*Nuclear Weapons in North Korea
【北朝鮮の核兵器は、不問?】
●C・ヒル国務次官補の裏切り(The Betrayal Act of C. Hill, U.S. Vice-Secretary of State)
To U.S. Vice-Secretary of State, Mr. C. Hill, and U.S. Secretary of State C. Rice:
Please remember that the reason why Mr. C. Hill is called “Kim Jong-Hill” is because he is now regarded as a spokesman of Kim Jong Il of North Korea, about which the Japanese are very angry. What C. Hill has done is just to have betrayed the Japanese and has given the worst tyrant, “time”, “money” and “oil”. Mr. C. Hill is now a very good friend of Kim Jong Il, we are sure, not of ours.
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ブッシュ政権が、北朝鮮の融和政策(太陽政策)に
大きく舵を切ったとき、拉致問題は、そのまま霞(かすみ)の
かなたに消えてしまった。
が、ここにきて、C・ヒル国務次官補の裏切り行為が、
またひとつ明るみになった。
北朝鮮の朴外相らは、今年4月に北朝鮮を訪問したプリチャード元特使に、
こう語ったという。
「米国のヒル国務次官補と金外務次官による『シンガポール合意』では、
プルトニウムによる核開発について言及されているだけで、
シリアとの核開発協力や濃縮ウラン開発について、北朝鮮は、
まったく認めていない」と。
つまりヨンビョンの核開発関連施設の話しあいをしただけで、それ以上の話しあいは
しなかった、と。
もしこれが事実であるとするなら、C・ヒル国務次官補、C・ライス国務長官、
さらにブッシュ大統領は、日本のみならず、世界に向かって、二枚舌を使った
ことになる。
北朝鮮の言うことだから信用できないと考える人もいるかもしれない。
しかしその後の動きを見ると、そうとも言い切れない。
勢いづいた北朝鮮側は、こう言っている。
「核兵器を保有した状態を維持したままで米国との関係を正常化すれば、
核兵器の削減について話し合うことができる」と。
わかりやすく言えば、北朝鮮は、核保有国として残り、アメリカと国交を正常化したのち、
核兵器の削減について、話しあう、と。
こうした動きを裏づける、いくつかの証言がある。
聯合の記事を、2つ、紹介する。
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北朝鮮は、「核廃棄3段階」に該当するのは寧辺のプルトニウム核施設解体だけで、核物質と核兵器の国外移転は含まれないという立場を取っているとの見方が出された。クリントン政権とブッシュ政権初期に朝鮮半島平和担当特使を務めた、韓米経済研究所(KEI)のプリチャード所長が29日、ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)主催で行われた6カ国協議に関する討論会に出席し述べたもの。
プリチャード所長は、30日前に訪朝した際、ヒル国務次官補(東アジア担当)と協議中だった北朝鮮側一行が、このような立場を示してきたと説明した。北朝鮮は軽水炉提供問題が含まれない3段階では核物質や核兵器は廃棄対象に含まれず、ミサイル問題や人権問題も論議の対象ではないとの立場だったという。(ワシントン発、5月29日、聯合)
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「北朝鮮は核保有国として知られるイスラエルが米国と「友人」のような関係にあると指摘し、核兵器の保有が米朝関係正常化の妨げにはならないとの立場を示したと伝えられた。
韓米経済研究所(KEI)のプリチャード所長が4日にワシントン特派員らと会見し、平壌を4月下旬に訪問した際、北朝鮮高官がこのように述べ、核兵器も「少ししか保有していない」と主張したと紹介した。
プリチャード所長は、北朝鮮はいわゆる「核廃棄3段階」でも核兵器を保有する考えで、米国との完全な関係正常化の後でなければ核兵器は廃棄できないとの立場を示したと重ねて強調した。北朝鮮のこうした立場は、核兵器廃棄後に関係正常化を進めるとする米政府の考えとは正反対のものだと指摘した」(ワシントン発、6月4日、聯合)
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●とんでもない会議
わかりやすく言えば、こうだ。
北朝鮮は、最初から、核開発を放棄するつもりなど、なかった。
ないばかりか、核開発を放棄するジェスチャを見せながら、マカオのD銀行に凍結されていた資金を、アメリカに解除させた。
その一方で、核開発問題については、ああでもない、こうでもないと、理由にもならない理由を並べて、ノラリ、クラリ・・・。
結局、最終的に言い出したことは、
(1) ヨンビョンの核開発関連施設については、「爆破する」。
(2) 既存の核兵器については、不問。
(3) その他の核開発問題については、不問。
(4) シリアの核開発支援問題については、「終わったこと」として不問。
(5) 拉致問題については、無視。
さらにあろうことか、現在(08年5月)、北朝鮮は、アメリカに、核保有国として認めるように迫っている。
いわく「アメリカと、核保有国であるイスラエルは、仲がいいではないか。北朝鮮も、同じように、仲よくなれる」と。
前述、プリチャード元特使に語っているのが、それである。
これで、6か国協議は、振り出しにもどってしまった。
で、その間、アメリカが北朝鮮に与えたものは、(時間)と(マネー)、プラス、(原油)。
しかしこんなことは、最初から、わかっていた。
わかっていながら、アメリカのC・ヒル国務次官補は、まんまと北朝鮮の策略に乗せられてしまった。
その結果、C・ヒル国務次官補は、
(6)6か国協議を、実質、米朝の2か国協議にすりかえてしまった。
(7)拉致問題については、「核開発問題とは、切り離す」と言い出した。
(8)日本に、拉致問題を棚上げにした上、北朝鮮の援助に手を貸すようにと、迫った。
(9)あげくの果てには、既存の核兵器についても、将来の問題と、棚上げにしてしまった。
C・ヒル国務次官補は、同盟国、日本を裏切り、あたかも北朝鮮の代弁者のようになってしまった。
C・ヒル国務次官補が、「キム・ジョン・ヒル」(金正・ヒル)と揶揄(やゆ)されるようになった理由は、こんなところにもある。
順に考えてみよう。
(1) ヨンビョンの核開発関連施設は、すでにジャンク(ガラクタ)にすぎない。それを視察したアメリカの専門家自身が、そう言っている。
そんなものを、爆破したからといって、それがどうだというのか。
(2) と(3)については、アメリカはそれでよいとしても、日本としては、ぜったいに譲れない大問題である。
既存の核兵器については、不問だと!
