Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Monday, February 09, 2009

●Feb. 10th   *Azuchi-Castle

●増大する社会不安(Crisis of Thoughts)

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そのうち何らかの統計的数字が示されるのだろうが、
このところ社会不安が増大しているのを、直接、
肌で感ずることができる(2月10日、09)。

国によっては、すでに臨界点に達しているところもある。
ロシアがあぶない。
中国もあぶない。
アメリカもボヤボヤしてきた。
そしてこの日本も……?

しかしこのモロさは、いったい、何なのか?
たった半年、不景気がつづいたというだけで、
世界はガタガタになってしまった。
経済誌を読んでも、「垂直降下」という文字ばかりが目立つ。
つまり世界の経済は、垂直降下している、と。
まさに底なしの様相を見せ始めた。

精神的なモロさというよりは、思想的なモロさ。
それがこの大不況を機に、一気に噴出してきた。
いったい、私たちは、何をしてきたのだ。
豊かな生活の中で、何をしてきたのだ。
ただそれを楽しんできただけなのか?

何というはがゆさ。
何というやるせなさ。

モノの動きが止まったというだけで、どうして
こうまでガタガタになってしまうのか。
私たちには、(思想)という武器があったはず。
しかしその武器が、まったく機能していない。
人間というのは、それほどまでにモロい生き物だったのか。

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●日本人の老後vs欧米人の老後(How do we live our old Ages?)

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日本人は、常に残すことを考える。
欧米人は、常に使うことを考える。
こうした(ちがい)が、明確にわかるように
なるのが、老後。

日本では、腰も曲がり、ヨボヨボになったような
老人が、何千万円も、何億円も金融財産を
もっていたりする。
現金でもっている人も多い。
(それが悪いことだと言ってるのではない。
どうか、誤解のないように。)

一方、欧米人は、必要最小限の生活費を確保した
あとは、使う。
「万が一のため」とか、「いざというときのため」とか、
そういう考え方はしない。
使って、老後の人生を楽しむ。

こうした(ちがい)は、生活のあらゆる場面で見られる。
いわんや「家」の心配など、しない。

少し前だが、フランスに住む友人から、こんな
話を聞いた。
何でもその息子氏(フランス人)が、実の母親から、
実家を買わないかという申し出を受けているという。
わかるかな?

実の母親が、自分の息子に、実家を買わないかと
申し出ているというのだ。

私はその話を聞いたとき、軽いカルチャショックを
受けた。
日本人にはない発想である。
日本人なら、自分が住んでいる実家を、息子に売るような
ことはしない。
が、「実家をあなたに売りたいから、買わないか?」と。

もしそのとき息子氏がそれを断れば、母親は別の人(他人)に、
実家を売ることになる。
売って、そのお金で、母親は自分の生活を楽しむことになる。

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国がちがえば、ものの考え方もちがう。
私たちが常識と思っていることでも、外国では非常識となる。
私たちが非常識と思っていることでも、外国では常識となる。
で、最近だが、私たちの世代を中心に、欧米流の考え方をする人がふえてきた。
「子どもたちに財産を残すくらいなら、自分たちで使ってしまおう」と。
「元気で体が動く間に、そのお金で、余生を楽しもう」と。
実は、私たち夫婦も、そうである。
……というより、これはワイフの考え方。
その考え方に、私もこのところ急速に同調するようになってきた。

「家」意識など、もとからない。
私たちは私たち。
息子たちは息子たち。
いまどき「先祖だの」「子孫だの」と言っている人の、気が知れない。
ホント!

