*Life is short
●Art is long, life is short.
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「Art is long, life is short.」は、「芸術は長く、人生は
短い」と訳す。
これについて、Ronald Cliffordは、こう書いている。
一般的に「人生は短いが、芸術は長く(後世まで)残る」と解釈されているが、
それはまちがいである」と。
本当の意味は、「あまりにも学ばなければならないことが多すぎる。
しかしあまりにもそれを学ぶための時間は少ない」だ、そうだ。
もともとは、ギリシアの外科医である、ヒポクラテスが言った言葉という。
つまりここでいう「Art」というのは、美術のような芸術をさすのではなく、
「医療のための技術」ということだそうだ。
ヒポクラテスは、日々の医療活動の中で、「学ばなければならない技術は、
あまりにも多い。しかしそのための時間はあまりにも少ない」と嘆いた。
それがほかの言語に訳されるとき、やや語訳され、現在のような英文になった。
Chaucerは、つぎのように書いている。
「The life is short, the craft so long to learn.」と。
このばあいは、そのまま「学ばなければならない技術は多く、そのための
時間は短い」となる。
さらにSir John Davies も、つぎのように書いている。
「Skills come so slow, as life so fast doth fly,
We learn so little and forget so much.」
(人生はあまりにも早く過ぎ去り、技術が身につくのは、遅い。
私たちはほとんど学ばず、そんなにも多くのものを忘れる」と。
「Art is long, life is short.」も、それと同じ意味というわけである。
(以上、「English Proverbs explained」を参照。)
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「English Proverbs explained」は、20年ほど前、オーストラリアの友人が
送ってくれた本である。
それを今になって読み返している。
一行ごとに、まさに新発見の連続。
このことわざにしても、日本では、先に書いたように、「人生は短いが、
芸術として残したものは、死んだあとも、長く残る」と解釈されている。
私も、そう理解していた。
どこかでそのように解釈したエッセーを読んだこともある。
しかしそうではないということらしい。
「学ぶべきことはあまりにも多いが、人生は、短すぎる」と。
またこう解釈した方が、深みがある。
事実、そのとおり。
私にしても、残された時間は、あまりない。
歳をとるごとに、脳みその老化を強く感ずるようになった。
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