Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Saturday, May 14, 2011

●第一原発の放射性物質の量

【奥三河・湯谷温泉・「湯の風・HAZU」】

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昨日(13日)はいろいろあった。
いろいろあって、疲れた。
夜(9時ごろ)になって、突然、
温泉に入りたくなった。
ネットで温泉をさがす。

私は山の中の山育ち。
海の見えるホテルもよいが、川のせせらぎが
聞こえる、山の宿も好き。
・・・ということで、ここ、湯谷温泉へは
たびたび来る。

で、今日は、「湯の風・HAZU」に一泊。
土曜日の夜だから・・・とあきらめていたが、
「いい部屋が空いています」とのこと。

この湯谷温泉には、10軒近く、温泉が
並んでいる。
「湯の風・HAZU」は、その温泉通りとは、
川をはさんで反対側にある。
一軒宿である。
ワイフも驚いた。
私も驚いた。

和風の、造りは古いが、温泉宿としては、最高!
眼下に清流。
深い木々に囲まれ、5月の、どこか夏を
思わせる、さわやかな陽気。
部屋に一度入ったあと、ワイフと散歩。
歩いて数分のところに赤いつり橋があった。
そこを渡ると、そのままJR湯谷駅。

「いいところだね」と、ワイフは、
何度も言う。
もちろん私も異存なし!
そのつど、「いいところだね」と。

・・・ということで、湯谷温泉イチの旅館を発見。
ついでに露天風呂よし。
料理よし。
「湯の風、HAZU」。
名前もよい。

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●体重オーバー

 このところ考えることと言えば、原発事故のことばかり。
私のような「うつ族」は、ひとつのことにこだわると、そのことばかり。
それが頭にこびりついて、離れない。
週刊誌、雑誌・・・。
いろいろ買い込んでは、読む。
が、これは精神の健康にはよくない。

 そこで先週から、運動量をふやした。
体重がふえたこともある。
4、5日前、恐る恐る体重計に乗ると、3キロオーバーの、54・5キロ!
「太ったな」とは感じていたが、3キロは、きつい。

 サイクリング1単位(40分)+ウォーキング1単位(1時間)。
ほかにあれこれ。
おかげで今日は、体もすっきり。
腹のポタポタ感もなくなった。
 
●「これから起こる原発事故」(宝島社)

 週刊誌は「週刊現代」。
3・11台震災以来、もっとも「事実」に近いことを書いている。
その一方で腹立たしいのは、NHK。
御用学者を並び立て、大本営発表を繰り返す。
今にして思うと、ウソばかり。
そのためこの先、どれだけ多くの犠牲者が出ることか!
たとえば最初に原発が爆発したときも、そうだった。
「落ち着いて」「冷静に」と。
そのとき大量の放射性物質が、風に乗ってあたりを汚染していた。

で、今日は、この旅館へ来る前、「これから起こる原発事故」(宝島社)
を買った。
「2007年10月、第一刷発行」とある。
つまり4年前の本。

 が、一読して、驚いた。
「どうしてこんなことが4年前にわかっていながら、政府は何も手を
打たなかったのか!」と。
ズバリ、現在の状況を言い当てている。
そのまま!
だから、買った。

●100キロ単位で汚染

 原発事故の恐ろしさは、規模が大きいこと。
100キロ単位で、被害が広がる。

 そう言えば、昨日、小田原市(神奈川県)が、新茶の出荷を停止した。
それについて農家の人たちは、「(福島から)何百キロも離れているのに!」
(新聞報道)と驚いていた。
しかしこれはまったくの認識不足。
その程度ですむならなら、まだよいほう。

チェルノブリイ事故のときは、半径300キロ(15キューリー/平方キロ)から、
半径600キロ(5~15キューリー/平方キロ)まで、汚染されている。
600キロといえば、名古屋を中心とする中部圏内まですっぽりと入ってしまう。

