Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Tuesday, November 25, 2008

*School Refusal

子どもの不登校を防ぐ法(前兆を見落とすな!)
子どもが学校恐怖症になるとき
●四つの段階論  同じ不登校(school refusal)といっても、症状や様子はさまざま(※)。私の二男はひどい花粉症で、睡眠不足からか、毎年春先になると不登校を繰り返した。が、その中でも恐怖症の症状を見せるケースを、「学校恐怖症」、行為障害に近い不登校を「怠学(truancy)」といって区別している。これらの不登校は、症状と経過から、三つの段階に分けて考える(A・M・ジョンソン)。心気的時期、登校時パニック時期、それに自閉的時期。これに回復期を加え、もう少しわかりやすくしたのが次である。 ①前兆期……登校時刻の前になると、頭痛、腹痛、脚痛、朝寝坊、寝ぼけ、疲れ、倦怠感、吐き気、気分の悪さなどの身体的不調を訴える。症状は午前中に重く、午後に軽快し、夜になると、「明日は学校へ行くよ」などと、明るい声で答えたりする。これを症状の日内変動という。学校へ行きたがらない理由を聞くと、「A君がいじめる」などと言ったりする。そこでA君を排除すると、今度は「B君がいじめる」と言いだしたりする。理由となる原因(ターゲット)が、そのつど移動するのが特徴。 ②パニック期……攻撃的に登校を拒否する。親が無理に車に乗せようとしたりすると、狂ったように暴れ、それに抵抗する。が、親があきらめ、「もう今日は休んでもいい」などと言うと、一転、症状が消滅する。ある母親は、こう言った。「学校から帰ってくる車の中では、鼻歌まで歌っていました」と。たいていの親はそのあまりの変わりように驚いて、「これが同じ子どもか」と思うことが多い。 ③自閉期……自分のカラにこもる。特定の仲間とは遊んだりする。暴力、暴言などの攻撃的態度は減り、見た目には穏やかな状態になり、落ちつく。ただ心の緊張感は残り、どこかピリピリした感じは続く。そのため親の不用意な言葉などで、突発的に激怒したり、暴れたりすることはある(感情障害)。この段階で回避性障害(人と会うことを避ける)、不安障害(非現実的な不安感をもつ。おののく)の症状を示すこともある。が、ふだんの生活を見る限り、ごくふつうの子どもといった感じがするため、たいていの親は、自分の子どもをどうとらえたらよいのか、わからなくなってしまうことが多い。こうした状態が、数か月から数年続く。 ④回復期……外の世界と接触をもつようになり、少しずつ友人との交際を始めたり、外へ遊びに行くようになる。数日学校行っては休むというようなことを、断続的に繰り返したあと、やがて登校できるようになる。日に一~二時間、週に一日~二日、月に一週~二週登校できるようになり、序々にその期間が長くなる。
●前兆をいかにとらえるか  要はいかに①の前兆期をとらえ、この段階で適切な措置をとるかということ。たいていの親はひととおり病院通いをしたあと、「気のせい」と片づけて、無理をする。この無理が症状を悪化させ、②のパニック期を招く。この段階でも、もし親が無理をせず、「そうね、誰だって学校へ行きたくないときもあるわよ」と言えば、その後の症状は軽くすむ。一般にこの恐怖症も含めて、子どもの心の問題は、今の状態をより悪くしないことだけを考える。なおそうと無理をすればするほど、症状はこじれる。悪化する。 

※……不登校の態様は、一般に教育現場では、①学校生活起因型、②遊び非行型、③無気力型、④不安など情緒混乱型、⑤意図的拒否型、⑥複合型に区分して考えられている。
 またその原因については、①学校生活起因型(友人や教師との関係、学業不振、部活動など不適応、学校の決まりなどの問題、進級・転入問題など)、②家庭生活起因型(生活環境の変化、親子関係、家庭内不和)、③本人起因型(病気など)に区分して考えられている(「日本教育新聞社」まとめ)。しかしこれらの区分のし方は、あくまでも教育者の目を通して、子どもを外の世界から見た区分のし方でしかない。