アメリカはそれでよいとしても、日本にとっては、死活問題である。
こんな重要な問題を、米朝の2国間で、取り決めてもらっては、困る。
(4)については、その責任を問うこともなく、「終わったこと」とする神経が、私には、理解できない。北朝鮮は、6か国協議がなされている最中ですら、他方で、シリアの核開発に手を貸していたことになる。
が、何よりも日本として許せないのは、C・ヒル国務次官補が、(5)拉致問題を棚上げにしたまま、日本にも、北朝鮮を援助するよう迫ったこと。
C・ヒル国務次官補は、かねてより、繰りかえし、こう述べている。
「6か国協議は、北朝鮮の核開発問題を話しあう場所。拉致問題(日朝問題)は、別ワクでしてほしい」と。
日本人の私たちが怒っているのは、拉致問題もさることながら、その問題が起きて以来、北朝鮮が、さんざん、日本にウソをつき、日本をだましてきたこと。
横田Mさんのニセ遺骨問題に、その例をみるまでもない。
つまりそのあたりの(怒り)が、C・ヒル国務次官補には、まったく理解できていない。
で、今になって、C・ライス国務長官は、「北朝鮮は信用できない国」と言い出した。
おそらくC・ヒル国務次官補も同じ気持ちだろう。
しかし今、それを認めることは、自分の失敗というより、愚策を認めるようなもの。
C・ヒル国務次官補としては、最後の最後まで、「太陽政策」にしがみつくしかない。
「どうぞ、語勝手に!」と私は言いたいが、こうなることは、最初からわかっていただけに、C・ヒル国務次官補には、腹立たしい気持ちだけが残る。
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(参考資料)(1)
【ワシントン4日聯合】北朝鮮は核保有国として知られるイスラエルが米国と「友人」のような関係にあると指摘し、核兵器の保有が米朝関係正常化の妨げにはならないとの立場を示したと伝えられた。
韓米経済研究所(KEI)のプリチャード所長が4日にワシントン特派員らと会見し、平壌を4月下旬に訪問した際、北朝鮮高官がこのように述べ、核兵器も「少ししか保有していない」と主張したと紹介した。
プリチャード所長は、北朝鮮はいわゆる「核廃棄3段階」でも核兵器を保有する考えで、米国との完全な関係正常化の後でなければ核兵器は廃棄できないとの立場を示したと重ねて強調した。北朝鮮のこうした立場は、核兵器廃棄後に関係正常化を進めるとする米政府の考えとは正反対のものだと指摘した。
先月末に中国・北京で行われた米国のヒル国務次官補(東アジア担当)と北朝鮮の金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官との会合が、具体的な結論を出せないまま終了したことについては、北朝鮮はテロ支援国指定解除を先に行うよう米国に要求したのに対し、米国は核開発計画申告書の提出が先だと主張し、意見の隔たりを埋めることができなかったためとの見方を示した。
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(参考資料)(2)
【ワシントン29日聯合】北朝鮮は、「核廃棄3段階」に該当するのは寧辺のプルトニウム核施設解体だけで、核物質と核兵器の国外移転は含まれないという立場を取っているとの見方が出された。クリントン政権とブッシュ政権初期に朝鮮半島平和担当特使を務めた韓米経済研究所(KEI)のプリチャード所長が29日、ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)主催で行われた6カ国協議に関する討論会に出席し述べたもの。
プリチャード所長は、30日前に訪朝した際、ヒル国務次官補(東アジア担当)と協議中だった北朝鮮側一行がこのような立場を示してきたと説明した。北朝鮮は軽水炉提供問題が含まれない3段階では核物質や核兵器は廃棄対象に含まれず、ミサイル問題や人権問題も論議の対象ではないとの立場だったという。
米国はこれまで、核廃棄2段階の寧辺核施設の無能力化と核開発計画申告の段階を経て3段階に進めば、北朝鮮の廃燃料棒と核物質、核兵器の北朝鮮国外移転など核廃棄活動とともに、米朝・日朝間関係の正常化問題を話し合うことになるとしてきた。プリチャード所長の発言が北朝鮮側の公式の立場ならば米国の立場とは相当の開きがあるもので、核問題は3段階に進んでも難航が予想される。こうした主張が事実の場合、北朝鮮は核物質と核兵器の移転を軽水炉提供など他の見返りを得るためのカードとして使う考えと分析される。
一方、米国家情報長官局で北朝鮮情報分析の責任者を務めるジョゼフ・デトラニ氏はこの討論会で、北朝鮮の立場はプリチャード所長の見解と異なると反発している。デトラニ氏は、核廃棄3段階に入れば米朝関係正常化の話し合いが進められるとし、関係正常化には人権や拉致問題、ミサイル問題を避けては通れないと幾度となく北朝鮮側に示しており、これは2005年と2007年の共同声明にも明示されていると強調した。
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