Education in Front-Line and Essays by Hiroshi Hayashi (はやし浩司)

(Mr.) Hiroshi Hayashi, a professional writer who has written more than 30 his own books on Education, Chinese Medical science and Religion in Japan. My web-site is: http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ Please don't hesitate to visit my web-site, which is always welcome!!

Sunday, April 13, 2008

*Students who could not attend the Entrance Ceremoney

●入学金未納で、入学式に出られず(Two students couldn’t attend its entrance ceremony, since the payment is not finished. But why?)

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C県の、ある県立高校で、こんな
事件が起きた。

その高校で、入学金が未納だった
2人の男女の学生が、入学式に
出られなかったというのだ。

TBS―iニュースは、つぎのように
伝える。

『この高校はC県立Y高校です。この高校では、
新入生に対し、今月8日の入学式に入学金や
教材費など9万円を持ってくるように伝えて
いましたが、男女2人の生徒が、経済的な理由などで
当日お金を持ってきませんでした。

このため高校では、2人の入学手続きが済んで
いないとして式に出席させず、別の部屋で待機
させました』(TBS-i・ニュース、4月
13日)と。

学校側は、「入学金を納入された時点で入学を
許可するという規則に従って、やむを得ず
こういう措置をとらせて頂きました」(Y高校
S教頭)と説明している(同・ニュース)。

また県の教育委員会も、「生徒と保護者には
つらい思いをさせてしまったが、やむを得ない
判断だった」(同)と。

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ここに書いてある以上のことは、私にはわからない。
わからないが、入学室の当日、その2人の学生は、高校へ来ていたわけだから、その2人の学生は、当然、入学許可がおりたものと思っていたらしい。
またその旨の通知も、学校側からあったということになる。

しかし学校へ出かけてみると、「君たちは、入学金を払っていないから、入学式には出られません」と。

学校側は規則を盾にとって、「やむを得ず」という言葉を使っている。
それに呼応して、教育委員会のほうも、「やむを得ない判断だった」と。

しかし……。
その2人の学生に与えたショックは、いかばかりのものであったか?
入学式にも出られず、別室で小さくなっている2人の姿を、想像してみればよい。
さぞかし、つらい思いをしたことだろう。
それにどういう事情があったかは知らないが、「入学金が払えなかった学生」という汚名は、しばらくは消えない。

もっとも、今、こうした事件とは反対に、授業料を払わない学生も、急増している。
授業料を6か月以上滞納した学生については、出席停止処分にしている県もある(北海道など)。
貧困が理由だけではない。
中には、授業料を払えるにもかかわらず、払わない親もいるという。

T県の(給食費未納問題)に関するデータだが、「経済的な理由での未納者は、未納者のうちの、33・6%。保護者の責任感や規範意識の問題と思われるのが、何と60・3%。まさに保護者としての責任放棄と言っても過言ではありません」(T県、県議会報告書より)と。

何と60%の親たちは、払えるにもかかわらず、払っていないというのだ。

もちろん先の2人の学生の親たちが、そうであったと言っているのではない。
しかし学校側からすると、経済的な理由によるものなのか、親の責任放棄によるものなのか、その時点では、区別できない。
(報道によれな、「経済的な理由」とはなっているが……。)
「やむを得ない判断だった」という言葉は、そういうところから生まれたのだろう。

が、現実は、さらにきびしい。

「受けていた奨学金も家の生活費に回され、高校に行きたくても授業料が払えないからやめざるを得ないという高校生」(同、県議会報告書)も多いとか。

つまりこの問題は、それぞれの家庭の事情と、学校側の事情が複雑にからみあっている。
ニュースの記事だけを読んで、どちらがどうのと、安易に判断をくだすことはできない。
できないが、これだけは言える。

仮に貧困が理由であったとするなら、(だからといって、その2人の学生がそうであったと言っているのではない。念のため)、貧困であることは、その学生たちの責任ではない。
ひょっとしたら、親の責任でもない。

この世の中には、働いても働いても、どうにもならない人というのは、ゴマンといる。
ザルから水がこぼれるように、お金のほうが逃げていく人は、ゴマンといる。
不運と不幸が、さらに追い打ちをかけることもある。

「入学金が未納だから、入学式には出られません」ではなく、そのあたりの事情を、もう少していねいに、学校側は、調べるべきだった。
電話一本ですむ話ではなかったか?

学生たちに与えるショックの大きさを考慮するなら、それくらいの配慮はあってもよかったのではないかと思う。

さらにつけ加えるなら、この事件は、県立高校で起きたという点である。
私立高校ならまだしも、こうした入学金や授業料が未納になったからといって、校長以下、教職員の給料に影響が出るというわけではない。
だったらなおさら、(だからといって、親たちがそれに甘えてもいけないが)、もう少しおおらかに構えればよかった。

ちなみに私の教室では、両親のうち、どちらか一方が、病気や事故で亡くなったばあい、高校3年生まで、無料で教えることにしている。
(しかし実際には、無料にするというと、生徒のほうがそれを負担に感ずるようなので、半額にするというケースが多い。)
今までもそうしてきたし、これからもそうする。

公的な援助を1円も受けていない私だって、そうしている。
いわんや「県立」高校をや!

それくらいの(やさしさ)は、みな、もってほしい。
言うまでもなく、その国のレベルは、弱者にいかにやさしいかで決まる。
教育のレベルも、また同じ。