(参考)
●学校恐怖症は対人障害の一つ 
 こうした恐怖症は、はやい子どもで、満四~五歳から表れる。乳幼児期は、主に泣き叫ぶ、睡眠障害などの心身症状が主体だが、小学低学年にかけてこれに対人障害による症状が加わるようになる(西ドイツ、G・ニッセンほか)。集団や人ごみをこわがるなどの対人恐怖症もこの時期に表れる。ここでいう学校恐怖症はあくまでもその一つと考える。
●ジョンソンの「学校恐怖症」
「登校拒否」(school refusal)という言葉は、イギリスのI・T・ブロードウィンが、一九三二年に最初に使い、一九四一年にアメリカのA・M・ジョンソンが、「学校恐怖症」と命名したことに始まる。ジョンソンは、「学校恐怖症」を、(1)心気的時期、(2)登校時のパニック時期(3)自閉期の三期に分けて、学校恐怖症を考えた。
●学校恐怖症の対処のし方
 第一期で注意しなければならないのは、本文の中にも書いたように、たいていの親はこの段階で、「わがまま」とか「気のせい」とか決めつけ、その前兆症状を見落としてしまうことである。あるいは子どもの言う理由(ターゲット)に振り回され、もっと奥底にある子どもの心の問題を見落としてしまう。しかしこのタイプの子どもが不登校児になるのは、第二期の対処のまずさによることが多い。ある母親はトイレの中に逃げ込んだ息子(小一児)を外へ出すため、ドライバーでドアをはずした。そして泣き叫んで暴れる子どもを無理やり車に乗せると、そのまま学校へ連れていった。その母親は「このまま不登校児になったらたいへん」という恐怖心から、子どもをはげしく叱り続けた。が、こうした衝撃は、たった一度でも、それが大きければ大きいほど、子どもの心に取り返しがつかないほど大きなキズを残す。もしこの段階で、親が、「そうね、誰だって学校へ行きたくないときもあるわね。今日は休んで好きなことをしたら」と言ったら、症状はそれほど重くならなくてすむかもしれない。
 また第三期においても、鉄則は、ただ一つ。なおそうと思わないこと。私がある母親に、「三か月間は何も言ってはいけません。何もしてはいけません。子どもがしたいようにさせなさい」と言ったときのこと。母親は一度はそれに納得したようだった。しかし一週間もたたないうちに電話がかかってきて、「今日、学校へ連れていってみましたが、やっぱりダメでした」と。親にすれば一か月どころか、一週間でも長い。気持ちはわかるが、こういうことを繰り返しているうちに、症状はますますこじれる。
 第三期に入ったら、①学校は行かねばならないところという呪縛から、親自身が抜けること。②前にも書いたように、子どもの心の問題は、今の状態をより悪くしないことだけを考えて、子どもの様子をみる。③最低でも三か月は何も言わない、何もしないこと。子どもが退屈をもてあまし、身をもてあますまで、何も言わない、何もしないこと。④生活態度(部屋や服装)が乱れて、だらしなくなっても、何も言わない、何もしないこと。とくに子どもが引きこもる様子を見せたら、そうする。よく子どもが部屋にいない間に、子どもの部屋の掃除をする親もいるが、こうした行為も避ける。
 回復期に向かう前兆としては、①穏やかな会話ができるようになる、②生活にリズムができ、寝起きが規則正しくなる、③子どもがヒマをもてあますようになる、④家族がいてもいなくいても、それを気にせず、自分のことができるようになるなどがある。こうした様子が見られたら、回復期は近いとみてよい。
 要は子どものリズムで考えること。あるいは子どもの視点で、子どもの立場で考えること。そういう謙虚な姿勢が、このタイプの子どもの不登校を未然に防ぎ、立ちなおりを早くする。
●不登校は不利なことばかりではない
 一方、こうした不登校児について、不登校を経験した子どもたち側からの調査もなされている。文部科学省がした「不登校に関する実態調査」(二〇〇一年)によれば、「中学で不登校児だったものの、成人後に『マイナスではなかった』と振り返っている人が、四割もいる」という。不登校はマイナスではないと答えた人、三九%、マイナスだったと答えた人、二四%など。そして学校へ行かなくなった理由として、
友人関係     ……四五%
教師との関係   ……二一%
クラブ・部活動  ……一七%
転校などでなじめず……一四%と、その多くが、学校生活の問題をあげている。  


