Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Tuesday, April 22, 2008

*Monthly Salary of Workers in North Korea *Nation-wide Test of School Children's Ability of Lerning

【ニュースを読む】(K国の労働者の月給、学力調査)

●K国の労働者の月給(Monthly Salary of workers in North Korea)

+++++++++++++++++

ニュースを読む。
が、おもしろいことに気づいた。

同じようなニュースなのだが、
日によって、読みたい内容が変化する。

これは私だけの現象なのか。

それとも、みなに共通した現象なのか。

また内容についても、ときに、部分的な
ことが気になることがある。

たとえば今朝(4月23日)の毎日新聞は、
K国の窮状ぶりを伝えている。

何でも「大卒医師や教員が生活苦を理由に
退職して、商売に励んでいる」(毎日新聞)という
ことらしい。

が、その中の一文が気になった。
こうある。

「K国では、経済改革により価格統制を緩和した結果、
物価は急上昇し、1キロ0.08ウォン
(1ウォンは実質推定0.038円)だったコメは、
1200ウォンにも高騰。だが、一般労働者の月給は、
2000ウォン程度に引き上げられるにとどまり、
コメを2キロ買えばなくなる状態だ」(同)と。

たったの2キロ!

こういう数字を見ると、あれこれ計算してみたくなる。

私の悪いクセだ。

たとえば……。

一般労働者の月給が、2000ウォン。
米1キロの値段が1200ウォンということだから、1か月の
月給で、約1・7キロしか、米が買えないというと
いうことになる。

それはわかる。
しかし、そのあとが、よくわからない。
こうある。

「1キロ0.08ウォン(1ウォンは実質推定0.038円)
だったコメは、1200ウォンにも高騰」と。

これは、何かのまちがいではないか?

米1キロの値段が、0・08ウォンから、1200ウォンに
なったということは、単純に計算しても、値段が1万5000倍に
なったということになる。

1万5000倍だぞ!

つぎに「実質推定0・038円」という部分。
K国の1ウォンは、0・038円だという。

そこでもう一度、計算してみる。

日本では、米は、1キロあたり、平均して、500円前後。
つまり米、1・7キロということは、500x1・7=850円という
ことになる。

K国の労働者の月給は、米で見るかぎり、日本円で850円
ということになる。

しかし一方で、「1ウォンは、実質推定0・038円」という。
この数字で計算してみると、

2000x0・038=76(円)ということになる。

つまり米で計算してみると、K国の労働者の月給は、850円。
しかし実質レートで計算してみると、76円。

850円!
76円!

それほどちがわないが、しかしどうしてこういう(ちがい)が
生ずるのか?

「?????」。

どこか計算のし方が、まちがっているのだろうか?
まあ、それだけ米の価格だけが、高騰しているということらしい。

それにしても、すごい!

++++++++++++++++以下、毎日新聞+++++++++++++++++

大卒の女性医師や教員も本業を捨て自営業へ……。経済危機が続くK国で、高学歴女性が国から十分な給料をもらえず、職場放棄の末に露天商などの商売に走っている実態がK国朝鮮労働党の内部資料で明らかになった。K国では経済改革実施(02年)以後、物価が急上昇したのに給与の引き上げ幅が小さく、公務員らが自営業に流れる深刻な事態が生まれている。

 文書は党中央委が昨年10月に作成。それによると、K国各地で週6日、各種の日用品を扱う市場が合法的に運営され、「物売り」を希望する住民が殺到している。市場周辺だけでなく、住宅地域にも露店が拡大して「社会秩序と規律をひどく乱している」という。

 党指導部が強く懸念しているのは、商売人の大多数が就労適齢期の女性という点。「特に胸が痛む」例として、大卒医師や教員が生活苦を理由に退職して商売に励んでいる実態を紹介し、これらの行為を「本分を放棄して商売に走るのは初歩的な良心と義理を欠く行為」と非難している。

 K国では昨年後半、適齢期女性が市場で商売することを禁止する規定が出されたとされる。

 K国の政権に近い関係者は「国家経営の音楽学校に勤めるより、自宅でこっそり音楽教室を開いた方が何倍もの収入になるというのが実情だ。党指導部も深刻に受け止めている」と解説する。

 K国では経済改革により価格統制を緩和した結果、物価は急上昇し、1キロ0.08ウォン(1ウォンは実質推定0.038円)だったコメは1200ウォンにも高騰。だが、一般労働者の月給は2000ウォン程度に引き上げられるにとどまり、コメを2キロ買えばなくなる状態だ。

