Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Saturday, April 11, 2009

*Civilazation War

【文明の衝突】



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中国や、韓国で吹き荒れている、反米、

反日運動。



なぜ、今なのか?



それをただ単なる、民族主義の高揚に

よるものと考えると、ますますわけが

わからなくなる。またそう考えたと

ころで、解決策には、結びつかない。



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●日本も中国も同じ(?)



 前にもどこかで書いたが、ドイツ人のロシア嫌いには、相当なものがある。一部のドイツ人
が、そうであるというのではない。総じてみれば、みな、そうなのである。



 そういうドイツ人を見ていると、ふと、こう思う。私たち日本人から見ると、ドイツ人もロシア人
も、同じなのに、と。



 しかし同じことが、私たち日本人についても、言える。ヨーロッパの人たちから見ると、日本人
も中国人も同じ。区別できない。だから日本人はともかくも、中国人が日本人を嫌っているとい
う話を聞くと、ヨーロッパの人たちは、みな、こう思うにちがいない。



 私たちから見ると、日本人も中国人も、同じなのに、と。



 なぜか?



●生理的な嫌悪感



 つまり、なぜ、こうした、好きとか嫌いとかいう反応が、生理的な部分で起きてしまうのか。そ
の理由として、よくあげられるのが、民族意識であり、歴史認識の問題である。とくにドイツとロ
シアは、数世紀にまたがって、あるいはそれ以前から、たがいに戦ってきた。



 しかしこのことだけでは、なぜ中国人が、今、日本を嫌っているのか、その説明がつかない。
韓国人にしても、そうである。たしかにこの100年の間に、日本と中国、日本と韓国は、不幸な
戦争を経験した。それは事実である。しかしそれ以前はといえば、日本は極東のアジアの島国
として、中国とも韓国とも、それなりに、仲よくつきあっていた。



 ドイツとロシア、日本と中国、それに日本と韓国は、どこか同じようで、同じではない。そのち
がいは、どこから生まれるのか。



 実は、ここに「文明の対立」の問題がある。



 ヨーロッパは、言うまでもなく、西欧文明圏に属している。一方、ロシアは、スラブ文明圏に属
している。「文明」というのは、民族意識の上にあって、意識として意識されない意識をいう。い
わば無意識下の、帰属意識ということになる。相互帰属意識と言ってもよい。



 で、この日本について言うなら、日本は、敗戦時までは、中国や韓国と同じ、儒教文明圏に
属していた。細部はともかくも、マクロな見方をすれば、そうである。独特の集団意識、上下意
識、帰属意識、相互依存意識、先祖崇拝意識など。そういった意識は、儒教文明圏から生ま
れた、共通の意識と考えてよい。



●アメリカ型西欧文明を受け入れた日本



 が、日本は、アメリカという国に、一度は、すべてを焼き払われてしまった。同時に、それまで
もっていた儒教文明圏の中でもっていた、帰属意識まで、焼き払われてしまった。そしてその
かわりに、いわゆるアメリカ型西欧文明を、移植されてしまった。



 日本人というよりは、日本は、つまり、全体として、敗戦と同時に、儒教文明圏から脱し、アメ
リカ型西欧文明圏へと、移動したことになる。



 このことを如実に例として示しているのが、イタリアを観光旅行する日本人たちである。数年
前だが、イタリアに住む友人(オーストラリア人)が、こんなメールをくれたことがある。



「日本人には、2種類ある。ひとつは、ガイドのもつ旗について、ゾロゾロと観光旅行する日本
人。年配者に多い。もうひとつは、個人、もしくは数人ずつのグループをつくり、自由気ままに
旅をする日本人。若い人たちに多い」と。



 こうしたちがいは、30年前、40年前には、さらに、きわだっていた。



 香港へ来る日本人たちは、みな、ガイドがもつ旗を先頭に、ゾロゾロと並んで旅行をしてい
た。しかし香港へ来るヨーロッパ人たちは、みな、それぞれが単独で行動をしていた。



 こうしたちがいを見ただけでも、戦後、日本は、大きく変わったと言える。そのちがいをすべて
文明のちがいによるものだと言い切るには、少し無理があるかもしれない。が、しかしつぎのよ
うな事実を知れば、みなさんも、私の意見に同意するだろうと思う。



●日本人は、半分は、欧米人?