子どもを穏やかな子どもにする法(食生活に気をつけろ!)
子どもがキレるとき
●躁状態における錯乱状態 
 子どもたち(小三児)を並べて、順に答案に丸をつけていたときのこと。それまでF君は、まったく目立たないほど、静かだった。が、あと一人でF君というそのとき、F君が突然、暴れ出した。突然というより、激変に近いものだった。ギャーという声を出したかと思うと、周囲にあった机とイスを足でけって、ひっくり返した。瞬間私は彼の目を見たが、それは恐ろしいほど冷たく、すごんでいた……。
 キレる状態は、心理学の世界では、「躁(そう)状態における精神錯乱」(長崎大・中根允文氏ほか)と位置づけられている。躁うつ病を定型化したのはクレペリン(ドイツの医学者・一八五六~一九二六)だが、一般的には躁状態とうつ状態はペアで考えられている。周期性をもって交互に、あるいはケースによっては、重複して起こることが多い。それはそれとして、このキレた状態になると、子どもは突発的に凶暴になったり、大声でわめいたりする。(これに対して若い人の間では、ただ単に、激怒した状態、あるいは怒りが充満した状態を、「キレる」と言うことが多い。ここでは区別して考える。)
●心の緊張状態が原因
 よく子どもの情緒が不安定になると、その不安定の状態そのものを問題にする人がいる。しかしそれはあくまでも表面的な症状にすぎない。情緒が不安定な子どもは、その根底に心の緊張状態があるとみる。その緊張状態の中に、不安が入り込むと、その不安を解消しようと、一挙に緊張感が高まり、情緒が不安定になる。先のF君のケースでも、「問題が解けなかった」という思いが、彼を緊張させた。そういう緊張状態のところに、「先生に何かを言われるのではないか」という不安が入りこんで、一挙に情緒が不安定になった。言いかえると、このタイプの子どもは、いつも心が緊張状態にある。気を抜かない。気を許さない。周囲に気をつかうなど。表情にだまされてはいけない。柔和でおだやかな表情をしながら、その裏で心をゆがめる子どもは少なくない。これを心理学の世界では、「遊離」と呼んでいる。一度こういう状態になると、「何を考えているかわからない子ども」といった感じになる。 
●すなおな子ども論
 従順で、おとなしい子どもを、すなおな子どもと考えている人は多い。しかしそれは誤解。教育、なかんずく幼児教育の世界では、心(情意)と表情が一致している子どもを、すなおな子どもという。うれしいときには、うれしそうな表情をする。悲しいときには悲しそうな表情をする。不愉快なときは、不愉快そうな顔をする。そういう子どもをすなおな子どもという。しかし心と表情が遊離すると、それがチグハグになる。ブランコを横取りされても、ニコニコ笑ってみせたり、いやなことがあっても、黙ってそれに従ったりするなど。中に従順な子どもを、「よくできた子ども」と考える人もいるが、それも誤解。この時期、よくできた子どもというのは、いない。つまり「いい子」ぶっているだけ。このタイプの子どもは大きなストレスを心の中でため、ためた分だけ、別のところで心をゆがめる。よく知られた例としては、家庭内暴力を起こす子どもがいる。このタイプの子どもは、外の世界では借りてきたネコの子のようにおとなしい。
●おだやかな生活を旨とする
 キレるタイプの子どもは、不安状態の中に子どもを追い込まないように、穏やかな生活を何よりも大切にする。乱暴な指導になじまない。あとは情緒が不安定な子どもに準じて、①濃厚なスキンシップをふやし、②食生活の面で、子どもの心を落ちつかせる。カルシウム、マグネシウム分の多い食生活に心がけ、リン酸食品をひかえる(※)。リン酸は、せっかく摂取したカルシウムをリン酸カルシウムとして、体外へ排出してしまう。もちろんストレスの原因(ストレッサー)があれば、それを除去し、心の負担を軽くすることも忘れてはならない。

※……今ではリン酸(塩)はあらゆる食品に含まれている。たとえば、ハム、ソーセージ(弾力性を出し、歯ごたえをよくするため)、アイスクリーム(ねっとりとした粘り気を出し、溶けても流れず、味にまる味をつけるため)、インスタントラーメン(やわらかくした上、グニャグニャせず、歯ごたえをよくするため)、プリン(味にまる味をつけ、色を保つため)、コーラ飲料(風味をおだやかにし、特有の味を出すため)、粉末飲料(お湯や水で溶いたりこねたりするとき、水によく溶けるようにするため)など(以上、川島四郎氏)。
●人工的に調合するのは、不必要
ついでながら、W・ダフティという学者はこう言っている。「自然が必要にして十分な食物を生み出しているのだから、われわれの食物をすべて人工的に調合しようなどということは、不必要なことである」と。つまりフード・ビジネスが、精製された砂糖や炭水化物にさまざまな添加物を加えた食品(ジャンク・フード)をつくりあげ、それが人間を台なしにしているというのだ。「(ジャンクフードは)疲労、神経のイライラ、抑うつ、不安、甘いものへの依存性、アルコール処理不能、アレルギーなどの原因になっている」とも。