Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Tuesday, November 25, 2008

*Active Children

子どもの能力を伸ばす法(プラスの暗示をかけろ!)
子どもが伸びるとき
●伸びる子どもの四条件
 伸びる子どもには、次の四つの特徴がある。①好奇心が旺盛、②忍耐力がある、③生活力がある、④思考が柔軟(頭がやわらかい)。
①好奇心……好奇心が旺盛かどうかは、一人で遊ばせてみるとわかる。旺盛な子どもは、身のまわりから次々といろいろな遊びを発見したり、作り出したりする。趣味も広く、多芸多才。友だちの数も多く、相手を選ばない。数才年上の友だちもいれば、年下の友だちもいる。何か新しい遊びを提案したりすると、「やる!」とか「やりたい!」とか言って、食いついてくる。反対に好奇心が弱い子どもは、一人で遊ばせても、「退屈~ウ」とか、「もうおうちへ帰ろ~ウ」とか言ったりする。
②忍耐力……よく誤解されるが、釣りやゲームなど、好きなことを一日中しているからといって、忍耐力のある子どもということにはならない。子どもにとって忍耐力というのは、「いやなことをする力」のことをいう。たとえばあなたの子どもに、掃除や洗濯を手伝わせてみてほしい。そういう仕事でもいやがらずにするようであれば、あなたの子どもは忍耐力のある子どもということになる。あるいは欲望をコントロールする力といってもよい。目の前にほしいものがあっても、手を出さないなど。こんな子ども(小三女児)がいた。たまたまバス停で会ったので、「缶ジュースを買ってあげようか?」と声をかけると、こう言った。「これから家で食事をするからいいです」と。こういう子どもを忍耐力のある子どもという。この忍耐力がないと、子どもは学習面でも、(しない)→(できない)→(いやがる)→(ますますできない)の悪循環の中で、伸び悩む。
③生活力……ある男の子(年長児)は、親が急用で家をあけなければならなくなったとき、妹の世話から食事の用意、戸じまり、消灯など、家事をすべて一人でしたという。親は「やらせればできるもんですね」と笑っていたが、そういう子どもを生活力のある子どもという。エマーソン(アメリカの詩人、「自然論」の著者、一八〇三~八二)も、『教育に秘法があるとするなら、それは生活を尊重することである』と書いている。
④思考が柔軟……思考が柔軟な子どもは、臨機応変にものごとに対処できる。同じいたずらでも、このタイプの子どものいたずらは、どこかほのぼのとした温もりがある。食パンをくりぬいてトンネルごっこ。スリッパをつなげて電車ごっこなど。反対に頭のかたい子どもは、一度「カラ」にこもると、そこから抜け出ることができない。ある子ども(小三男児)は、いつも自分の座る席が決まっていて、その席でないと、どうしても座ろうとしなかった。
 一般論として、「がんこ」は、子どもの成長にとって好ましいものではない。かたくなになる、意固地になる、融通がきかないなど。子どもからハツラツとした表情が消え、動作や感情表現が、どこか不自然になることが多い。教える側から見ると、どこか心に膜がかかったような状態になり、子どもの心がつかみにくくなる。
●子どもを伸ばすために
子どもを伸ばす最大の秘訣は、常に「あなたは、どんどん伸びている」という、プラスの暗示をかけること。そのためにも、子どもはいつもほめる。子どもを自慢する。ウソでもよいから、「あなたは去年(この前)より、ずっとすばらしい子になった」を繰り返す。もしあなたが、「うちの子は悪くなっている」と感じているなら、なおさら、そうする。まずいのは「あなたはダメになる」式のマイナスの暗示をかけてしまうこと。とくに「あなたはやっぱりダメな子ね」式の、その子どもの人格の核に触れるような「格」攻撃は、タブー中のタブー。
その上で、①あなた自身が、自分の世界を広め、その世界に子どもを引き込むようにする(好奇心をますため)。また②「子どもは使えば使うほどいい子になる」と考え、家事の手伝いはさせる。「子どもに楽をさせることが親の愛」と誤解しているようなら、そういう誤解は捨てる(忍耐力や生活力をつけるため)。そして③子どもの頭をやわらかくするためには、生活の場では、「アレッ!」と思うような意外性を大切にする。よく「転勤族の子どもは頭がいい」と言われるのは、それだけ刺激が多いことによる。マンネリ化した単調な生活は、子どもの知恵の発達のためには、好ましい環境とは言えない。