ついでに私の先祖について書く。

私の父方の祖父は、貧しい農家に生まれた。
何番目の子どもだったかは知らないが、祖父は10歳くらいのとき、町へ出て、
鍛冶屋の小僧となった。
それから15、6歳まで働き、さらに2年間、礼奉公というのをして独立した。

鍛冶屋で身を起こしたが、いち早く自転車に目をつけ、それ以後は自転車屋を営んだ。
1度、祖父は、祖父が生まれ育った家を見せるため、私をそこへ連れていってくれた
ことがある。
道路から、(道路といっても、当時は農道だったが)、3~5メートルほど入ったところに、
それはあった。
幅は2間、長さは4間ほどの、土壁むき出しの家だった。
窓はなかったように記憶している。
私が中学生のときのことだった。
私はそのあと、記憶は確かではないが、1週間とか、1か月後ではなかったかと、
思うが、こんどは、ひとりでその家を見に行った。
私はあまりのみすぼらしさに、再度、驚いた。

それだけではないが、そういうこともあって、親類の人たちが、ことあるごとに
「林家」「林家」と、「家(け)」をつけて呼んでいるのを聞くたびに、
大きな違和感を覚えた。

ただ祖父の甥(おい)にあたる人が、そのあと、そのあたりでかなりの財産家に
なったらしい。

立派な家を建て、そこに住んでいる(姉の言葉)。
親類の人たちは、その甥の家を見ながら、祖父の先祖の家と思い込んでいる。
しかし祖父が生まれ育った家は、先に書いたとおりである。

話を戻す。

要するに、「私」を大切にするか、「家」を大切にするか。
それが日本人と欧米人の(ちがい)ではないか。
こと私のオーストラリアの友人たちについて言えば、「家」意識など、もとからない。
おそらく彼らは、日本人がもつ「家」意識そのものを理解できないだろう。
説明するだけ、ムダ。

つまりそのあたりまで掘り起こして考えないと、日本人と欧米人の老後の送り方
の(ちがい)を説明できない。
もちろん宗教観もちがう。
それはあるが、あとはそれぞれ個人の生き方ということになる。
「それでも家は大切」と考える人もいるだろう。
「やはり個人のほうが大切」と考える人もいるだろう。
大切なことは、それぞれの立場の人が、それぞれの立場を尊重すること。

多くのケースでは、保守派の人たちのほうが、力をもっている。
伝統を背中に負っている。
その分だけ、強い。
「昔からこうだ」と言えば、相手を黙らすことができる。
私たちのような改革派を、異端として退けてしまう。
力のバランスにおいては、私たちは弱者でしかない。

そんなわけで、「私は私だア」と叫んだところで、この話は、おしまい。
苦しい戦いは、まだまだつづく。


Hiroshi Hayashi++++++++FEB09++++++++++はやし浩司

●安土城(Azuchi Castle)

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安土城(あづちじょう)といっても、今は三重塔と
二王門をのぞいて、何も残っていない。
天主跡、本丸跡までの山道には、石段が残っているだけ。
そのはずれに、三重塔と二王門がある。
ともに信長が、甲賀から移したものとされる。
「移した」というと聞こえはよいが、本当は略奪したもの(?)。
あるいは戦利品。
しかし行ってみてまず思うのが、「どうしてこんなところに?」と
いう疑問。
が、その謎も、天主跡まで登ってみると、解ける。
天主跡からは、遠く琵琶湖がすっぽりと見える。
入り口でもらった案内書には、こうある。
「現在は四方とも干拓により陸地となっているが、
当時は琵琶湖の内湖に囲まれ、南方のみが開けた地形であった」と。

ナルホド!

「岐阜城よりも京に近い利便性があり、北陸・東海の要所であった」とも。

さらにナルホド!

それにしても入場料の500円は高い。
「国の特別史跡に指定されている」とのことだが、それが理由で、500円?
400段近い石段を上って、下りるだけ。
随所に、「許可なく~~するな」の看板だけが、やたらと目立つ。
観光客を、もう少し温かく迎えてほしい。

同じ案内書には、こうある。
「石段は急で、危険な箇所があっても、安全策をほどこすことが
できません。史跡内では、各自、自己責任で御入山ください」と。
こういう文章そのものが、実にお役人らしい。
どこかインギン無礼?

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●入場料が500円

安土城の最大の特徴は、日本最古の(?)天守閣を備えた山城であったということ。
案内書にも、「……高さ33メートルの木造高層建築は当時、わが国ではじめてのもの
であった」とある。
つづけて「内部は信長公の御用絵師、狩野永徳の豪壮な障壁画や装飾を配していた」と
ある。
しかし、ちょっと待てエ!

