Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Wednesday, December 26, 2007

*Year of 2007 to 2008

●2007年から2008年へ

The year of 2007 has started with the care of my old mother. It might have been a hard job but as for me it wasn’t. It’s rather taught me something very important or essential to my life. Parents see their own past by raising up children but parents see their future by caring their old fathers and mothers. It widens the views of our sights of lives. This is the story about it.

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●介護

今年、1年間を総括してみる。

まず1月~6月までは、母の介護を通して、「人が老いるということは、どういうことか」、それを学んだ。

介護をするにあたって、いくつかのことを心に誓った。

まず、ワイフには、負担をかけないこと。とくに便の世話は、私がする。
つぎに、グチを言わない。運命は運命として、前向きに、受け入れていく。

で、母の介護は始まったが、あまりにも楽(?)で、かえって拍子抜けしてしまった。
ときどき便の始末は、ワイフにしてもらったが、グチについては、だれにも、一度も言わなかった。

親の介護をしている人で、よくグチをこぼす人がいる。

こぼすだけならまだしも、あちこちに電話をかけまくっている人がいる。
「時間が取られる」「お金がかかる」「部屋が臭くなった」と。

愚かで、浅はかな人だ。

で、私は「介護というのは、知恵比べ」と考えるようになった。
そのつどいろいろな問題が起きる。
これはしかたのないこと。

そこで知恵を使う。働かす。工夫する。
この世界には、無数の「先輩」がいる。
そういう人たちに相談するのも、よい。
ともかくも、孤立しないこと。
そうすると、おのずと、先に道が見えてくる。

もちろん大切なのは、(愛情)。
おむつを替えているとき、手や腕に、小便をかけられることがある。
ときに、顔のほうまで、ツユが飛んでくることもある。

しかし相手は、老人。
幼児以下の幼児。
そんなことを気にしていたら、介護など、できない。

が、いくつか事故が重なった。
そこでマネケアの人に相談すると、「添い寝するしかありませんね」とのこと。
そこで老人ホームへの入居申請のために、近くのホームへ足を運んだ。

この世界では、「1年待ち」「2年待ち」というのは、常識。
が、運がよいことに、即日、入居が決まった。
たまたまその日、退所する人がいた。
相談した相手が、所長だった。
母の介護度が、5に近い4だった。
それでそうなった。

迷いはあったが、介護の会で講師をしている義姉に相談すると、「チャンスを逃すと、1年先になるわよ」とのこと。
で、その日の遅く、入居を決定する。

介護が重労働だったということは、母が入居してから、知った。
母が入居したあと感じた、あの解放感は、忘れない。
心のどこかに大きな(うしろめたさ)を感じながらも、私たちは、その解放感を楽しんだ。
旅行にも行った。
それまでやめていた、映画も、見に行くようになった。

おかしな幻惑(=家族自我群による束縛感、重圧感)にとらわれて、「親を、そういうところへ入れるものではない」と考える人も多い。
老人ホームを、(おば捨て場)のように考えている人も多い。

私も、かつては、そういうふうに考えたときもあった。
しかしこれは誤解。

老人ホームを見てみるとわかるが、老い方は、人、さまざま、それぞれ。
時折、怒鳴り声をあげる人。
威張り散らす人。
いつも歌を歌っている人。

加えて、私の母のばあい、いくつかの事故が重なった。

母が自分で歩けるようにと、部屋中に、パイプを張り巡らせたのが悪かった。
ある夜気がついてみると、母は、ベッドとパイプの間に首をはさんで、もがいていた。
また、別の夜、これまた気がついてみると、床の上に、ペタリと座り込んでしまい、起きあがれなくなっていた。
寒い夜だった、などなど。

幸い発見するのが早かったから、よかった。
あと1、2時間も、発見が遅れていたら、母は、死んでいたかもしれない。

またそういうときほど、あの無線の呼び出しベルが役にたたない。
「どうしてベルを押さなかったのか」と聞いても、聞くだけ、むだ。
母には、そういう判断力すら、もうなかった。