 「キューリー」と聞いてもピンとこないかもしれない。
しかしつぎの事実を知ったら、あなたもまちがいなく震えるだろう。

『・・・急性障害死50%を引き起こす放射線量は、4シーベルト。
これは国際放射線防護委員会(ICRP)の認めた、「半数致死」に
相当する。
ちなみに、2・2シーベルトで、5%が急性障害死、9・3シーベルトで、
99%が急性障害死する』(ゴフマン博士、同書、P24)という。
わかりやすく言えば、10シーベルトが限界。
10シーベルトの放射線を浴びたら、人間は、その場で即死。
かろうじて生きても、「そのままひからびて」(本書)死ぬ。

 では、福島第一原発では、どの程度の放射線が観測されているか。
それは、つぎのニュースを読めばわかる。
そのまま転載する。

+++++++++以下、yahoo・news+++++++++++

 経済産業省原子力安全・保安院は14日、東京電力福島第1原発1号機の原子炉建屋内を13
日午後にロボットで調べたところ、最大で毎時2000ミリシーベルトの線量が観測されたと発表した
(5月14日)。

+++++++++以上、yahoo・news+++++++++++

 ゴフマン博士によれば、2・2シーベルトで、約5%の人が、急性障害死するという。
が、1号機では、13日、2000ミリシーベルトが観測されたという。
2000ミリシーベルト=2シーベルト!

 さらに、ゴフマン博士は、晩発性のガン死について、「1万人・シーベルト」という
推計値を提起している。
これは「1万人の人が、1シーベルトの放射線を浴びたばあい、何人がガン死するか」を
推定したもの。
その計算によれば、つまりゴフマン説によれば、やがて1万人中、4000人がガン死
するという。
2シーベルトといえば、その2倍。

 福島第一原発のばあい、最初の爆発とともに、桁はずれの放射性物質が飛び散ったと
推定される。
その量は、その爆発だけでチェルノブイリの爆発時の、約半分程度と言われている。

●MOX燃料

 5月14日現在、1号機が、「最悪の状態」(官房長官)にあるという。
が、それよりもこわいのが、実は、3号機。
3号機では、MOX燃料、つまりウランとプルトニウムの混合酸化物
燃料を使っている。

 プルトニウム・・・放射線そのものは、それほどないが、プルトニウムは、
1ミクロン単位の微粉末となって、空中に散る。
空中に散った放射性プルトニウムは、呼吸によって体内に取り込まれる。
内部被爆を引き起こす。
それがこわい。

 横尾試算(京都大学原子炉実験所)によれば、たった7キログラムの
MOX燃料が火災にあっただけで、風下600メートルで、プルトニウム
による短期の被ばく線量は、4・3シーベルト。
それだけで約半数の人が、そのまま急性死するという。
(風力、火災時間などのこまかい条件は、省略する。)

 「1シーベルト」という放射線量が、いかに恐ろしいものであるか、
これでわかってもらえたと思う。

●広島型原子爆弾x4万7000発

 原子炉の中には、いったいどれだけの放射性物質があるのか。
それについても、同書は、くわしく解説している。
ほとんどの人は、たとえば広島型原爆と比較して、原子力発電所のそれは、
それほどたいしたことはないと考えている。

 しかしこれは誤解!
同書には、こうある。

「100万キロワットの原発が、1年間稼動した場合に燃えるウランの
量は、広島型原発のそれの1000発分ある。
2年稼動した場合には、2000発分、3年では原爆3000発分。
事故が起きれば、それだけの放射能が環境中に漏れ出ることになる」(P32)と。

 福島第一原発の発電能力は、計4696KW(川北英隆)だそうだ。
つまり4696x1000=約470万キロワット。
1年間稼動しただけで、広島型原発の4700発分。
10年で、4万7000発分。
福島第一原発は、稼動し始めてから、すでに40年が経過している。
 
 が、政府はさかんに、「風評被害」という言葉を使う。
つまり「政府の言うこと以外は、信用するな」と。

 しかし実際はその逆。
風評のほうが、はるかに現実に近い。
近いばかりか、現実のほうが、はるかに深刻。
私たちが「予断」しているより、はるかに深刻。

声を張り上げ、「募金活動」なるものをしている子どもたちには悪いが、
今、日本が直面している問題は、そんな程度の問題ではない。
募金活動で、どうこうなるような問題ではない。
「明日は、わが身」。
明日は私たちが、この浜松から逃げなければならない。
このあと事故処理に何年かかるか知らないが、長引けば長引くほど、
被害は拡大する。

