Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Monday, June 16, 2008

*Dull Movement of Children

●幼児の緩慢行動(Dull Movement of Children)

 心理的抑圧状態(欲求不満を含む)が、日常的につづくと、子どもはさまざまな、心身症による症状を示すことがある。が、その症状は、子どもによって、千差万別。定型がない。

 「どうもうちの子、おかしい?」と感じたら、その心身症を疑ってみる。

 その中のいくつかが、緩慢行動(動作)であったり、吃音(どもり)であったりする。神奈川県に住む、Uさん(母親)から、多分、緩慢行動ではないか(?)と思われる相談をもらった。

 ここでは、それについて、考えてみたい。

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【Uさんより、はやし浩司へ】

私には、4歳(年少)の娘、M子(姉)と、1歳8ヶ月の息子S夫(弟)がいます。
先日、娘の幼稚園の個人懇談がありました。

そこで、先生に言われたのが

「M子(姉)ちゃんはいつもマイペースで、マイペースすぎてもうちょっとスピードアップして欲しいんですけどね」でした。

「急がないと行けない時にもマイペースでね、今(年少)はあまりする事も少なくて、他の子と差は出てこないと思いますけど、これから先、年中、年長となるにつれてその差は広がっていきますからね」

「急がないといけない時に、急げるようなボタンがあればいいんですけどねー(笑)。そこを押せば、急いでくれるっていう風に・・・・(笑)」と冗談まじりではあったのですが、最後に夏休み中にお母さんから、M子ちゃんに急ぐって事を教えてあげておいてくださいと言われました。

「急ぐという事を教えるといわれても・・・・先生どうしたらいいんでしょう?」って聞いたのですが、イマイチよく分かる回答がなかったような気がします。

怒って「急いで!急いで!急いで!」とまくし立てるのも良くないと思いますし、言った所で出来るわけでもないですし。

普段、出来るだけ怒らないように大声をあげないように、出来たら大げさに誉めてあげて、を心がけているのですが今の私のやり方では、夏休みあけても同じだろうし・・・・どうしたらいいのだろう?、と考えこんでしまいます。

何がどうマイペースか具体的に言うと、給食の時間になって先生が、「後に給食の袋を取りにいって準備して下さい」って言っても、上の方を見てボーッと椅子に座っていることが時々あって、「M子ちゃん、準備よー急いでー!」って言っても、とりわけ急ぐ様子もなくゆっくりらしいです。

又、今メロディオンの練習をしているようなのですが、M子(姉)は指でドレミファソを弾く事は出来るみたいなのですが、ホースを口にあてて息を吹く事が分からなかったみたいで、一人だけ音が出なかったみたいです。

先生が側で、「M子ちゃん吹くんですよー」って言っても分からなくて、挙句の果てには、ホースに口をあててホースに向かって、ドレミファソを言いながら、けん盤を弾いていたようです。

先生も??、だったみたいで、「違うよM子ちゃん! 吹くのよ!!」って言うと今度は、何でそんなに先生は私に怒ってるの?、っていう反応だったようです。

あと、空想にふけっていたりするみたいです。

他にも日々の行動で色々あるようです。

M子(姉)は私に似ているのか、よく言えばおっとりで悪く言えば、どこかのろい所があって入園の際、私もそれが少し気にはなっていました。

のびのび保育の幼稚園を選べば、そんな事を考えなくて良かったのかもしれませんが、私的には、小学校でお勉強を始めるより、幼稚園で少しでも触れていれば気遅れなく、M子(姉)もやっていけるのではと考えたのですが、やはりその分要求される事も多いんですね・・・。

今は、本人は幼稚園が大好きでお歌の時間もプリントの時間も体操の時間も楽しいとは話しています。

楽しく通ってくれれば、私はそれで大満足なのですが年中、年長になった時、まわりの早さについて行けなくなって幼稚園が楽しくなくなったら、やはり園を変えた方がいいんでしょうか?