 文書はこのほか、金欲しさからの違法行為にも言及。「毒性物質を含む食料品を売る」「(韓国製品を販売し)敵に対する幻想を広めている」などと批判しながら「不正腐敗行為が度を越し、非常に厳しい段階に及んでいる」とも警告している。

++++++++++++++以上、毎日新聞 0804234+++++++++++

●学力調査テスト(School Test in Japan)

++++++++++++++++++

昨日、全国で、一斉に学力テストが
実施された(4月22日)。

産経新聞の記事をそのまま紹介させて
もらう。

+++++++++++++以下、産経新聞+++++++++++++++

 「全然明るい」は正しい? 福沢諭吉の身長は? ……。小6と中3の児童生徒を対象に22日に行われた全国学力テストでは、学力を実生活に活用する力を意識した出題傾向が強まった。文部科学省は昨年と出題の領域や分量に大きな変更はないとしたが、基本的な知識を問う「A問題」で、学校生活を題材にした出題が目立ち、PISA(OECDによる学習到達度調査)型の学力を求める姿勢が一層浮き彫りになった。

 算数・数学では小6のA問題で、「約150平方センチ」の面積について(1)切手(2)年賀はがき(3)教科書の表紙(4)教室の床-の選択肢から選ぶ四択問題を出題(正解は(2))。センチメートルという単位について肌身で理解しているかを調べた。

 中3のB問題(活用)では、「明治期の文豪、樋口一葉の身長が140センチ台であることが判明した」との新聞記事を引き合いに、慶応義塾創設者の福沢諭吉の身長を出題。上腕骨の長さから身長を推定する数式を活用させつつ、数学が意外な(謎)を解いてくれる一面をアピールした。

 国語では、中3のB問題で、若者の間では肯定表現として使われることが多い「全然」の使い方に関するリポートを出題。「全然明るい」という表現の賛否について、いずれかの立場に立たせて理由を説明させる約100字の“ミニ小論文で言葉に対する感度をはかった。

 一方、前回誤答が多かった問題の類題も。昨年の小6算数では「底辺×高さ」の公式で求められる平行四辺形の面積について、斜辺の数値など不要な情報を加えつつ、別の長方形の面積と比較させると、正答率が18%と低かった。今回は底辺、高さのほかに斜辺の数値を示す単純な問題で、理解の正確さを調べた。

 文科省によると、四十数年前の全国調査や近年の抽出調査と同一の問題が全教科で計25問出題されており、結果が注目されそうだ。

+++++++++++++以上、産経新聞+++++++++++++++

●もの知りから、考える子どもへ

教育全体の傾向としては、(もの知りな子ども)から、(考える子ども)と、
教育の目標そのものが、シフトしている。

しかしこれは(変化)ではなく、(欧米化)である。
もっと言えば、(世界に合わせた、標準化)ということ。
日本の教育は、あまりにもゆがんでいた。

今後、この傾向は加速されることはあっても、減速されることはない。
たいへんよいことだと歓迎する。

ところで「明治期の文豪、樋口一葉の身長が140センチ台であることが判明した」
(学力テスト)という。

低い?

「腕骨の長さから身長を推定する数式」ということだから、樋口一葉が、
死亡したときの身長ということになる。

しかしだれしも、老齢になると、身長が縮む。
見た感じ、3分の2程度になる人だって、いる。
そういう事実をさておいて、「では、福沢諭吉は……?」という計算をしても、
あまり意味はないのではないか。

もう一度、問題をよく読んでみよう。

++++++++++++++以下、問題より++++++++++++++

【中学3年B】
【問題1】

桃子さんは,樋口一葉ようのおよその身長が、 上
じょう腕わん骨こつ(肩とひじの間の骨)の長さから推定された
ことを新聞記事で知り、その内容を下のようにまとめました。

桃子さんのまとめ

一葉さんの身長は140cm 台
写真や絵から身長を算出できる

明治時代に活躍した作家・樋口一葉(1872 〜1896)
の身長は140 cm 台だったことを、解剖学と郷土史の
研究者が明らかにした。

この研究者らは,樋口一葉の写真を分析し、一葉が身につ
けていた和服から、一葉の上腕骨の長さを突き止めたそうだ。
そして、男女の身長と上腕骨の長さとの関係から求めた、
明治時代の頃の成人の身長を推定する式に当てはめて、
一葉の身長を推定した。

