Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Wednesday, October 15, 2008

My be-loved wife

10月14日
●愛する人へ

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人は、自分のためだけに生きるのではない。
自分のためだけに生きても、意味はない。
むなしいだけ。

人は、常に、だれかのために生きる。
もし喜びも、悲しみも、すべて自分のためだけの
ものだったら、人はそれから生まれる孤独に
耐えられないだろう。

何をしてもさみしく、何を考えてもつまらなく、
何を食べても、味気ない。

人は愛する人とともに行動したときのみ、
楽しさを覚え、愛する人が笑ったときだけ、
喜びを感ずる。
そこに(あなた)がいない生活は、乾いた砂漠の
ようなもの。
心は、カラカラと、音をたてて空回りする
だけ。

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●あなたへ

昨日、ぼくは家を飛び出した。
いつものように「あんなヤツとは、もう離婚だ!」と、息巻いた。
しかし30分も歩くと、その気持ちは薄らぎ、
さらに30分もすると、その気持ちは、完全に消えた。

とたん、(あなた)に会いたくなった。
しかし(あなた)はそこにいない。
ふつうなら、ぼくのことを心配して、追いかけてきてもよい。
あるいは携帯電話に電話してきてもよい。
しかし(あなた)は動かない。
電話もかけてこない。

怒りがムラムラとわいてくる。
まずます意地がわいてくる。
「家になんか、帰ってやるか」と。

ますます前に向かって歩く。
どこかのレストランで、食事をしようか。
映画館で、映画でも見ようか。
本屋で、片っ端から本を買おうか。
超最新型のパソコンを買ってやろうか。

いろいろ考えるが、どれもむなしい。
(あなた)のいない世界は、まるで灯が消えたよう。
その(あなた)は、今ごろ、せんべいでも食べて、
DVDでも見ているのだろうか。

こんな寒い夜に、ぼくは、ひとりでとぼとぼと
通りを歩いているというのに!

すると別の声が聞こえてくる。
「もう、帰ろう」と。
「家に帰って、あいつを無視してやろう」と。

しかしすぐ帰ったのでは、メンツが立たない。
(あなた)に、少しは心配をさせたい。
ぼくがいない、さみしさを味あわせてやりたい。
ぼくがつらい思いをしている分だけ、つらい思いをさせてやりたい。

しかし(あなた)は、ぼくより強い。
性格も安定している。
ぼくには、(あなた)に、勝ち目はない。
その悔しさ。
そのはがゆさ。

いつしか足は、家に、向かっている。
まっすぐ、家に向かっている。
そこには(あなた)のやさしい顔がある。
暖かい言葉がある。

庭から、勝手口へ。
(あなた)は、ソファに座って、下を向いている。
ぼくはだまって、書斎へ入る。
「今さら、ごめんと言いたくもない」。
そう思いながら、パソコンに電源を入れる。

「こんなとき、お茶でももってきてくれたら、どんなにかうれしいことか」と。
しかしその気配はない。
「チクショー」と思う。
だからますます、がんこになる。
がんこになって、二階の窓から、(あなた)のいるあたりに向かって、小便をする。

が、反応はない。

再びがんこになる。
と、そのとき居間から内線。
「ゆうごはん、食べるの?」と。
私は無視する。
何も答えないで、内戦を切る。
「だれが食べてやるかア!」と。

こういうとき私の中で、2人の(私)が葛藤する。
「意地を張ってないで、下へおりていって、食事をしろ」とつぶやく(私)。
「いくら腹がへっても、食べるな」とつぶやく(私)。
グラグラとその間で、(私)が迷う。

が、私は弱い。
しぶしぶと下へおりていく。
おりていって、台所の椅子に座る。
座って、そこにあるものを、口に入れる。

言葉を言えば、けんかになりそう。
だから黙っている。
黙って食事をする。

別の心は、こう言う。
「な、おいしいだろ。おいしかったら、おいしいと言え」と。
と、同時に、(あなた)はこう言う。

「いつまでも突っ張ってないで、すなおになりなさいよ」と

ぼくはそれに答えて、静かにうなずく。

「今夜、いっしょに、寝てくれるか?」
「いいわよ」と。