どももいる。
親への依存性が、露骨に表に出てくる。
こういうケースのばあい、親の参観を
遠慮してもらうようにしている。
が、そのタイミングと言い方がむずかしい。
親は親で、親が見る子どもの姿が、(すべて)と
思いこんでいる。
こんな例もある。
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●母因性萎縮児
小児科医院で受け付けをしている、知人の女性から、こんな話を聞いた。
何でも、その子ども(現在は、中学男子)は、幼児のころから、ある病気で、その医院に通っているという。そして、2週間ごとに、薬を受け取りにくるという。
その子どもについて、その知人が、こんなことを話してくれた。
「ひとりで病院へくるときは、結構、元気で、表情も、明るい。薬の数を確認したり、看護婦さんたちと、あいさつをしたりする。冗談を言って、笑いあうこともある。
しかしときどき、母親がその子どもといっしょに、来ることがある。そのときの子どもは、まるで別人のよう。
玄関のドアを開けたときから、下を向いて、うなだれている。母親が何かを話しかけても、ほとんど返事をしない。
そこで母親が、その子どもに向って、『ここに座っているのよ!』『診察券は、ちゃんと、出したの!』『あの薬も、頼んでおいてね!』と。
そのとたん、その子どもは、両手を前にさしだし、かがんだまま、うなだれてしまう。もちろんだれとも、会話をしない。
あるとき先生(医師)が、見るに見かねて、その母親に、『子どものやりたいように、させてあげなさい。そんなうるさいこと、言ってはだめです』と、諭(さと)したこともあるという。
ああいう母親を見ていると、いったい、母親って何だろうと、そんなことまで考えてしまう」と。
こういう子どもを、母因性萎縮児という。教育の世界では、よく見られるタイプの子どもである。
子どもだけのときは、結構、活発で、ジャキシャキと行動する。しかし母親がそばにいると、とたんに、萎縮してしまう。母親の視線だけを気にする。何かあるたびに、母親のほうばかりを、見る。あるいは反対に、うなだれてしまう。
が、母親には、それがわからない。「どうして、うちの子は、ああなんでしょう。どうしたらいいでしょう?」と相談してくる。
私は、思わず、「あなたがいないほうがいいのです」と言いそうになる。しかし、それを言ったら、お・し・ま・い。
原因は、言わずと知れた、過干渉、過関心。そしてそれを支える、子どもへの不信感。わだかまり。愛情不足。
いや、このタイプの母親ほど、「私は子どもを愛しています」と言う。しかし本当のところは、自分の不安や心配を、子どもにぶつけているだけ。子どもを自分の支配下において、自分の思いどおりにしたいだけ。こういうのを、心理学の世界でも、「代償的過保護」という。
今、この母因性萎縮児は、結構、多い。10~15人に1人はいるのではないか。おかしなことだが、母親自身が、子どもの成長を、はばんでしまっている。そしてここにも書いたように、「うちの子は、ここが悪い。どうして……?」「うちの子は、あそこが悪い。どうして……?」と、いつも、悩んでいる。
そうこの話も、あのイランの笑い話に似ている(イラン映画「桜桃の味」より)。
ある男が、病院へやってきて、ドクターにこう言った。「ドクター、私は腹を指で押さえると、腹が痛い。頭を指で押さえると、頭が痛い。足を指で押さえると、足が痛い。私は、いったい、どこが悪いのでしょうか?」と。
するとそのドクターは、こう答えた。「あなたは、どこも悪くない。ただ指の骨が折れているだけですよ」と。
そう、子どもには、どこにも、問題はない。問題は、母親のほうにある。
しかしこの問題は、私のほうから指摘するわけには、いかない。この文章を読んだ、あなた自身が、自分で知るしかない。
(はやし浩司 母因性萎縮児 はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 Hiroshi Hayashi education essayist writer Japanese essayist 萎縮する子ども 待合室 病院の待合室 薬の数 母原性)
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