 ためしにあなたの子どもにこう聞いてみるとよい。



 「あなたは、アジア人か、ヨーロッパ人か」と。



 すると、ほとんどの子どもは、こう答える。「アジア人ではない」「半分、ヨーロッパ人だ」と。事
実、自分をアジア人と思っている子どもは、まず、いない。「君の肌だって黄色いではないか」と
言うと、「ぼくの肌は黄色ではない。肌色だ」と答える(テレビのある討論番組より)。



 ここまで書いたところで、私がこの先、何を書きたいか、もうおわかりのことと思う。つまり日
本人は、アメリカ型西欧文明圏の世界にいる。一方、中国や韓国は、昔も、今も、儒教文明圏
の世界にいる。



 こうした文明の対立は、それぞれが離れているときは、起きない。たがいに接しているところ
で起きる。ドイツとロシアがそうである。そして日本と中国がそうである。日本と韓国がそうであ
る。



 しかし日本とヨーロッパ、日本とロシアの間では、起きない。たがいに離れているからである。
が、ヨーロッパは、スラブ文明圏との対立のほか、アフリカ文明圏、さらにはアラブ文明圏とも
対立している。が、インドを中心とする、インダス文明圏とは対立していない。たがいに離れて
いるからである。



 かなりおおざっぱな、かつ乱暴な説明に聞こえるかもしれないが、そのあたりまで踏みこまな
いと、現在の日中関係、日韓関係を、うまく説明することができない。



 もちろん、日本は、完全にアメリカ型西欧文明圏に属したわけではない。この日本の中にも、
まだ儒教文明圏の亡霊のようなものは、残っている。そしてそれが時おり、顔を出して、世間を
騒がす。



 最近では、日本の文化がもつ「形」や「情緒」こそが、日本の顔だと説く本が、大ベストセラー
になっている。これなどは、いわば、行き過ぎたアメリカ型西欧文明に対する、反作用とも理解
できる。



 一方、中国や韓国の内部にも、アメリカ型西欧文明を受け入れようとする動きがある。儒教
文明圏といっても、決して、儒教一色ではない。アメリカ型西欧主義を取り入れた日本も、儒教
文明圏にいる中国も韓国も、どこか、まだら。



 そういった現象はあるものの、しかし全体としてみると、日本は、アメリカ型西欧文化圏に属
し、中国や韓国は、儒教文明圏に属する。



 この文明のちがいが、対立となって、先鋭化している。それが中国や韓国の、反米、反日運
動の底流にある。



●アリの世界



 ……という私の話を、あなたは、とっぴもない意見だと思うだろう。しかしついでにこんな話も
しておきたい。



 10年ほど前だが、アリの研究では、日本で何本かの指に入るという研究者から、直接、こん
な話を聞いたことがある。



 アリというのは、穴の中に住み、地面をはっている、あのアリである。あのアリには、巨大な
縄張りがあって、それぞれの種族が、日本列島を、何分割かに分けているという。その最前線
では、熾烈(しれつ)な、国境闘争を繰りかえしているという。



 驚いて私が、都市部ではどうですかと聞くと、その研究者は、こう言った。山の中だろうが、町
の中だろうが、それは関係ありません、と。その最前線が、ときに都市部の中央部を横切るこ
ともあるという。



 どこでそういう知識と知恵が働くのだろう。いや、アリ自身は、無意識なまま、たがいに戦って
いるにちがいない。



●帰属意識



 では、こうした文明圏を理解するためには、どうしたらよいのか。それをさらにみなさんにも理
解してもらえるように、私は、人間のもつ相互帰属意識を、つぎの7つの段階に分けてみた。



 家族意識(先祖意識)

    ↓

 同郷意識

    ↓

 同国意識

    ↓

 民族意識

    ↓

 文明意識(無意識)

    ↓

 人間意識(無意識)

    ↓

 生命意識(無意識)



