Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Sunday, March 16, 2008

*Double Jeopardy

●一事不再理(Double Jeopardy)
Double jeopardy is the most important principle in its criminal prosecution laws. Otherwise law system itself would be collapsed. But how about the criminal act committed outside Japan, and by a Japanese? The victim was also a Japanese. Mr. MK was arrested in Japan for suspicion of murder in USA. He was innocent in the judgment in Japan.

産経新聞は、つぎのように伝える。

「アメリカ・ロサンゼルスで、1981年に起きた銃撃事件で、日本での無罪確定後にサイパンで逮捕された元会社社長、MK容疑者(60)のロサンゼルスでの弁護人、マーク・ゲラゴス氏は14日、逮捕は、『一事不再理』の原則を定めた米憲法修正第5条に反するとして、逮捕状の無効確認を求める申し立てをロス地裁に行った」と。

「一事不再理」というのは、それぞれの国内においては、もっとも重要な大原則のひとつ。
もしこの原則を崩してしまうと、法秩序そのものが、崩壊する。
それはわかる。

しかしこんな例で考えてみよう。これは極端なケースということになるが、
たとえば、どこかの国のバカが、この日本へやってきて、日本人を拉致したとする。
日本側の捜査の結果、その拉致実行犯たちが特定できたとする。
隣のK国なら、K国でもよい。拉致実行犯たちは、K国で生活していた。

そこでK国政府は、日本からの報告に基づき、その拉致実行犯たちを逮捕し、
裁判にかけたとする。(もちろん形だけの裁判だが……。)
が、結果は、無罪。

さて、ここからが問題。

その拉致実行犯たちが、のこのこと、この日本へやってきたら、どうなるか?
日本の警察は、どうするか?
当然、日本の警察は、拉致実行犯たちを逮捕するだろう。
逮捕したあと、当然、日本の刑法に従って裁判にかけようとするだろう。
が、そのとき、拉致実行犯たちは、こう叫ぶ。
「一事不再理だア!」と。

A国人が犯した犯罪は、世界のどこで犯したとしても、A国国内で処罰する。
これを属人主義という。
B国国内で起きた犯罪は、どこの国の人間であろうとも、B国国内で処罰する。
これを属地主義という。

K国は、属人主義なのか、属地主義なのかは知らない。

日本の刑法は、原則として、属地主義を採用している(刑法第1条第1項)。

「日本国内で犯された犯罪については、何人に対しても刑法の適用される」と。

だからK国の拉致実行犯たちが、のこのこと日本へやってくれば、
K国内での裁判結果はともかくも、日本の警察は、彼らを逮捕することになる。

問題は、日本人がアメリカで犯した犯罪である。
今回のMK事件が、それに当たる。

本来なら、この事件は、アメリカ国内で起きた事件だから、(同時に、
日本国内で起きた事件ではないのだから)、同じく属地主義をとるアメリカに
裁判権がある。当初から、アメリカ側に裁判を任せればよかった。

何も、被疑者であるMKという男を、本来なら、日本で裁く必要はなかった。

が、これについては、日本の法律は、属地主義を採用ながらも、重大犯については、
属人主義を採用するという、二段構えの考え方を採用している。
ほかに保護主義、あるいは世界主義という考え方をするときもある。

MK事件では、被害者も、日本人だった。
それで属人主義が、すんなりと(?)、通ってしまった。

たとえばあのMK事件で、被害者がアメリカ人であったら、どうであっただろう。
アメリカ側は、属地主義を前面に出して、MKという男をアメリカに引き渡すよう、
強く要求していたであろう。
当然、MKという男は、アメリカ国内で、裁判を受けた。

で、日本での裁判結果は、無罪。
かぎりなくクロに近いが、日本では、状況証拠には、原則として、
証拠能力はないということになっている。
さらに2人(以上?)いたであろう人物のうち、どちらが実行犯なのか、
特定できなかったこともある。
それで無罪になった。

さて問題は、カルフォルニア州へ護送されるMKという男は、一事不再理を理由に、
無罪放免になるかどうか、である。

(1) アメリカで起きた犯罪は、アメリカ側に裁判権がある。
(2) 外国で受けた裁判は、一事不再理に当たらない。

この2点だけをとれば、MKという男は、再度、アメリカで裁判を受けることについては、
何ら問題ないということになる。

が、ひとつ大きな問題がある。
恐らくこのあたりを、MK側の弁護士がついてくると思われるが、
ならば、なぜアメリカ側は、MKなる男を、アメリカ側に引き渡すよう
要求しなかったのかということになる。

(要求しなかった)ということは、(裁判権を放棄した)、あるいは、(MKという
男がしたであろう犯罪行為については、不問に処す)という意思表示をしたことに
なる。

そのあたりの書類がどうなっているか? つまりMKという男を日本側に引き渡す
ためにやりとりしたであろう書類が、どうなっているか?

今ごろMKという男の弁護士は、血眼(ちまなこ)になって、その書類を
探し回っているにちがいない。
仮に両国間でやりとりされたであろう、MKという男の引き渡しに関する約文が
一枚でも出てくれば、一事不再理の原則にのっとって、
MKという男が、無罪放免になる可能性は、きわめて高くなる。
日本側の最大の盲点は、この一点に集約される。

(日本側は、そうした書類を開示することはないと思われるが……。
しかし裁判の成り行きによっては、わからない。)

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