●1時間当たり、0・04ミリシーベルト

 毎日のように、日本各地の放射線量が新聞に載っている。
この静岡県では、平均して、約0・04~0・05ミリシーベルト。
1時間あたりの放射線量である。
そしてそれと同時に、「過去最大平常値」というわけのわからない
数値が併記してある。
私たちはそれを見て、「ああ、平常値以下なのか」と、へんに安心する。
が、「過去最大平常値」とは何か。
それはさておき、0・045ミリシーベルトにしても、それを24倍し、
さらに365倍すると、1年間の被爆量ということになる。

 0・045x24x365=400ミリシーベルト。

 ところで最初に書いたように、チェルノブイリでは、1平方キロメートル
あたり、40キューリーもの放射線が観測されたという。
その値をベクレルに換算すると、1キューリー=370億ベクレル。
たいへんな放射線量のように思うかもしれないが、この値を、
1000x1000=100万で割ると、1平方メートルあたりの放射線量
が計算できる。

 それによれば、370億÷100万=3万7000ベクレル。
すごい量に思うかもしれないが、食品衛生法で決められている暫定規制値は、
1キログラムあたり、500ベクレル。
すでに福島県のアユなどからは、1キログラムあたり、720ベクレル(いわき市)の
放射線が観測されている。
アユ100キログラムで、7万2000ベクレル!

 つまりこの程度の放射線なら、福島第一原発の周辺では、日常的に観測されている。

・・・と、とんでもない数字ばかり並ぶが、結論は、ただひとつ。
日本は、現在、きわめて深刻な状況にあるということ。
今のような状況がつづけば、数か月以内には、東京都ですら、高汚染地域に
なってしまう。
放射性物質の恐ろしいところは、日々にそれが積算されること。
チェルノブイリでも、事故後3年後には、高汚染地域は、300キロに拡大
している(同書)。

 いうまでもなく、福島第一原発は、世界でも最大級の原子炉。
チェルノブリイで爆発した4号機も、出力100万キロワット。
福島第一原発には同規模の原子炉が4機もある。
それだけでもチェルノブイリの約4~5倍ということになる。

●では、どうするか

 どこかのニュースサイトに、こんな言葉があった。
「(1号機は)、もう打つ手なし」と。
先にも書いたように、1~10シーベルトの放射線が観測されたと
するなら、人間は、その場で「急死」。
「穴を塞げばそれでいい」という問題ではない。
穴そのものを塞ぐ方法がない。
そこでコンクリート詰めということになるが、3000度もある核燃料は
コンクリートすらも、溶かしてしまう。

 (さらに今夜になって、2号機、3号機も同じようにメルトダウンしていると
いうことがわかった。5月14日。)

●気休めはもうやめよう

 政府にも、原子力保安院にも、東京電力にも、がんばってもらうしかない。
・・・というか、現場で作業している作業員のみなさんには、本当に頭がさがる。
そうした人たちの努力のおかげで、今の今も、私たちは何とかこうして無事でいられる。
希望を捨てたわけではない。
しかし同時に、私たちは、さらに最悪のばあいに備えて、準備をしておかなければ
ならない。
心の準備と行動的な準備。
具体的には、日本経済の崩壊と国外脱出。
そうなったとき、私たちは自分をどう支えたらよいのか。
気休めは、もうよい。
ウソとゴマカシは、もうたくさん。

 「今」を原点として、前向きに生きていくしかない。
たまたま昨日、事故現場で、1人の作業員の方が急死した。
放射性物質が原因だったとは、まだ断定されたわけではない。
緊張感とストレス。
それが急死の原因とも考えられる。

