Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Monday, December 17, 2007

*Ground Level -3

●グランドレベル、マイナス3(スリー)(Ground Level -3)

When coping a child’s mental problem, we’d better think that he or she has another level of mind under the mind. I call this “Ground Level -2”. In most cases parents tend to think that their son or daughter is in the worst level, when he or she has a kind of mental problem. But there is another level under the level. I mean if parents mistake the way of coping, the child would go to the another level under the level, called “Ground Level -3”.

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子どもの「底」には、ふつう、もうひとつの「底」がある。
これを二番底という。
が、その二番底の下には、さらにもうひとつの「底」がある。
これを三番底という。
上から数えると、(ふつうの状態)を、「地面」とするなら、この三番底は、「グランドレベル、マイナス3(スリー)」ということになる。

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 ある母親から、こんな相談があった。

 昨年、その人の娘が大阪の大学に入学したのだが、いわゆる不登校状態だという。土日ごとに、三重県の実家に帰ってくる。退学を考えているが、父親がそれを許さない。

 「だから、どうしたらいいか?」と。

 こういうケースのばあい、つぎの4つのレベルを考える。

(グランド・ゼロ)・・・何も問題がなく、学校や大学へ通う状態。
(グランド・マイナス1)・・・学校や大学へ通うのが、一苦労といった感じ。
(グランド・マイナス2)・・・不登校状態になる。
(グランド・マイナス3)・・・精神的な問題をかかえる。

 ここで大切なことは、親から見ると、その子どもは、(グランド・マイナス1)の状態ということになる。しかしその子どもは、その子どもなりに努力している。がんばっている。だから実際のレベルは、(グランド・マイナス2)ということになる。

 ほんとうは(グランド・マイナス2)なのだが、表に出ている症状は、(グランド・マイナス1)というわけである。

 こういうケースのばあい、親は、(グランド・マイナス1)の状態を現在の状態、イコール、最悪の状態と考えやすい。またそこをベースとして、子どもの問題を考え、「何とかなる」「うちの子にかぎって、そんなはずはない」と考える。

 しかしこれでは、子どもの心をしっかりとつかめないばかりか、かえってさらに子どもを悪い状態に追い込んでしまう。病気にたとえるなら、肺炎の症状を風邪とまちがえるようなもの。診断名をまちがえたような状態になる。

 では、どうするか。

 こういうケースでは、親のほうが、一度、(グランド・マイナス3)のレベルまで、子どもに対する見方をさげる。そこをベースとして、子どもの心を考える。つまり子どもの心は、心の奥からみる。けっして表面的な様子にだまされてはいけない。

 そのあと母親とは、電話で、こんな会話をした。

私「娘さんは、がんばっていると思います。ほんとうはマイナス2の状態かもしれませんが、あなたに心配をかけたくないと、マイナス1のレベルで、がんばっていると考えてあげてください」
母「そうですね。でも、父親ががんこな人で、そんなのは、わがままだとか、怠け病だとか言います」
私「あとで、今日のことを原稿にしておきますから、それをご主人に見せなさい」
母「では、どうすればいいのですか?」

私「あきらめて、親のほうが引き下がるのです。お嬢さんが、大学を変えたいというのなら、それも一策です」
母「娘は、地元の専門学校に通いたいと言っています」
私「しかし本当は、そうでないのかもしれません。ほんとうは、その専門学校にも行きたくないのかもしれません」
母「無理をしているということですか?」
私「そう考えて対処したほうがいいでしょう。何もしたくないと言えば、お父さんにますます叱られますから」
母「そうですね」と。

 こうしたケースでは、そのレベルを「最悪」と考えて無理をすると、子どもはさらにその下の「底」へと落ちていく。これを私は「二番底」と呼んでいる。が、そこでとどまるわけではない。へたをすれば、さらに「三番底」「四番底」へと落ちていく。

 子どもの心の奥は深い。それを忘れてはいけない。

 なお、最近、ある本で、ある育児評論家が、「二番底」という言葉を使っているのを知った。これらの言葉は、私のオリジナルである。(株の世界には、「二番底」という言葉は、昔からあるが……。)そこでここでは、「グランド・レベル」という言葉を使うことにした。これも私のオリジナルである。