しかし……。その姿は、10年後、20年後の、私自身の姿。
ワイフ自身の姿。
これには例外はない。
私も、そしてこの文章を読んでいるあなたも、確実にそうなる。

親は、子育てをしながら、自分の過去を見る。
親の介護をしながら、自分の未来を見る。

私は、言うなれば(過去)ばかり見て、生きてきた。
しかし介護をするようになって、(未来)を見ることを知った。

今も、基本的には、その介護はつづいている。
しかし介護をすることによって、自分がもつ(時の流れ)が、過去から未来へとつながったのを知る。

言うなれば、(負=マイナス)の世界を知ったということか。
子どもたちは、中学生になると、(負の数)を学ぶ。
同じように、人は、介護をするようになって、負の世界を知る。
とたん、数の世界が、2倍に広がる。
これは私にとって、すばらしい体験だった。

母の介護をするようになって、人生観そのものが、大きく影響を受けた。
悪いことばかりではない。
大切なことは、「運命は、前向きに受け入れていく」ということ。

運命は、それを恐れたとき、向こうからキバをむいて、私たちに襲いかかってくる。
しかし笑えば、向こうから、シッポを巻いて、逃げていく。

まあ、介護にかぎらず、2008年も、いろいろなことがあるだろう。
問題が起きたら、そのつど、それを乗り越えて生きていく。
それは(波)のようなもの。

よく人生を航海にたとえる人がいる。
波があるから、航海も楽しい。
人生も、楽しい。


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●生きがい

2007年を振り返ってみたとき、おかしなことに、何かをしてきたはずなのに、その(してきた)という実感が、あまりない。

が、これは記憶のメカニズムの欠陥によるもので、(私)のせいではない。

記憶というのは、そのつど、脳みそのどこかに入り込んでしまう。
どこに何があるか、わからなくなってしまう。

よくテレビなどで、「ゴミの家」が紹介される。
玄関先から、部屋の奥の奧まで、ゴミでいっぱいになった家である。

脳みその中の記憶も、それと同じに考えてよい。
脳みその中は、記憶の断片で、ゴチャゴチャ。
しかもなおタチの悪いことに、自分で整理することができない。
番号をつけて順番を変えたり、重要度に応じてマークをつけることもできない。

反対に、(意識としての脳みそ)は、自ら、いつも、自分の頭の中をカラッポにしておこうとする。
だから、「してきたという実感がない」というのは、当たり前と言えば、当たり前。
実感がないからといって、何もしてこなかったというわけではない。

……とまあ、そう言って、自分をなぐさめる。

ただ、私のばあい、毎朝、目が覚めると同時に、書斎へ飛び込む。
電灯をつけ、パソコンに電源を入れる。
書きたいこと、したいことが、そのとたん、どっと私を襲う。

それが毎日の、私の生きがいということになる。
その生きがいだけは、何とか、維持することができた。

で、今、ふと、こう考える。
もし現在の私から、インターネットを奪ったら、何が残るか、と。

マガジン、BLOG、HPなどを含めて、現在、1か月あたり、約10万件のアクセスがある。
HPにしても、500回目、1000回目というリピーターの人がいる。
10万件イコール、10万人ということでない。
それはわかっている。

しかし、これはものすごいことだと思う。

私は心のどこかで、その(数)を感じながら、生きている。
生かされている。

今、ここに書いている文章にしても、数万人の人たちの目にとまる。
そう思ったとたん、身が引き締まる。
緊張する。
この緊張感が、楽しい。

2007年を振り返ってみたとき、私は、その緊張感とともに、生きてきたような感じがする。

マガジンにしても、週3回の発行は、一度たりとも、欠かしたことがない。
毎回、原稿用紙にして、20枚以上を、守った。
だれに頼まれたわけでもない。
自分で、そう決めて、そうしてきた。

2008年も、このまま前に向かって進みたい。


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