「わが国はじめてのもの」とあるが、何が、その「もの」なのか?
サラッと読むと、「木造高層建築」ということになる。
そのまま読めば、「日本ではじめての城」ということになる。
それで私は、「日本最古の山城」と書いた。
が、こういう内容は、まず疑ってかかってみたほうがよい。
そこで調べてみると……。

日本最古の山城は、『663年、中大兄皇子(天智天皇)が、唐と新羅の連合軍に敗れたとき、大宰府を守るために築かれた、朝鮮式山城「大野城」である。 今では国の特別史跡に指定されている』(福岡県立四王寺県民の森管理事務所・HP)とある。
さらに高層建築物ということになれば、法隆寺の五重塔がある。
時代は同じく6~7世紀までさかのぼる。

となると、「33メートルもある建築物が、わが国はじめて……」ということになる(?)。
案内書にも、こうある。
「……5層7階(地上6階地下1階)」と。
つまりそういう高層建築物としては、「わが国はじめて」ということか。

が、安土城は、信長が本能寺で自刃してからまもなく、「一夜にして焼失、落城した」。
信長が本能寺で自刃したのは、天正10年(1582)の6月2日。
安土城が落城したのは、同じ年の6月15日。
「織田信雄が誤って焼き払ったという説や、敗走する明智光秀軍による放火という説など
が有名」(同、案内書)と。
いろいろと説が交錯しているらしい。

どうであるにせよ、今は、何もない。
ないのに、「わが国はじめて……」は、おかしい。
あまりたとえはよくないかもしれないが、パンを買いに行ったら、「これは日本で
はじめてのパンを包んだ包装紙です」と言って、包装紙を買わせられるようなもの。
あとは頭の中で、勝手に想像しろということか。

だとするなら、やはり500円は高い。
浜松城だって、石段を上り下りするのは、ただ。
城の中へ入るときだけ、料金を取られる。
が、安土城では、いちばんふもとの大手道へ入るときに、500円!
信長にしても、どうせ当時の民衆を虐げて作らせた城ではないか。

どうして500円にこだわるかって?
それには理由があるが、ここには書かない。

(付記)
日本人は、自分の家をもつと、こう言う。
「これは私が建てた家です」と。
私も以前、オーストラリアの友人に手紙でそう書いて、失敗したことがある。
友人は、あわてて手紙をくれた。
「ヒロシは、大工だったのか?」と。

正しくは、「私が買った家」、もしくは「大工さんに建ててもてらった家」である。
同じように、案内書には、「信長公が築城した」などとある。
おそらく信長は、木材一本、削っていないだろう。
が、この日本では、「私が建てた家」という。
このあたりにも、日本人独特の「家」意識が隠されている。
その家意識が、そういう表現の仕方につながっている。

繰り返すが、安土城は信長が建てた城ではない。
信長が命令して、建てさせた城である。


Hiroshi Hayashi++++++++Feb. 09++++++++++++はやし浩司

最前線の子育て論byはやし浩司(090211)


●大不況

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2007年の終わり、つまり今からちょうど
2年前、今回の大不況を予測していた人がいた。
その人は、はっきりと「サブプライム・ローン」という
言葉まで使っていた。
その人が、どこでどういう方法でその言葉を知ったかは、わからない。
しかしちゃんと、そう書いてある。

2007年の終わりといえば、まだ世界の経済は
順調に推移していた。
貴金属の暴騰もなかったし、中国経済もしっかりしていた。
「サブプライム・ローン」という言葉すら、水面下にまだ沈んでいた。
が、「このままではあぶない!」と。

その人というのは、実は、この私である。
今朝、2年前に書いた自分のBLOGの中に、そういう
エッセーがあるのを知った。
それをそのまま紹介する。
原文は、Goo-Blogに収録してある。
日付はあとからは書き改められないようになっている。
だから2年前に私が書いたものということは、確かである。
日付は、2007年8月11日になっている。

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●不思議

2年前の当時、サブプライム・ローンなどという言葉を知っていた人は少ない。
それが2008年の秋口から、世界的な大問題の発端になると知っていた人は、
さらに少ない。
が、私は、どういうわけか、それについて、そのとき書いていた。

++++++++++++++以下、そのまま転載++++++++++++++++

【今朝・あれこれ】(07年8月11日)

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毎朝、畑に水をまく。今朝もまいた。
見ると、40センチ以上もある巨大な
キュウリがころがっていた。

驚いた!