子どもの心を安定させる法(原因を家庭の中に求めろ!)
子どもの心が不安定になるとき 
●情緒が不安定な子ども
 子どもの成長は、次の四つをみる。①精神の完成度、②情緒の安定度、③知育の発達度、それに④運動能力。このうち情緒の安定度は、子どもが肉体的に疲れていると思われるときをみて、判断する。運動会や遠足のあと、など。そういうときでも、ぐずり、ふさぎ込み、不機嫌、無口(以上、マイナス型)、あるいは、暴言、暴力、イライラ、激怒(以上、プラス型)がなければ、情緒が安定した子どもとみる。子どもは、肉体的に疲れたときは、「疲れた」とは言わない。「眠い」と言う。子どもが「疲れた」というときは、神経的な疲れを疑う。子どもはこの神経的な疲れにたいへん弱い。それこそ日中、五~一〇分、神経をつかっただけで、ヘトヘトに疲れてしまう。
●情緒不安とは……?
 外部の刺激に左右され、そのたびに精神的に動揺することを情緒不安という。二~四歳の第一反抗期、思春期の第二反抗期に、とくに子どもは動揺しやすくなる。
 その情緒が不安定な子どもは、神経がたえず緊張状態にあることが知られている。気を許さない、気を抜かない、周囲に気をつかう、他人の目を気にする、よい子ぶるなど。その緊張状態の中に、不安が入り込むと、その不安を解消しようと、一挙に緊張感が高まり、情緒が不安定になる。症状が進むと、周囲に溶け込めず、引きこもったり、怠学、不登校を起こしたり(マイナス型)、反対に攻撃的、暴力的になり、突発的に興奮して暴れたりする(プラス型)。表情にだまされてはいけない。柔和な表情をしながら、不安定な子どもはいくらでもいる。このタイプの子どもは、ささいなことがきっかけで、激変する。母親が、「ピアノのレッスンをしようね」と言っただけで、激怒し、母親に包丁を投げつけた子ども(年長女児)がいた。また集団的な非行行動をとったり、慢性的な下痢、腹痛、体の不調を訴えることもある。
●原因の多くは異常な体験
 原因としては、乳幼児期の何らかの異常な体験が引き金になることが多い。たとえば親自身の情緒不安のほか、親の放任的態度、無教養で無責任な子育て、神経質な子育て、家庭騒動、家庭不和、何らかの恐怖体験など。ある子ども(五歳男児)は、たった一度だが、祖父にはげしく叱られたのが原因で、自閉傾向(人と心が通い合わない状態)を示すようになった。また別の子ども(三歳男児)は、母親が入院している間、祖母に預けられたことが原因で、分離不安(親の姿が見えないと混乱状態になる)になってしまった。
 ふつう子どもの情緒不安は、神経症による症状をともなうことが多い。ここにあげた体の不調のほか、たとえば夜驚、夢中遊行、かん黙、自閉、吃音(どもり)、髪いじり、指しゃぶり、チック、爪かみ、物かみ、疑惑症(臭いかぎ、手洗いぐせ)、かみつき、歯ぎしり、強迫傾向、潔癖症、嫌悪症、対人恐怖症、虚言、収集癖、無関心、無感動、緩慢行動、夜尿症、頻尿症など。
●原因は、家庭に!
 子どもの情緒が不安定になると、たいていの親は原因さがしを、外の世界に求める。しかしまず反省すべきは、家庭である。強度の過干渉(子どもにガミガミと押しつける)、過関心(子どもの側からみて神経質で、気が抜けない環境)、家庭不和(不安定な家庭環境、愛情不足、家庭崩壊、暴力、虐待)、威圧的な家庭環境など。夫婦喧嘩もある一定のワク内でなされているなら、子どもにはそれほど大きな影響を与えない。が、そのワクを越えると、大きな影響を与える。子どもは愛情の変化には、とくに敏感に反応する。
 子どもが小学生になったら、家庭は、「体を休め、疲れた心をいやす、いこいの場」でなければならない。アメリカの随筆家のソロー(一八一七~六二)も、『ビロードのクッションの上より、カボチャの頭』と書いている。人というのは、高価なビロードのクッションの上に座るよりも、カボチャの頭の上に座ったほうが気が休まるという意味だが、多くの母親にはそれがわからない。わからないまま、家庭を「しつけの場」と位置づける。学校という「しごきの場」で、いいかげん疲れてきた子どもに対して、家の中でも「勉強しなさい」と子どもを追いまくる。「宿題は終わったの」「テストは何点だったの」「こんなことでは、いい高校へ入れない」と。これでは子どもの心は休まらない。
●子どもの情緒を安定させるために
 子どもの情緒が不安定になったら、スキンシップをより濃厚にし、温かい語りかけを大切にする。叱ったり、冷たく突き放すのは、かえって情緒を不安定にする。一番よい方法は、子どもがひとりで誰にも干渉されず、のんびりとくつろげるような時間と場所をもてるようにすること。親があれこれ気をつかうのは、かえって逆効果。
 ほかにカルシウムやマグネシウム分の多い食生活に心がける。とくにカルシウムは天然の精神安定剤と呼ばれている。戦前までは、日本では精神安定剤として使われていた。錠剤で与えるという方法もあるが、牛乳や煮干など、食品として与えるほうがよいことは言うまでもない。なお情緒というのは一度不安定になると、その症状は数か月から数年単位で推移する。親があせって何とかしようと思えば思うほど、ふつう子どもの情緒は不安定になる。また一度不安定になった心は、そんなに簡単にはなおらない。今の状態をより悪くしないことだけを考えながら、子どものリズムに合わせた生活に心がける。

(参考)
●子どもの神経症について
心理的な要因が原因で、精神的、身体的な面で起こる機能的障害を、神経症という。子どもの神経症は、精神面、身体面、行動面の三つの分野に分けて考える。
①精神面の神経症……精神面で起こる神経症には、恐怖症(ものごとを恐れる)、強迫症状(周囲の者には理解できないものに対して、おののく、こわがる)、不安症状(理由もなく悩む)、抑うつ感(ふさぎ込む)など。混乱してわけのわからないことを言ってグズグズしたり、反対に大声をあげて、突発的に叫んだり、暴れたりすることもある。
②身体面の神経症……夜驚症(夜中に狂人的な声をはりあげて混乱状態になる)、夜尿症、頻尿症(頻繁にトイレへ行く)、睡眠障害(寝ない、早朝覚醒、寝言)、嘔吐、下痢、便秘、発熱、喘息、頭痛、腹痛、チック、遺尿(その意識がないまま漏らす)など。一般的には精神面での神経症に先立って、身体面での神経症が起こることが多く、身体面での神経症を黄信号ととらえて警戒する。
③行動面の神経症……神経症が慢性化したりすると、さまざまな不適応症状となって行動面に表れてくる。不登校もその一つということになるが、その前の段階として、無気力、怠学、無関心、無感動、食欲不振、引きこもり、拒食などが断続的に起こるようになる。パンツ一枚で出歩くなど、生活習慣がだらしなくなることもある。