 その作業員の方の死を受けて、菅総理は、つぎのように述べている。

「本当に気の毒に思っている。原因が放射能被害かどうか、しっかりと確かめてもらいたい」と。

 首相官邸で記者団の質問に対して、そう答えた(ヤフー・ニュース)と(注※)。

(注※)15日になって、この作業員は、心筋梗塞で死亡と発表された。

●川

 旅館の下を、川が流れている。
先ほど窓の外を見たワイフが、こう言った。
「わっ、きれい。川がライトアップされている!」と。

 その声につられて私も外を見た。

 美しかった。
幻想的だった。
いろいろなライトアップを見てきたが、ここは格別。
川のライトアップは、はじめて。
しばし見とれる。

 これから露天風呂に入ってくる。

 ・・・それにしても、私はその本(「これから起こる原発事故」(宝島社))を読んで、
驚いた。
心底驚いた。
4年前に、すでにこういう本が出版され、今回の事故をそのままズバリ、言い当てて
いる。
東京電力の「再循環冷却型原子炉」の危険性についても、言及している。
しかも今回と同じような事故が、1989年1月に、福島第二原発で、起きていることが
わかった。
「この事故では、再循環ポンプが破損し、炉心に大量の金属片が流入し、炉心を傷つける
という事態に立ち至ったのである」(同書、P60)と。

にもかかわらず、起こりうる地震や津波を、「想定外」とし、何ら対策をとらなかった。
さらに職員たちの士気の低さについても言及している。
「言われたことはする。しかしそれ以上はしない」と。
役人根性丸出しというか、平たく言えば、そういうこと。

 権限と情報にしがみつき、管轄外のことは何もしない。
何か問題が起きると、すかさず責任逃れ。
給料(収入)や権限が侵害されると、ワーワーと騒ぐ……。

 ・・・原子力発電所。
そこにあるのは、冷徹なマネーの論理だけ。
金儲け優先の原子力政策(「週刊現代」)。
その結果として、今回の事故につながった。

 そこに私は人間が原罪的にもつ愚かさを感じた。

(はやし浩司 2011-05-14記)

(補記)

 私の近辺にも、国外脱出を試み家族がふえてきた。
祖父母が外国人のばあい、その祖父母のいる外国へ避難していった人も多い。
政府は、「年間20ミリシーベルト」という基準をもちだし、「子どもについて
は、10ミリシーベルト」とまで言い出した。
が、すかさずアメリカの学者が、それに対して異議を唱えた(注※2)。
「放射線障害に、しきい値は存在しない」(5月14日)と。

 少量であればあるほど、(かえって少量のほうがこわいという説もある)、より
晩発性になるだけ。
10年後、20年後に、症状が現れてくる。
20年後でなければ、30年後に症状が現れてくる。
チェルノブイリのときは、遠く離れたスェーデンでがん死亡者が、その後、急増した。

 だからあえてこう言う。
「機会とツテがあるなら、福島の子どもたちよ、今すぐ、福島から脱出せよ」と。

 ……ア~ア、またまた福島第一原発の、事故のことを書いてしまった。
ゴメン!

(注※2)「日本経済新聞WEB版」より(5月15日)

 福島第1原発事故で政府が、福島県内の小中学校などの屋外活動制限の可否に関する放射線
量の基準を、年間20ミリシーベルトを目安として設定したことに対し、米国の民間組織「社会的責
任のための医師の会(PSR、本部ワシントン)」が2日までに、「子供の発がんリスクを高めるもの
で、このレベルの被曝(ひばく)を安全とみなすことはできない」との声明を発表した。

 PSRは1985年にノーベル平和賞を受賞した「核戦争防止国際医師の会」の米国内組織。

 声明は、米科学アカデミーの研究報告書を基に「放射線に安全なレベルはなく、子供や胎児は
さらに影響を受けやすい」と指摘。「年間20ミリシーベルトは、子供の発がんリスクを200人に1人
増加させ、このレベルでの被曝が2年間続く場合、子供へのリスクは100人に1人となる」として
「子供への放射線許容量を年間20ミリシーベルトに引き上げたのは不当なことだ」と批判した。

2011/05/15記


Hiroshi Hayashi++++++May 2011++++++はやし浩司(林浩司)