ワイフにそれを見せると、「昨日、取った
けど、そこに置き忘れた」と。

それにしても巨大。

それ一本だけでも、ゆうに一食分はある。

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●レバレッジ

 私の趣味は、周期的に変化する。昔からそうだ。ある一定期間、ひとつのことに凝(こ)ると、それに徹底的に没頭する。が、ひととおり、それをやりこなすと、今度は別のものに移動していく。

 興味の対象もそうだ。今は、「経済」がおもしろい。私がほとんど経験しなかった分野だけに、おもしろい。今朝は、「レバレッジ」という単語を覚えた。レバレッジというのは、少ない資金を元に借り入れを行い、借り入れを使って投資した商品を担保にして、さらに借り入れと投資を繰り返し、投資額を増やしていく手法だそうだ。

 今回のアメリカで起きた、サブプライム・ローンの焦げつきは、このレバレッジが原因だったという。そう言えば、あのバブル経済のころ、この日本でも、土地投機を舞台に、このレバレッジをしていた人が、私のまわりにも、何人かいた。

 G氏という名前の人も、そのうちの1人。私の友人だった。

 そのG氏も、レバレッジなるものをしていた。方法は簡単。まず土地を買う。そこに小さなアパートを建てる。その土地とアパートを担保に、別の土地を買う。同じようにアパートを建てる。その土地とアパートを担保に、さらに別の土地を買う。同じようにアパートを建てる……。

 これを繰りかえす。当時は、毎年のように土地の価格があがっていった。「土地神話」というのもあった。土地は値下がりしないと、誰もが信じていた。そのため土地を買うたびに、担保価値が高くなり、G氏は、あれよあれよと思う間もなく、大資産家に変身した。当時、G氏は、43、4歳ではなかったか。

 超高級車に乗り、浜松市内でも一等地とされる団地に、豪邸を建てた。「高級車に乗るのは、交通事故から命を守るため」「大きな家に住むのは、経営会議をそこでするため」と、私にはそう説明した。

 私も、何度か勧められたことがある。私は、「自宅だけは、抵当に入れない」とがんばった。今も、昔も、私は1円たりとも借金をしたことがない。

 が、土地の価格が下落し始めたとたん、つまりバブル経済が崩壊し始めたとたん、今度は反対に、ドミノ倒しのドミノのように、つぎつぎと負債が膨らみ、結果的には、会社は倒産。G氏自身も、自己破産に追いこまれた。

 その当時を思い出しながら、「あれがレバレッジだったのか」と。ひょっとしたら、そういうのは、レバレッジとは言わないのかもしれない。ともかくも、そういうのが破たんして、結果的に、今回、世界的な株価暴落を引き起こしたということらしい。

 今のところ、世界の中央銀行が市中にお金をばらまき、銀行の信用不安は沈静化に向かっている(日経新聞)ということだが、まだわからない。日経新聞のコラムニストのY氏は、つぎのように書いている。

 「1点目のリスクは、ヘッジファンドなどの投資実態が分からないだけに読みにくいが、市場では、今回損失が明らかになったベアスターンズ傘下のヘッジファンドほどの規模でレバレッジをかけ、サブプライム関連のリスクを抱え込んでいるファンドは少ないとの見方が多い。実際、もし破綻に瀕した大規模なファンドが数多くあるならば、既に現時点で明らかになっているだろう」(8月11日付け)と。

 ついでながら、「レバレッジ」とは、英語ではどう書くのだろう? 手持ちの「Collins Australian Pocket Dictionary」をあちこち調べてみたが、わからなかった。……いや、あった! 「R」ではなく、「L」で始まる単語だった。

