*Syu-kan Bun-syu, a weekly magazine in Japan
●週刊B春(2)
(My personal review on Shu-kan Bunsyu (July 1oth Editon), one of the leading Japanese weekly magazine.)
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出版業界は、目下、真冬状態。
出版社の倒産、書店に閉店、それに
読者離れがつづいている。
こんなことは、もう15年近くも
前から言われていたことだが、この
ところテレビ業界も、雲行きが
あやしくなってきた。
インターネットの登場で、広告収入の
激減。制作費の削減。質の低下。
その悪循環の中で、今では、視聴率が
20%を超えるテレビ番組は、めったに
ないという。
新聞業界も、10年以上も前から、
下降につづく、下降。
……という視点で、もう一度、「週刊
B春(7月10日号)を読み直してみる。
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●週刊誌のバラエティ化
週刊B春を一読してまず気がついたこと。週刊誌までもが、バラエティ化している。個人名の入ったコラムだけでも、15編前後。「あれもあり、これもあり」といった感じ。ほかに制作費を節約するためか、対談形式の記事が、2編。週刊B春が独自の取材をして、記事として書いているのは、「地に堕ちた偽装列島」と、「短期集中連載」と銘打った「日本の飢餓」の、2編だけ。(荒っぽい数え方で、まちがっているかもしれない。)
「父を、恋人の母を惨殺する、恐るべき十代」という記事は、かなり期待はずれ。ひところ昔の低俗週刊誌の記事そのもの。つっこみが甘いというか、事件の表面だけを、さっと手でこすっただけの内容。何の参考にもならなかった。
で、あちこちを気が向くまま拾い読みしてみたが、どこか思考が、バラバラになっていくのを感じた。これは多分に私の脳みその老化によるものかもしれない。(脳梗塞になった、オシム)→(名物の産地を追え)→(日本の飢餓)→(退職金を守る、7つの鉄則)→……と。若いときのように、脳みその切り替えをするだけで、たいへん。それだけで疲れてしまう。
コラムは、1作を読んで、おしまい。TK氏の書いた、「国際紛争になってもおかしくない」(P75)だけ。しかし読むに耐えないというか、ただの痴話話。一部を紹介しよう。
『……妻はロクに英語はできないが、腹を立てると英語が話せるから不思議である。わたしと妻がイギリスに滞在していたときもそうだった。サイレントピアノを借りに行き、ピアノの電源アダプターが「ジー」と雑音を立てるのに気づいた。店員は「どれもこういう音がするんです」と説明した。わたしが仕方がないかと思っていると、妻が突然、「ノー!!」と叫び、「チェンジ、チェンジ!」と流暢な英語で怒鳴った。
大声を上げる妻に恐れをなした店員は、新しいものを取り寄せると約束し、数日後、雑音のないサイレントピアノが届いた。
(中略)
妻と友人のイギリス旅行の間、妻は毎日のように怒っていたらしい。同行した友人も、「今日も喧嘩するんだからしっかり食べてね」と励まし、喧嘩のために食事をするようになったという。よく国際紛争にならなかったものだ。(次回へつづく)』(以上、原文のまま)と。
こういうばあい、英語で、「チェンジ、チェンジ!」と叫べば、相手には、「お釣り、お釣り!」という意味になるのでは? つまり「お釣りをよこせ、お釣りをよこせ!」と。正しくは、「イクスチェンジ(=交換)」である。加えて、「チェンジ、チェンジ!」と叫ぶことを、「流暢な英語」とは言わない。私の住む世界では、ヘタクソな英語という。
気になるのは、「毎日のように怒っていた」という部分。こういう恥さらしなことを平気でするから、日本人は、いつまでたっても、イギリス人にバカにされる。それにこの部分を読んだだけでも、話の内容に矛盾がある。
「ジー」と音を出したのは、電源アダプターである。エッセーの中には、そう書いてある。
で、「交換?」ということになって、「数日後、雑音のないサイレントピアノが届いた」とある。
電源アダプターが「ジー」と音を出したとは、どういうことなのか? 電源アダプターには、音がでるしくみそのものがない。中身は、小型の変圧器。分解しても、コードやコンデンサーがぎっしりと詰まっているだけ。
仮に音が出たとしても、電源アダプターなど、いくらでもあるはず。(私の家にも、20~30個はあるぞ!)それがどうして、「サイレントピアノの交換」ということにつながるのか。交換するとしても、電源アダプターの交換だけで、すむはず。
しかもこれはまだ、店でサイレントピアノを借りる前の話である。音が出るなら、その場で、借りるのをやめればよい。まだ借りてもいないのに、つまり、お金も払っていないのに、怒って、「チェンジ、チェンジ!」と叫ぶほうが、どうかしている。
「店員が恐れをなして……」とあるから、ふつうの怒鳴り方ではなかったらしい。
が、つぎのところでは、いつの間にか電源アダプターの話はどこかえ消え、「雑音のないサイレントピアノが届いた」となっている。作者は、お茶のM大学の教授となっている。たぶん文科系の教授だと思う。理科系の教授なら、こんなお粗末な原稿は、書かない。
……ということで、ほかのコラムを読むのは、やめた。読んで不愉快になるくらいなら、読まないほうがよい。で、最後に一言。だいたい、「国際紛争になってもおかしくない」というタイトルがおかしい(?)。どこかのオバチャンが、ワーワー騒いだくらいで、国際紛争にはならない。だれもそんなオバチャンなど、相手にしない。
少し自意識過剰ではないのかな?
それにしても、週刊B春も、質が堕ちた。しばらく、もう買わない。
Hiroshi Hayashi++++++++++++++++++++++はやし浩司
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