桃子さんは,明治時代の頃の成人の身長について調べたところ、上腕骨の
長さ(cm)から身長(cm)を推定する式があることが分かりました。そして、
その式をおよその数を使って、下のように表しました。

男性の身長= 2.8 ×(上腕骨の長さ)+ 73
女性の身長= 2.5 ×(上腕骨の長さ)+ 79

(問い)

前ページの式を使って,次の(1)から(3)までの各問いに答えなさい。

(1) 桃子さんは、一万円札の肖像になっている
福沢諭吉の身長を調べることにしました。
そこで、写真を分析して、 上腕骨の長さを
約36cm と求めました。

このとき, 前ページの式を使うと、
福沢諭吉の身長は約何cm と考えられますか。
下のアからオの中から1つ選びなさい。

ア 約164cm   イ 約169cm
ウ 約174cm   エ 約179cm
オ 約184cm

(2) 明治時代の成人の女性2人について、上腕骨の長さの差が4cm のとき、
この2人の身長の差は何cm と考えられますか。2人の身長の差を求めな
さい。

上腕骨の長さの差
上腕骨の
長さの差

(3) 明治時代の成人について、上腕骨の長さの差と身長の差の関係を考えます。
男性2人の上腕骨の長さの差と女性2人の上腕骨の長さの差が同じとき、
男性2人の身長の差と女性2人の身長の差では、どちらが大きいと考えら
れますか。下のア、イの中から1つ選びなさい。また,選んだ理由を説明
しなさい。

ア 男性2人の身長の差
イ 女性2人の身長の差

【問題2】

直樹さんは、2けたの自然数と、その数の十の位の数と一の位の数を
入れかえた数の和がどんな数になるかを考えています。

21 のとき  21+12 = 33
35 のとき  35+53 = 88
47 のとき  47+74 =121
82 のとき  (        )

上で調べたことから,直樹さんは,次のことを予想しました。

直樹さんの予想

2けたの自然数と,その数の十の位の数と一の位の数を入れかえた数の和は,
11の倍数になる。

次の(1)から(3)までの各問いに答えなさい。

(1) 上の( ) に当てはまる式を書きなさい。

33 = 11 × 3
88 = 11 × 8
121 = 11 × 11

いつでも11 の倍数に
なるのかな。

+++++++++++++以上、当日の問題より+++++++++++++++

あまりほめてばかりいてはつまらない。

この【問題1】での最大の問題点は、「写真を分析して、 上腕骨の長さを
約36cm と求めました」という部分。

写真を分析すれば、上腕骨の長さがわかるのだろうか?
またどの写真を使ったのだろうか?
どうやって上腕骨の長さを知ったのだろうか?

話はそれるが、映画『ベン・ハー』の中の、チャールストン・ヘストン
は巨大な男性に見えた。
が、実際には、それほど大きな人ではなかったようだ。
映画の中では、ヘストンを撮影するときだけは、いつもカメラを下にして
写していたそうだ。

そういう技法は、映画の世界ではよく用いられる。

となると、ますますわからなくなる。
「36センチ」という数字は、いったいどこからどのようにして出てきたのだろう。

【問題2】については、3~4つの計算をして、それが11の倍数に
なったからといって、すべてがそうであると結論づけることはできない。
5つ目に、別の答が出てくるかもしれない。

5つ目も11の倍数になったからといって、6つ目はわからない……。

そこで文字式ということになるが、2けたの数字を、
(10xa+b)とおけば、簡単に証明できる。

問題そのものは、ごくありふれた問題である。
レベルとしては、(中学1年)程度。

++++++++++++++++++

こうして私は、今日もニュースを読んだ。
が、一言。

ニュースというのは、読むだけでは、
あまり意味がない。

読むだけだと、記憶に残らない。

そこで自分なりにコメントを書いてみると
よい。

そうすれば、脳みそに、ぐいと残る。
考える力も身につく。

++++++++++++++++++

(追記)

樋口一葉の上腕骨の長さは、
(140-79)÷2・5で、24・4センチということになる。

福沢諭吉は、男性だから、上腕骨の長さから、

男性の身長= 2.8 ×(上腕骨の長さ)+ 73
の計算式を使って、

36x2・8+73=173・8センチ、ということになる。

当時としては、かなり大きな人だったらしい。
またひとつ新しいことを学んだ!