 “leverage”とつづるのだそうだ。意味は、“the action of a lever, the mechanical advantage gained by using a lever, strategic advantage” (レバーのアクション、レバーを使って得られた機動的な利益、戦略的な利益)だそうだ。

 ナルホド! 「戦略的な利益」のことか! 今朝も、またまた新しい発見でスタート! ……しかしレバレッジをしている人たちから見ると、私のようにコツコツと働いている人は、バカに見えることだろう。さらに無料でマガジンを発行している人は、バカに見えることだろう。

++++++++++++++以上、そのまま転載++++++++++++++++

「どんなもんだい」と胸を張るようなことはしない。
張っても意味はない。
肝心のその私ですら、かなりの被害を蒙(こうむ)っている。
ワイフもこう言った。
「わかっていたのに、どうして債権なんかに手を出したの?」と。

そう、そのあたりが私の未熟なところ。
頭の中ではわかっていても、行動がそれに伴わない。
ヘマばかりしている。
といっても、つまり被害といっても、全体でならしてみれば、プラスマイナス・ゼロ。
それでも損をしたことは事実。

が、我ながら、よくわかっていたものだと感心する。
自分の原稿を読みながら、感心する。
しかし私は、どこでそういう情報を得たのか。
またどういう経緯でその原稿を書いたのか。
いろいろ思い出してみるが、それがはっきりしない。

それにしても不思議なことがあるものだ。
どうして私は、こんな原稿を、そのとき書いたのだろう。

同じ日(07年8月11日)、韓国の経済についてのエッセーも書いている。
それをそのまま紹介する。
当時の人たちがいかに、ノー天気であったかが、これでわかる。

++++++++++++++以下、そのまま転載++++++++++++++++

●大本営発表

++++++++++++++

今日は、8月13日、月曜日。
朝、5時。

最大の関心ごとは、株価の値動き。
今日の動きを見れば、これから
1週間の、世界情勢のおおかたの
見当がつく。

さあ、どう出るか、アメリカの
サブプライム・ローンの問題!

……ということで、韓国の朝鮮N報の
経済欄をのぞく。

しかし……。こういうのを大本営
発表というのだろう。私のような
ド素人にも、明らかにウソをわかる
記事ばかり。

経済は数字に始まって、数字に
終わる。

++++++++++++++

●朝鮮N法のウソ記事

 まず、朝鮮N法の記事を読んでみてほしい。8月11日付きの記事をそのまま紹介する。(朝鮮N報の記事のばあい、署名入りの記事は、たいていデタラメなウソ記事と考えてよい。さすが良心がとがめるのか、あとあとの責任のがれのためにそうするのだろう……と、私は解釈している。)

++++++

 『今回のサブプライム・ショックは、株式や不動産、消費など韓国経済全般に悪影響を及ぼすものとみられる。しかし、1997年のアジア通過危機のような大規模危機へと進展する可能性は低い、という分析が出ている。

 何よりも、問題となったサブプライム・ローンによる韓国の直接的な損失規模がそう大きくはない。金融監督院の関係者は10日、「一般投資家が加入した海外の債券ファンドのうち、ごく少数が、米国のサブプライム・ローンに投資した可能性があるが、分散投資されているため、特に問題はない」と語った。

 ただ、ウリ・外換・新韓・国民・産業銀行や農協など、一部の銀行と保険会社がサブプライム・ローン関連の債券に計8億4000万ドル(約994億3080万円)投資しており、6月末基準で投資額全体の4・5%に当たる約3800万ドル(約44億9800万円)の損失を出した。しかし、これらの金融機関の資産規模が、それぞれ数十から数百兆ウォンに達するという点を考慮すると、大きな打撃にはならないといえる。

 しかし、株式市場は相当な打撃を受けるものとみられる。今回の事態で、世界の投資家たちが危険を回避し、安全な資産を選好する現象が広がるにつれ、韓国をはじめとする新興市場で、株式を売りに出す可能性が高いためだ。特に、今年に入り韓国の株式市場の上昇率が相対的に高かったため、世界の株式市場が下落した場合、韓国はさらに大きな下落率となることも考えられる。グローバル株の低調が長期化する場合、海外ファンドの加入者も損失を免れなくなる。

