Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Monday, November 10, 2008

*A LONELY JOB

●孤独な職業

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若いときはそれほど強く感じなかったが、
このところ、仕事をしていて、孤独感を
覚えるようになった。

ひとりだけ、ポツンと取り残されたような
孤独感である。
とくに空き時間など、教室でひとりでいると、
それを強く感ずる。

そういう私の心を察してか、最近は、ワイフが
ときどき、いっしょに仕事をしてくれるように
なった。

どこかに講演に行くときも、そうである。
一応「仕事」ということになっているが、
講演料のことを考えたら、仕事にならない。
そういう公演先へ、電車に揺られて、ひとりで向かう。

それでいつだったか、「いっしょに来てほしい」と
言うと、ワイフは、それ以後は、いつもいっしょに
来てくれるようになった。
電車の中で、話し相手がいるだけでも、ありがたい。
たがいのボケ防止にもよい。(多分?)

ワイフへ、

これからも、よろしく!

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●軽い頭痛

今朝(11月11日)は、軽い頭痛で目が覚めた。
理由は、わかっている。

昨日、小6のクラスでのこと。
このところ睡眠調整がうまくいかない。
それもあって、そのとき私は猛烈な
睡魔に襲われていた。

そんなとき、M君(小6)が、こんな問題を
解いていた。

【問】++++++++++++++++

兄と弟が、時速4キロで、おじさんの家に歩いていました。
ちょうど1時間歩いたところで、兄が忘れ物に気づいて、
時速5キロで、家にもどりました。
弟はそのままおじさんの家に向かって、時速4キロで歩きつづけました。
兄は家で忘れ物を手にすると、時速5キロで、おじさんの家に
向いました。
弟がおじさんの家に着いてから、18分後に、兄がおじさんの
家に着きました。
家からおじさんの家まで、何キロですか。

+++++++++++++++++++

こうした問題では、距離を(X)キロメートルにして、方程式を立てれば、
簡単に解ける。
しかし小学生の問題では、方程式は使えない。
とたん、ものすごいプレッシャー!
ストレス!
が、脳みそは、半分眠ったまま……。
しかも時刻は、終了間際の、10分前!

「解き方はあとでファックスで送るよ」と言いながら、なんとか答は出したが、
どうも自信がない。
このところ計算ミスが多くなった。

で、つぎのクラスまで15分間の休憩があった。
が、再び、あの睡魔!
その睡魔と闘いながら、白い紙に説明をあれこれと書きこむ。
脳みそが、それに抵抗する。
今朝の頭痛は、そのときから始まった。
こめかみの奥が、ツーンと痛くなった。

で、高校生たちが教室へやってきたので、同じ問題を解いてもらった。
自分の出した答を確かめたかった。
「方程式を使わないで、解くんだよ」と。

が、高校生たちでも、ウ~ン、ウ~ンと、うなり始めた。
それを見て、私は、少しうれしかった。
「もし、高校生たちがスラスラと解いたら、どうしよう……」と、
内心では、そう心配していた。
方程式で解くという方法もあったが、すでにその気力さえ、私には
なかった。

が、やがて……20分ほどして、いちばん頭のよいKさんが、「3キロ!」
と答を出した。

それを聞いて、私は、M君にファックスで考え方を送信した。


●高校生の夢

ところで、ひとりの高校生(高2女子)に、こう聞いてみた。
「君には、何か、したいことがあるの?」と。
するとその高校生はしばらく考えた様子を見せたあと、こう言った。
「ないわ……」と。

私「じゃあ、どうして勉強しているの?」
高「やらなくちゃ、いけないからよ」
私「でも、何か目標がなければ、勉強なんてできないでしょ」
高「めんどうだから、そういうことは考えない」

私「子どもだったら、幼稚園の先生になりたいとか、そういうふうに
答えるよ」
高「私は、もう、そういう子どもじゃ、ないから……」
私「そんなことないよ。すばらしい仕事だよ」
高「だって、うちのママは、ケーキ屋さんとか、パン屋さんになりたい
と言うのは、子どもだって言っている」

私「じゃあ、ケーキ屋さんになりたかったの?」
高「そう……。子どものころはね……」
私「だったら、ケーキ屋さんをめざせば、いいじゃない?」
高「だれでもできる仕事は、収入が少ないって、ママは言っている……」

私「だれでもできる……? そんなことはないよ。大切なことは、
ひとつの仕事を、一生つづけることだよ。プロになることだよ」
高「そうかなあ……?」
私「そうだよ。収入は、あとからついてくるよ」と。

まじめな生徒たちである。
みな、黙々と勉強している。
しかし将来に向かって夢をもって勉強している子どもとなると、ほとんどいない。
「そこに勉強があるから、しているだけ」と、そんな雰囲気。

こうした現実を、世のおとなたちは、いったい、どこまで知っているのだろう。
O市のK市長は、今度、高校生たちとの対話を始めたという。
それはそれでよいことだと思うが、数回程度、チョコチョコと対話をして、
それで子どもたちの気持ちがわかるとしたら、とんでもない誤解。
誤解というより、侮辱(ぶじょく)。

高「先生は、どうだったの? 高校生のとき、夢があったの?」
私「あったよ。ぼくのばあい、とにかく、外国へ行ってみたかった」
高「それだけ?」
私「そう。あの小さな田舎の町を飛び出したかった」

高「ああ、だから英語を勉強したんだア」
私「そうだよ。英語を勉強すれば、外国へ行けると信じていたからね」
高「そういうのでも、夢なのかなあ……? だれだって、行けるよ」
私「今はね。しかしぼくが高校生のときには、外国へ行くなんてことは、夢の
また夢だった」
高「フ~~~ン」と。

そのあと、またその高校生は、自分の勉強にもどった。
いつもの、あの静かな時間が、そのあとつづいた。