*Another Room in the Mind(part-2)
●心の別室(Another Room in the Mind)(補記)
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このところ、「心の別室」について、よく考える。
つまり心の中には、別室があり、人はその別室を
うまく使い分けながら、自分の心をうまく
コントロールしている、と。
たとえば今朝も、世界のニュースサイトに
ひと通り目を通してみた。
いくつか、目に留まった。
ひとつは、あのK国がまたまた、戦時中の日本軍に
よる強制連行を問題にし始めたというニュース。
これをニュースAとする。
もうひとつは、世界で、パソコンの小型化
(ハイブリッド化)が進んでいるというニュース。
これをニュースBとする。
ニュースAについては、私は見出ししか読まなかった。
ニュースBについては、本文を開いて、読んだ。
ニュースAは、日本人の私にとっては、不愉快な話。
できれば早く忘れたい。
「またか……!」という思いが先に立った。
ニュースBは、私の趣味にも関係する。
「どんなことだろう?」と思って、読んだ。
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●抑圧
心理学の世界には、「抑圧」という言葉がある。
心を守るための防衛機制のひとつと考えられている。
たとえばいやなことがあると、人は心の中に別室を作って、その中に、それを
閉じこめようとする。
「忘れたい」「逃げたい」という思いが、心の中に別室を作る。
結果として、心の安定を図る。
子どもの世界で注意しなければならないのは、こうした抑圧が、しばしば子どもの
心をゆがめること。
たとえば、おとなしい子どもがいる。
従順で、静かで、穏やかな子どもをいう。
幼稚園でも学校でも、先生の指示には、すなおに従う。
だれかに自分の持ち物を奪われても、黙っているだけ……。
親は、「我慢強い、できのいい子」と喜んでいるが、これはとんでもない誤解。
このタイプの子どもほど、心のどこかで自分を押し殺す。
この「押し殺す」という心理操作が、「抑圧」ということになる。
●空想的虚言
一方、反対にこんなこともある。
空想の世界に自分を置き、現実と空想の区別がつかなくなってしまう。
このタイプの子どもは、少なくない。
ウソをつくが、本人には、ウソという自覚がない。
あたかも本当のことのようにして話す。
この種のウソを、空想的虚言(妄想)という。
印象に残っている子ども(年長男児)に、F君というのがいた。
F君の母親から、ある日、電話がかかってきた。
「今日、うちの子が教室でおもらししてすみませでした。
ご迷惑をおかけして、すみませんでした」と。
私には何のことか、さっぱり、わからなかった。
その日もF君は、いつものように笑いながら、帰ったはずである。
が、そのあとすぐまた電話がかかってきた、母親がこう言った。
「よく聞いたら、帰りのバス(=園バス)の中で、もらしたそうです」と。
で、翌日、(バスの先生)にそれを確かめると、その先生も、「知らない」と。
結局F君は、バスをおりてから、家に着くまでに、小便をもらしたらしい。
そういうこともあって、私はそれ以後、F君を注意して観察するようにした。
●2種類の別室
F君のウソの特徴は、シャーシャーとウソをつくということ。
あたかも現実に、それがあったかのようにして話す。
それを聞く私の方は、ときに何が現実で、何が空想か、わからなくなることがあった。
頭の中で別の世界を作ってしまい、その中に住んでしまうといった感じ。
原因はやがて、母親の異常なまでの過干渉にあることがわかった。
F君の母親は、こまかいことまでF君に干渉し、また自分の思い通りにならないと、
F君をしつこく叱ったりした。
……と、ここではF君のことを書くのが目的ではない。
(F君については、すでにたびたび書いてきたので、ここでは省略する。)
つまりこういうケースのばあい、子どもは、心に別室を作り、そこへ(いやなこと)を
押し込むのではなく、そこに住んでいるということになる。
つまり「別室」にも、2種類あるということになる。
(新しい考え、ゲット!)