 今回の事態で「円キャリートレード(金利の低い日本で円を借り、海外資産に投資すること)」の清算が加速化し、各国に投資された円資金が流出する場合、韓国国内の不動産市場にも影響が及ぶ可能性がある。韓国企業が円資金を借りて不動産に投資したケースが少なくないためだ。そのため、内需の景気回復も遅延する可能性がある。

 ただ、円キャリートレードが清算されれば、円高に向かう可能性も残されており、日本企業とライバル関係にある韓国企業の輸出にとっては好材料にもなり得る。

 S経済研究所のT副社長は、「米国とヨーロッパの金融当局が積極的に対応していることに加え、アジア経済が好調を見せ、アジア各国に外貨資産が多く蓄積されているため、通貨危機のような大規模な危機へと発展する可能性は少ない」と述べた』(I・J記者)と。

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 順に整理してみよう。

(1)大規模危機へと進展する可能性は低い。
(2)韓国の直接的な損失規模がそう大きくはない。
(3)金融機関の資産規模が、それぞれ数十から数百兆ウォンに達するという点を考慮すると、大きな打撃にはならない。
(4)今年に入り韓国の株式市場の上昇率が相対的に高かった。
(5)円高に向かう可能性も残されており、日本企業とライバル関係にある韓国企業の輸出にとっては好材料にもなり得る。
(6)アジア各国に外貨資産が多く蓄積されている。

 S経済研究所のT氏が、「米国とヨーロッパ……」と書いて、わざわざ「日本」をはずしていることに注目。世界の新聞は、「日米欧」と、「日本」を入れている。

 これについては毎度のことだから、ここでは目をつぶることにしよう。

 (1)の「大規模危機へと進展する可能性は低い」については、主語が「世界」なのか、「韓国」なのか、よくわからない。世界的な大規模危機にはならないとは、私もそう思っているが、韓国にとっては、そうではない。それについては、今まで、たびたび書いてきた。

 (2)と(3)については、なぜこうまで韓国はオメデタイのか、その理由がよくわからない。つぎの数字を見てほしい。

 第一銀行  外資比率100% (筆頭株主:スタンダード・チャータード)
 韓美銀行  外資比率 99% (筆頭株主:シティ・グループ)
 国民銀行  外資比率 86% (筆頭株主:バンク・オブ・ニューヨーク)
 外換銀行  外資比率 74% (筆頭株主:ローンスター)
 ハナ銀行  外資比率 72% (筆頭株主:ゴールドマンサックス)

 わかるかな? エッ、まだわからない?

 国策銀行のウリ銀行をのぞいて、韓国の銀行は、すべて、外資の支配下にあるということ。国民銀行を例にあげてみると、86%が、外資。しかもその筆頭株主は、バンク・オブ・ニューヨーク! アメリカの銀行である。わかりやすく言えば、韓国の銀行は、アメリカの銀行、もしくはその支店と考えてよい。

 アメリカの銀行が巨大な損失をかかえているのに、その子分である韓国の銀行が、「大きな打撃にならない」とは! (これに対して、日本の銀行のばあい、役員に外人を置いている銀行は、ゼロ!)

 「金融機関の資産規模が、それぞれ数十から数百兆ウォンに達する」ということだそうだが、それはだれのお金か、まず、それを冷静に考えてみること。だいたい「資産規模」というところが、恐ろしい! 日本でいう「資産」ということなら、それは株主、つまり投資家のもの。預貯金額を言うなら、それは預金者のもの。

 (4)の「今年に入り韓国の株式市場の上昇率が相対的に高かった」というのは、どことくらべて「相対的に高かった」というのか。

 韓国では、外資が逃げ、個人投資家が逃げても、しかし株価だけはあがるという珍現象が、続発している。

 株価というのは、だれかが買うからあがる。買わなければ、あがらない。では、だれが買うか?

 いわずと知れた、「自社」である。株式制度、それに付随する法律は、国によって、すべて異なる。韓国では、「自社株の売買」が、ごくふつうのこととしてなされている。

(5)「円高になれば、韓国企業にとっては有利」とか?