また、もっとスピードアップさせるにはどうしたらいいのでしょうか?

また、M子(姉)には、時々どもりがあります。ほとんど指摘しないように聞きながしているのですが、ちょっと気になっています。

はっきりとした原因は分かりませんが、下の子を出産する際引き裂かれるように、私と離れ離れになってしまって、10日間ほど離れて暮らしていたのが悪かったのかな?、と反省しています。

長々と下手な文章で好きな事を綴ってしまいましたが、アドバイス頂けますようお願い申し上げます。

これからもまぐまぐプレミアをずっと購読していこと思っています。毎日暑いですが、どうぞお体にお気をつけ下さい。


【はやし浩司より、Uさんへ】

 まぐまぐプレミアのご購読、ありがとうございます。感謝しています。

 ご相談の件ですが、最初に疑ってみるべきは、緩慢行動(動作)です。原因の多くは、親の過干渉、過関心です。子どもの側から見て、過負担。それが重なって、子どもは、気うつ症的な症状を見せるようになり、緩慢行動を引き起こします。

 ほかに日常的な欲求不満が、脳の活動に変調をきたすことがあります。私は、下の子どもが生まれたことによる、赤ちゃんがえり(欲求不満)の変形したものではないかと思っています。

 逆算すると、M子さんが、2歳4か月のときに、下のS夫君が生まれたことになります。年齢的には、赤ちゃんがえりが起きても、まったく、おかしくない時期です。とくに「下の子を出産する際引き裂かれるように、私と離れ離れになってしまって、10日間ほど離れて暮らしていたのが悪かったのかな?」と書いているところが気になります。

 たった数日で、別人のようにおかしくなってしまう子どもすらいます。たった一度、母親に強く叱られたことが原因で、自閉傾向(一人二役のひとり言)を示すようになってしまった子ども(2歳・女児)もいます。決して、安易に考えてはいけません。

 で、その緩慢行動ですが、4歳児でも、ときどき見られます。症状の軽重もありますが、10~20人に1人くらいには、その傾向がみられます。どこか動作がノロノロし、緊急な場面で、とっさの行動ができないのが、特徴です。

 こうした症状が見られたら、(1)まず家庭環境を猛省する、です。

 幸いなことに、Uさんの子育てには、問題はないように思います。そこで一般の赤ちゃんがえりの症状に準じて、濃密な愛情表現を、もう一度、M子さんにしてみてください。

 手つなぎ、抱っこ、添い寝、いっしょの入浴など。少し下のS夫君には、がまんしてもらいます。

 つぎに(2)こうした症状で重要なことは、「今の症状を、今以上に悪化させないことだけを考えながら、半年単位で様子をみる」です。

 あせってなおそう(?)とすればするほど、逆効果で、かえって深みにはまってしまいます。子どもの心というのは、そういうものです。

 とくに気をつけなければいけないのは、子どもに対する否定的育児姿勢が、子どもの自信をうばってしまうことです。何がなんだかわけがわからないまま、いつも、「遅い」「早く」と叱れていると、子どもは、自分の行動に自信がもてなくなってしまいます。

 自信喪失から、自己否定。さらには役割混乱を起こす子どももいます。そうなると、子どもの心はいつも緊張状態におかれ、情緒も、きわめて不安定になります。そのまま無気力になっていく子どももいます。

 「私はダメ人間だ」という、レッテルを、自ら張るようになってしまいます。もしそうなれば、それこそ、教育の大失敗というものです。

 そこで(3)子どもの自己意識が育つのを静かに見守りながら、前向きの暗示をかけていきます。

 「遅い」ではなく、「あら、あなた、この前より早くなったわね」「じょうずにできるようになったわね」と。最初は、ウソでよいですから、それだけを繰りかえします。

 「先生もほめていたよ」「お母さん、うれしいわよ」と言うのも、よいでしょう。

 ここでいう「自己意識」というのは、自分で自分を客観的にみつめ、自分の置かれた立場を、第三者の目で判断する意識というふうに考えてください。

 しかし4歳児では、無理です。こうした意識が育ってくるのは、小学2、3年生以後。ですから、それまでに、今以上に、症状をこじらせないことだけを考えてください。

 とても残念なことですが、幼稚園の先生は、せっかちですね。その子どものリズムに合わせて、子どもをみるという、保育者に一番大切な教育姿勢をもっていないような気がします。