(1) 自分を押し殺すための別室、
(2) その中で自分が住むための別室、である。
で、これら2つの別室には、相対性がある。
●別室の相対性
そこで改めて、今朝のニュースについて考えてみる。
先に書いたニュースAだが、私はふと不愉快になった。
なって、そのまま無視した。
この「無視する」という操作が、「抑圧」ということになる。
いろいろ言いたいこともある。
書きたいこともある。
しかしそういう自分を、心のどこかで押し殺す。
で、そのとき、こうも思った。
「反対にK国の指導者たちは、自分たちの経済運営の失敗を棚にあげ、いまだに
それを日本のせいにしているのだなア」と。
つまりK国の指導者たちは、私がした心理操作と反対のことをしている。
私は、心の別室をつくり、そこへ不愉快なニュースを放り込んだ。
一方、K国の指導者たちは、いまだに心の別室に住み、そこから出られないでいる。
「K国が貧しいのは、もとはと言えば、すべて日本のせいだ」と。
もう少しわかりやすい例では、先のF君のケースがある。
F君の母親は、自分では、よく気がつく、よい母親であると信じていたようである。
F君に対して、もちろん、過干渉をしているという意識はない。
都合の悪いことは、すべて心の別室に放り込んでいた。
つまり心の別室に住み、「よい母親である」と思い込んでいた。
そしてその反射的効果として、F君は、心の別室に住むようになった。
●心の別室は作らない
どちらであるにせよ、また、どうであるにせよ、心の別室を作ることは、
好ましいことではない。
それが「抑圧」であるにせよ、「空想的虚言」であるにせよ、避けられるものなら、
避けた方がよい。
とくに子どもの世界においては、そうである。
心そのものを、ゆがめる。
だから……。
もしあなたの子どもが、先に書いたような、(できのよい子)であったとしたら、
それは仮面(ペルソナ)と考えてよい。
できがよいと思っているのは、ひょっとしたら、あなただけ。
子どもの心の奥で、何が起きているか、静かに観察してみたらよい。
一方、あなたの子どもが、シャーシャーと、空想の世界のことを、あたかも現実の
できごとのように話すようなら、それにも、注意したほうがよい。
ついでに書くなら、このタイプの子どもは、ウソを問い詰めても、こと細かいことまで、
つじつま合わせをする。
が、全体として、「?」。
(詳しくは、「はやし浩司 空想的虚言」で検索。)
●すなおな子ども論
で、最後に、「すなおな子ども」論。
何度も書いてきたように、「すなおな子ども」というときには、2つの意味がある。
(1) 表情と心(情意)の状態が、一致していること。
(2) 心のゆがみ(つっぱる、いじける、ひがむ、ねたむ、ぐずる、こだわる、すねる)
がないこと。
ただし、私にも、あなたにも、だれにでも、部屋の広さはともかくも、心の別室はある。
「強制連行」という言葉を見ただけで、そういったニュースは、読みたくない。
(本当は、そうであってはいけないのだが……。)
損したとか、失敗したとか、あるいは迷惑をかけた、恥をかいたというような話
にしても、そうだ。
大切なことは、そういう心の別室があるということを、いつも知っておくこと。
それだけでも、あなた自身の見方も、また子どもの見方も変わってくる。
ついでに、「すなおな子ども」というのは、どういう子どもをいうか。
それについてはビデオに収めておいたので、参考にしてほしい。
このビデオの中の子どもたちの言動に注意してほしい。
「子どもは、こうでなくてはいけない」と、私は考えている。
http://www.youtube.com/watch?v=0h9Wf17ou9I
もっと見てくださる人は、
http://bwhayashi.ninja-web.net/
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司
心の別室 別室論 心の中の別室論 抑圧 空想的虚言 すなおな子ども論
すなおな子供 素直な子供)
Hiroshi Hayashi++++++++April. 09+++++++++はやし浩司
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