 ならば聞くが、ではなぜ自国の通貨を、ウォン安にしないのか? きわめて簡単な質問である。そうすれば何も円高を待たなくても、韓国企業にとっては有利になるはず。が、韓国政府は、つい先週も、2か月連続で、日本でいう政策金利をあげている。(今月、0・25%あげて、0・5%になった。)

 政策金利をあげれば、世界の投資家たちが、韓国のウォンを買う。そのためウォンが値をあげる。ウォン高になれば、輸出企業に不利になる。韓国政府は、自国ガ貿易立国であることを百も承知の上で、自国の通貨をウォン高に導こうとしている。こういう矛盾を、いったい、この記事を書いた記者は、どう説明するのか。

 実は、韓国は、ウォン安にできないのである。ウォン安にしたら、それこそ、現在アメリカで起きている、サブプライム・ローンと同じ問題が、韓国国内で起きてしまう。世界的にみれば、規模は小さいが、韓国経済を崩壊させるには、じゅうぶん。

 何としてもウォン高を維持して、外資を自国へ呼びこまねばならない。そのことは、つぎの数字をみればわかる。

 韓国貿易収支    2005年…… 327億ドル
              2006年…… 292億ドル
              2007年…… 100億ドル以下(07年第一四半期より推定)

 つまり毎年、韓国の貿易収支は、見た目よりもはるかに速いスピードで悪化している。2008年には、赤字に転落するかもしれない。ここ1~2年、設備投資額も、前年度比、毎年、1~2%という、まさにK国並みの低さで推移している。

 こういう状態で、円高になったらどうするか? 韓国は基本技術、および製造機器のほとんどを、日本に頼っている。「有利」になるどころか、その分だけ、たちまち輸入額に、円高分が上乗せされてしまう。

 が、何といっても最大のウソは、(6)の「アジア各国に外貨資産が多く蓄積されている(からだいじょうぶ)」という部分。

 百聞は一見にしかずという。つぎの数字を見てほしい。

 韓国の所得収支    2005年…… ▲16億ドル(赤字)
                2006年……  ▲ 5億ドル(赤字)
                2007年……  ▲20億ドル以上の赤字(07年第一四半期より推定)

 所得収支というのは、モノの売買で得るのを「貿易収支」と呼ぶのに対して、債権・債務で発生する収支のことをいう。

 ここ数年、韓国では、この所得収支が赤字なのである。赤字ということは、「アジア各国にある外貨資産」で得るお金よりも、借金のほうが多いということ。わかるかな? エッ、まだわからない?

 では、説明しよう。

 あなたは借家を5軒もっている。そこからの家賃収入は、1軒分10万円として、50万円ある。しかし同時に、その借家を建築するために借り入れたお金の返済のため、あなたは、毎月60万円の利息を支払わねばならない。つまり所得収支でみれば、毎月10万円の赤字ということになる。そういう状態でも、あなたは「うちには資産があるから、だいじょうぶ」などと言うだろうか。

 韓国の今の状況を簡単に言えば、そういうことになる。そういう韓国が、「アジア各国に外貨資産が多く蓄積されているから、(だいじょうぶ)」とは! あいた口がふさがらない!

 私のようなド素人にも、こんな程度のことはわかる。つまりこの記事を書いた、朝鮮N報のI・J記者は、この私よりも、ド素人ということになる。

 なぜ、こうした記事には、わざわざ署名を入れるか? もうこれで読者の方は、その理由が、おわかりのことと思う。

 私もこうした記事にはよくだまされた。つい最近まで、だまされた。韓国を代表する新聞社だから、だれしも「まさか!」と思う。しかしウソはウソ。読者のみなさんも、くれぐれもご注意のほどを!

++++++++++++++以上、そのまま転載++++++++++++++++

国がマスコミをあざむき、マスコミが国民をあざむき、やがて世界は奈落の底へと
落ちていくことになる。

今回の大不況は、まさに人災と言えなくもない面をはらんでいる。