 おまけに、「年長になったら……」と、親をおどしている? ある一定の理想的(?)な子ども像を頭の中に描き、それにあわせて子どもをつくるという、教育観をもっているようです。旧来型の保育者が、そういうものの考え方を、よくします。(今は、もうそういう時代ではないのですが……。)

 M子さんに、ほかに心身症による症状(「はやし浩司 神経症」で、グーグルで検索してみてください。ヒットするはずです。
あるいは、http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/page080.html)が出てくれば、この時期は、がまんしてその幼稚園にいる必要は、まったくありません。

 子どもの心に与える重大性を考えるなら、転園も、解決策の一つとして、考えてください。

 そして(4)「うちの子を守るのは、私しかいない」と、あなたが子どもの盾(たて)になります。先生から苦情があれば、「すみません」と一応は謙虚に出ながらも、子どもに向かっては、「あなたはよくがんばっているのよ」「すばらしい子なのよ」と言います。そういう形で子どもの心を守ります。

 まちがっても、そこらの保育者(失礼!)がもっている理想像(?)に合わせた子どもづくりを、してはいけません。

 子育てもいつか終わりになるときがやってきます。そういうとき、あなたの子育ての思い出を、光り輝かせるものは、「私は、子どもを守りきった」「私は、子どもを信じきった」という、親としての達成感です。

 今が、そのときです。その第一歩です。

 最後に(5)M子さんに合わせた、行動形態にすることです。「のろい」と感ずるなら、あなたも、もう一歩、自分の歩く早さを、のろくすればよいのです。どこかに子育てリズム論を書いておきましたので、また参考にしてください。

 とても幸いなことに、Uさんは、たいへん愛情豊かな方だと思います。それに自分の子育てを客観的にみつめておられる。とてもすばらしいことです。(プラス、私のマガジンを読んでいる!)

 子どもといっしょに、子どもの友として、子どもの横を歩いてみてください。楽しいですよ。セカセカと歩いていたときには気づかなかったものが、たくさん見えてきますよ。

 そうそう、最後に一言。

 こうした緩慢行動(動作)は、子どもの自己意識が育ってくると、自然に消えていくものです。子どもが自分で判断して、自分で行動をコントロールするようになるからです。どうか、安心してください。

 私の経験でも、乳幼児期の緩慢行動(動作)が、そのまま、小学5、6年生まで残ったというケースを知りません。小学3、4年生ごろには消えます。(ただしこじらせると、回復が遅れますが、そのときは、もっと別の、ある意味で深刻な、心身症、神経症による症状が出てきます。

 また親は「のろい」「のろい」と心配しますが、第三者から見ると、そうでないというケースも、たいへん多いです。これは親子のリズムがあっていないだけと考えます。)

 吃音(どもり)については、ここ1~3年は、症状が残るかもしれません。環境が大きく変わっても、クセとして定着することもあるからです。吃音については、あきらめて、濃密な愛情をそそいであげてください。これも時期がくれば、症状は消えます。

 どんな子どもでも、一つや二つ、三つや四つ、そうした問題をかかえています。全体としてみれば、マイナーな、何でもない問題です。

 あまり深刻にならず、ここは、おおらかに! なお先取り教育は、失敗しますので、注意してください。それについては、またマガジンのほうで取りあげてみます。

 なおこの原稿は、(いただいたメールの転載も含めて)、8月13日号で掲載する予定です。どうか転載のご承諾をお願いします。不都合な点があれば、書き改めます。至急、お知らせください。

 まぐまぐプレミアのご購読、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

                                  はやし浩司

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