Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Tuesday, January 22, 2008

*A pre-schoo; young boy refuses to go to Kindargarten

●掲示板の投稿相談より

(As to School refusal of pre-school children)
++++++++++++++

保育園へ行きたがらない……。
そんなとき、親は、どう構えた
らよいのか?

++++++++++++++

こんにちは。いつもマガジンを読んでいます。
3歳9ヶ月の長男について相談させてください。
1歳6ヶ月の弟と二人兄弟で、父親とは生まれた時から別居中、私の両親、妹と同居しています。

今年の4月に年少組に入園しました。クラスは17人(男8人女9人)です。

同じクラスにいるA君がかなりやんちゃというか乱暴な子で、ことばもきつく、叩いたり、つねったりということもよくあるようです。

特に私の長男にだけ、ということではないようですが、本人は「A君はどうしてすぐに怒るんだろう」などと言って、保育園に行きたがりません。

少人数なので、他の子と遊んでいればいいという問題でもないような気がします。
いっそ、転園をしたほうがいいのだろうかとも思います。それとも行きたくない間は、家で私が一緒に過ごしていればいいのでしょうか?

今日も、朝、「お母さんがいい」といって園の入り口で泣いてしまったのですが、先生に抱っこされて無理やり連れて行かれてしまいました。

そういう姿を見るのも本当に辛いです。なぜ、そんな風にしてまで保育園に行かせるのだろう、と。

なかなか朝、出発しようとしない長男をみて、私の両親は、「甘やかしてる」と思っているようです。

でも、本人が「行こう」と思えないのに無理に連れて行くのは、どうしてもかわいそうでできません。

もうすぐ夏休みの希望保育がはじまるので、8月は半分以上お休みです。そういう話をしながら、「今日は行ってこようか」と気持ちを奮い立たせているような毎日です。

できるだけ、彼が不安定にならないように、スキンシップも心がけているつもりですが、足りていないのかもしれません。

私の気持ちが不安定なことが、悪い影響を与えているかもしれません。

正直なところ、どうしていいのか分りません。

保育園など、行かなくてもいいという気持ちがあるのですが、
やはり同年代の子ども達と遊んだり、ケンカしたりすることも大切なことだと思うのですが。
(和歌山県T市 AEより)

++++++++++++++++++++++++++はやし浩司

●子どもの心の問題は、消去法で……

 「保育園(幼稚園)へ行きたがらない……」という子どもをみるときは、まず、(1)理由が、はっきりしているばあい。(2)理由が、はっきりしていないばあいに分けて、考えます。

 つぎに、同時に、もっとも心配なケースから、消去法で、一つずつ削りながら、子どもの心をさぐっていきます。これは病院のドクターが、その人の病気を診断する手法と似ています。つまり一番、心配なケースから順に、「これでなければ、これ」「これでなければこれ」……と、考えていきます。

 AEさんのケースでは、いろいろな理由が考えられます。心配な(1)ノケースから、順に並べてみると、つぎのようになります。

(1)不登校に準じた、恐怖症
(2)対人(集団)恐怖症
(3)怠学に準じた、不登園
(4)神経症
(5)母子分離不安
(6)軽い情緒不安
(7)怠け
(8)わがまま

 AEさんが疑問にもっておられるように、「毎日、行かせなければならない」と考えるほうが、おかしいのです。同感です。オーストラリアなどでは、子どもが少しずつ集団生活に慣れるように、たとえば、月水金だけ、あるいか火木土だけ通うというように、週3日制の幼稚園も珍しくありません。

 どうして日本だけ、いきなり、週5日も行かねばならないのでしょうか? 最初は、週1日だけ。2年目からは、週3日だけ。3年目からは、週5日……という方法も、とられてもよいのではないでしょうか。

 また、よく子どもが幼稚園などを休むと、先生から電話がかかってきて、「後(おく)ますから……」と言われますね。いやな言葉です。本当に、いやな言葉です。

 で、AEさんのばあいは、(1)~(8)から順に様子を判断していきます。(1)~(4)の状態ですと、ほかにも、心身症(神経症)による症状が、出ているはずです。夜尿、腹痛、潔癖症などなど。もしそういう症状も見られるなら、心の安静を大切にしてください。(私のHPのあちこちに書いてありますので、参考にしてください。)

 こういうケースでは、「A君がいやだ……」というのは、口実(ターゲット)にすぎませんから、あまりその言葉に振り回されないように! A君を排除すると、今度は、B君になります。

 私は、AEさんの家庭の状況から考えて、下の子どもが生まれたことが引き金となって、赤ちゃんがえりから情緒が不安定になり、そのあと、(5)の母子分離不安が起きたのではないかと疑います。(母親から離れてしまい、そのあと、何ごともなく過ごすようであれば、母子分離不安と考えてよいのではないでしょうか。)もしそうであれば、言うまでもなく、スキンシップを濃厚にして、安定的な愛情を大切にします。

 対処のし方としては、『求めてきたときが与え時』と考えて、「ママ~」と甘えてきたら、すかさず、抱いてあげるとか、ぐいと手をつないであげるとかしてあげます。すかさずするのが、コツです。「待っていてね」とか、「今は、ダメ」式の応じ方をしてはいけません。

 転園を考える前に、まず、「適当に行く」ということを考えてください。週3日行けば、上(じょう)できと考えるようにします。残りの日は、いっしょにハイキングでもして、すごします。無理をしないこと。(私なら、そうします。また実際、そうしました。)

 保育園へ行かなくてもよい状態かもしれませんが、しかし母子だけで親子のパイプを作ってしまうのも、好ましくありません。母子関係を調整する人がいればいいですが、そうでないと、濃密になりすぎてしまいます。

 母親側としては、それでよいかもしれませんが、子どものほうに、いろいろと問題が起きてきます。幸いにも、ご両親と同居ということですから、そのあたりの調整をうまくしてください。

 年齢的にも微妙なときですから、無理をせず、様子を見られてはどうでしょうか。もうすぐ夏休みですし、これから半年くらいの間に、子どもも、どんどんと変わっていきます。とくに4・5歳~からは、いよいよ少年期への移行期に入ります。

 今のうちに、よく使い、よく手伝いをさせ、社会性を身につけさせてあげてください。5歳をすぎると、それができなくなります。今は、(しつけ)の適齢期とみてください。

 いつも、励ましのメール、ありがとうございます。AEさんの相談には、いつも最優先で、返事を書きます。(これは恩着せ!+お礼!)

【追記】

 A君のことは、まず、先生に相談してみてください。先生との連絡を密にすることが、重要です。

 あとは、子ども自身の解決法に任せます。これから先、この種の問題は、モグラたたきのモグラのように起きてきます。

 大切なことは、問題そのものよりも、問題を解決するための、プロセスを子どもの中に作っておくことです。技法といってもよいかもしれません。

 親としてはつらいところですが、がまん、がまん。そして先生に、相談、です。AEさんと、お子さんの会話は、すばらしいです。今のやり方を支持します。

 A君を叱るのではなく、何か、A君の好きそうなものを、お子さんにもたせ、A君に与えてみてはどうでしょうか。あるいは、家へ招待してあげるとか。A君には、悪いことをしているという意識はありません。ですからA君を責めても、この時期、意味はありません。

 押してだめなら、引いてみます。これは幼児指導の鉄則の一つです。