Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Thursday, February 14, 2008

* A friend of mine who has passed away.

●友、逝(ゆ)く

昨夜遅く、30年来の友が、急逝(きゅうせい)した。
その連絡が、友の妻から、今朝、入った。
「突然でした・・・」と、妻は言った。
「ぼくも覚悟していましたが・・・」と言ったきり、言葉がつづかなかった。

10年ほど前、脳梗塞で倒れ、それ以来は、ずっとリハビリをつづけていた。
つい先週、施設から病院へ移ったという。
そんな連絡を受けたばかりだった。

その友との思い出が、走馬灯のように、頭の中を横切る。

手紙を出すたびに、かならず返事をくれた。
脳梗塞をしてからというもの、文字は乱れ、傾いたままだった。
読みづらい文字だった。

で、たまたま遊びに行ったときのこと。
偶然、道端で、その友に会った。
「どこへ行くの?」と声をかけると、「ちょうど、あなたのところに手紙を出すところです」と。

私は、友の体を支えて、ポストまでいっしょに歩いた。
「ここで手紙を渡してもいいのですが、切手を張ってしまいましたから」「ポストへ入れます」と。
私と友は、大声で笑った。

今夜は、通夜。
葬儀は明日。

ポーランドのボランスキー博士という人物に傾注し、その学者の本を何冊も翻訳している。
ポーランドで、厚生大臣を務めたこともあると聞いている。
私はそのボランスキー博士に2度ほど、会ったことがある。
その友が紹介してくれた。

・・・などなど。こうして私のまわりから、また大切な人が、1人、消えた。

今は、さみしいというより、まだその事実を受け入れられないでいる。

おかしなことに、ほんとうに、おかしなことに、目の前の時計だけは、相変わらず、カチカチと音をたてて回っている。空は青く、空気は澄んでいる。

こういう現実を、どう理解したらよいのか。

2008年2月11日


はやし浩司++++++++++++++++++++++Hiroshi Hayashi

●逝った人

逝(い)った人は、静かだ。
ほんとうに静かだ。
まるで何ごともなかったかのように、この世を去っていく。
そして時だけは、何ごともなかったかのように、過ぎていく。

だれのことでもない。
それは私のこと。
あなたのこと。

いつか私やあなたも、この世界を去る。
しかしこの世界は、何も変わらない。
そしてそのときから、時だけは、何ごともなかったかのように、過ぎていく。

その不思議さ。
その深淵さ。

逝った人は、ほんとうに静かだ。


はやし浩司++++++++++++++++++++++Hiroshi Hayashi

●グレグ・ケッツ

実は、もう一人、昔の友が逝った。

オーストラリアの別の友人から、連絡が入った。
名前を、グレグ・ケッツという。
マッド・レンガ(泥レンガ)の研究者で、
その世界では、よく知られた人物である。
何冊か、本も書きのこしている。

「ケッツ」というのは、聞きなれない名前だが、
お父さんが、中国人だったからだそうだ。

「2年前に死んだ」と、その友人は言った。

「若すぎるのに(So young?)」と言うと、
「そうだ(Yes)」と。

グレグの思い出というより、グレグのガールフレンドのほうが
印象に強く、残っている。

かなりはげしい気性の女性で、何か気に食わないことがあると、
ギャーギャーと騒いだ。怒ったり、泣きわめいたりした。

そんなガールフレンドをグレグはもてあましていたが、
別れることもしなかった。

そのあとその女性と結婚したかどうかは、知らない。

グレグの話をしながら、頭の中ではあのガールフレンドの
ことを思い浮かべていた。


はやし浩司++++++++++++++++++++++Hiroshi Hayashi

●生きている人

いくつか悲しみが重なった。
そんな思いで、子どもたちに会うと、
子どもたちは、いつもの子どもたち。

明るく、屈託がない。
ワイワイと、いつものように騒いでいる。
そこはまったくの別世界。
生きる力が、満ちあふれている。

その落差。
信じられないほどの落差。
その落差は、どうすれば、心の中で
埋めることができるのか。

「この子たちも、いつかは死ぬのか?」と
思ったところで、思考が止まってしまった。

こちらはこちらの世界。
あちらはあちらの世界。

そう割り切ることの、残酷さ。
ニヒリズム。

死んでいく人は、ほんとうに静かだ。