 5番目から下の、「文明意識」「人間意識」「生命意識」というのは、現在は、ほとんど無意識
下にあるとみてよい。相対的に、意識のレベルがあがったときはじめて、その姿を現す。



 たとえば少し話がSF的になるが、もし他の天体から、見るからに気味の悪い宇宙人が地球
を攻めてきたようなばあいを想定してみよう。その宇宙人は、人類を滅ぼし、地球を支配しよう
としている。



 恐らく人間は、民族や、国を忘れて、その宇宙人と戦うにちがいない。



 さらにもし、これまた別の天体から、機械じかけの宇宙人が、私たち生物を襲い始めたような
ばあいを想定してみよう。人間は、今度は、その気味の悪い宇宙人とも手を組んで、その機械
じかけの宇宙人と戦うにちがいない。



 つまり民族や、国を忘れて、宇宙人と戦う意識の底流にあるのが、6番目の、「人間意識」と
いうことになる。さらに気味の悪い宇宙人とも手を組んで戦うという意識の底流にあるのが、7
番目の、「生命意識」ということになる。



 では、文明意識は、どうかということになる。その例として、まずあげられるのが、十字軍であ
る。



 かつてヨーロッパのキリスト教徒たちは、ある時期、国や民族を忘れて、十字軍という名前の
軍隊を、イスラエルに向けて送った。名目上は、聖地奪回だったかもしれないが、それは同時
に文明と文明の対立であったとも考えられる。



 国が侵されたとき、その国の人たちは、国を守るために立ちあがる。

 民族も、そうだ。そして同じように、自分たちが属する文明圏に危機感をいだいたとき、その
文明に属する人たちは、立ちあがる。



 ここから先は、まさにSFの世界の話ということになるが、宇宙人が地球を攻めてきたような
ばあいには、地球人は、地球を守るために、立ちあがる。アメリカ映画にも、そんなような映画
があった。『インディペンデンス・デイ』という映画が、それである。



●終わりに……



 で、なぜ今、韓国で、反米、反日なのか? 中国の人たちは、どうして戦後の日本を受け入
れることができないのか。



 その答は、私は、文明のちがいにあると考える。またそう考えることによってのみ、彼らがも
つ、反米、反日感情を理解できる。彼らは、生理的な部分で、日本がもつ文明に対して、嫌悪
感を覚えている。そしてそれを、反米、反日感情へと結びつけている。



 なおアメリカの文明を、あえてアメリカ型西欧文明としたのは、いわゆるヨーロッパの西欧文
明とは、どこか異質なものであることによる。事実、ヨーロッパ人は、アメリカとは、常に一線を
引いている。



 ご存知の方も多いと思うが、総じてみれば、ヨーロッパ人は、アメリカを嫌っている。オースト
ラリア人にしても、そうだ。私が知るかぎり、アメリカが好きだというオーストラリア人は、1人も
いない。

(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 帰属
意識 儒教文明 アメリカ型西欧文明)



【注】この原稿は、私の考えが、まだ半熟の状態で書いたもの。この問題については、近く、さ
らに掘りさげて考えてみたいと考えている。



 なお「文明の衝突」論者として、よく知られた学者に、サミュエル・ハンティントン(1927~)が
いる。彼は、儒教文明にせよ、イスラム文明にせよ、西欧文明の優越性を認めておらず、その
ため、いつかこの2大文明が、西欧文明と大衝突をすると予測している。



 そうなってはいけないが、今、世界は、そのハンティントンが予測したとおりの道筋をたどって
いるというのは、不気味なことではないだろうか。つまり私の考えでは、その前哨戦が、今、日
本と中国、日本と韓国の間で、行われているということになる。

(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 文明
の衝突 儒教文明 西欧文明 イスラム文明)



【補足】



 日本も、「愛国心」とか、「国を愛する心」とか、そんな了見の狭いことを言っていないで、どう
だろう、このあたりで、愛文明心とか、愛人間心、さらには愛生命心とか、言ってみては?



 「愛地球心」でも、よい。しかしこれは愛知万博(05年)のテーマにもなっていたので、ここで
は考えない。(二番煎じは、いやですね!)