*Where did the Emperor of Japan come from?
●天皇のルーツ
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現在、天皇のルーツについて、大きく分けて
つぎの3つの説がある。
(1) 朝鮮半島から渡ってきた騎馬民族説
(2) 邪馬台国、もしくはそれ以後、勢力をたくわえた豪族説
(3) 九州地方から近畿にやってきた豪族説
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これらの説について、それぞれの学者が、きわめて専門的な立場で議論しあっている。
私のような門外漢が入り込む余地は、どこにもない。
しかし今回話題となった箸墓古墳(はしはか・こふん)は、卑弥呼の
墓ではないかと言われている。
卑弥呼の没年とちょうど重なるからである。
が、この古墳もまた宮内庁管轄陵墓ということで、これ以上の調査はできない。
(そもそも、どうして箸墓古墳が、宮内庁によってそのように指定
されているか、その理由がわからない。
一説によると明治時代になってから、たいした根拠もないまま、一方的に
指定されたという。)
それはともかく、もし箸墓古墳が邪馬台国の卑弥呼のものであるとするなら、
天皇のルーツについて、上記(2)の説が、がぜん有力になってくる。
卑弥呼と天皇を直接結びつけることはできないにしても、その地域には
天皇誕生前後に、強大な国があったことになる。
(私は今まで、(1)の朝鮮半島から渡ってきた、騎馬民族説を支持してきた。)
で、先日、私は、福岡県の小さな島でみつかった、あの『金印』について書いた。
言い伝えによれば、一人の農民が溝の中の、岩の間から見つけたという。
(私は学生時代、だれかが砂浜で見つけたと習ったが……。)
もし箸墓古墳が卑弥呼の墓であるとするなら、卑弥呼に与えられたとする
金印が、福岡県で見つかるはずがない。
つまり「金印・贋作説」が、逆に、がぜん有力になってくる。
もっとも常識で考えても、金印だけが、(そこ)から見つかったというのも、
おかしな話ではないか。
その周辺を広く発掘してみたが、ほかに何も見つからなかったという。
また発見したという農民についても、「?」がつけられている。
どこのだれかが、定かではない。
さらに卑弥呼は、「印綬」を受け取ったという記録は残っているが、「金印」だったとは、
どこにも書いてない。
「印綬」というのは、「紐のついた印章」という意味である。
一説によると、金印は、発見された江戸時代当時、それを鑑定したとされる学者による
ねつ造と言われている。
今ではインターネットを使って簡単に調べられるから、興味のある人は、
そちらを見てみたらよい。
ということは、私たちは、子どものころ、ウソを教えられた可能性が高くなる。
……というような例は、最近にもあった。
藤木Sによる、石器捏造事件も、そのひとつである。
言い換えると、日本の考古学は、どこかおかしい。
一度耳障りのよい説が発表されると、みなが疑うこともなく、それに同調してしまう。
常識そのものが、どこかへ吹き飛んでしまう。
これは考古学者にとっても、(プラス、日本の歴史学者にとっても)、たいへん
悲しむべきことと言ってよい。
そこで話を戻す。
天皇家の墓であるなら、「陵墓」として保護するのはしかたないとしても、
天皇が生まれる以前の、たとえば箸墓古墳のような古墳は、発掘調査を許可しても
よいのではないか。
天皇のルーツについても、そこに謎を解く鍵があるのに、それには触ることもできず、
みながワイワイ、ガヤガヤと議論をつづけている。
邪馬台国については、さらに騒々しい。
しかしそれこそ時間の無駄。
労力の無駄。
この時代の、私たちがもっている英知そのものの、無駄。
あるいはこの先も、こうした不毛な議論を、延々とつづけるというのか。
そもそも宮内庁というのは、何なのか。
私にはさっぱりわからない。
さらに言えば、日本の歴史学者たちも、「日本史」という狭いワクの中だけに
閉じこもっていないで、「東洋史の中の日本」という視点で、日本の歴史を
ながめてみる必要がある。
「日本だけは特別」と考えたい気持ちはわからないでもないが、日本史も
東洋史の一部でしかない。
(付記)
「わからないならわからないで、そっとしておけばいい」とか、
「それがわかったところで、どうなのか」という意見もある。
しかしほかの分野では、みなが、(わからないこと)を、懸命にわかろうとしている。
その先に何があるかわからないかもしれないが、そこに(わからないこと)があれば、
果敢なく、それに挑戦していく。
それが(真理の探究)ではないのか。
そこに(わかるもの)があるのに、あえてそれには目を閉じ、ああでもない、
こうでもないと議論をつづける、そのおかしさに、みながもっと気がつくべきではないのか。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 Hiroshi Hayashi education essayist writer Japanese essayist 東洋史 日本史 天皇のルーツ 邪馬台国 卑弥呼)
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